2014年7月~9月

【きょうのクロスステッチ Vol. 246】 by 岡村恭子


VOL.246 夏の観光ガイド 石の象とフリーマーケット

torsdag den. 3 juli 2014


数年前に始まったコペンハーゲンのメトロ環状線工事が長引いています。
2018年完成予定といいますから、まだ4年もあります。
気の長ーいプロジェクトです。おまけに7月は夏休みで工事もストップ。
せっかくの観光シーズンだというのに王立劇場前の広場も市庁舎前広場も
フェンスで囲われて遠くからやって来た観光客ガッカリするだろうなあ、と
気の毒ですが、完成したらコペンハーゲンをメトロで一周出来るはずです。
そうなる日が来るのを今から楽しみにしましょう。

さて、7月のコペンハーゲンはジャズフェスティバルで幕を開けました。
今日(金曜日)から10日間、100カ所で1200のプログラムが組まれて
いるそうです。街中がジャズっぽい雰囲気に包まれます。楽しみにしている
ファンも多く、毎年の事ながら夏祭り的な盛り上がりを見せています。
他にも季節限定のイベントが沢山!プログラムを調べて出かけるのも今頃なら
ではの楽しみです。例えば夏だけの“ 蚤の市 “散策も楽しい …とここまで書いて、
話が少し逸れるますが、
お膝元に住むパリジェンヌはエッフェル塔に登った事が無い!と言うらしいけれど、
私はコペンハーゲンに暮らしていながら “ ゾウ “ を見た事が無い!…?
などと、何を言っているのかとお思いでしょう。実はゾウと言っても本物では
なくて、大手ビール会社のゲートに設えられた石で出来た象の事なのです。
写真で何度も見て知っているような気がしていますが実物を見た事がない。
その “ 象のゲート “ と同じ敷地内で最近評判のフリーマーケットが開かれている
ということを小耳に挟んだのです。急遽 “ ゾウを見がてら蚤の市 “ という
週末の散策コースが完成しました。行ってみましょう。

デンマークのビール最大メーカー、カールスバーグ本社の広い敷地には
手入れの行き届いた植え込みや木立の間に創立当時からの歴史的社屋が並び、
工場跡地の再開発も進んでいます。既に旧社屋の一部をリノベーションし
シェアオフィスに活用したり、カフェや子供達のための公園もあります。
目的のゾウさんにもようやく会うことが出来ました。
ゲートの表裏に二頭ずつ建物を支えているようにして立っています。
物静かな眼差しが印象的でした。観光気分でおしゃべりしながらしばらく行くと、
フリーマーケットが開かれている駐車場に出ました。沢山の人で賑わっています。
石象の彫刻技術に感心した後ですから何だかギャップが大きくて、
駐車場の空き地にガラクタばかりが並んでいるような感じですが、いやいや、
そんな中から見つけるのが蚤の市の楽しみなのです。
そしてちゃんと見つけましたよ。(写真をご覧下さい。)
毎週日曜日に開かれています。コペンハーゲンに観光にいらっしゃる方にお勧めしたい
ロイヤルショッピングとひと味違う夏季限定週末の散策コースです。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





旧カールスバーグ社(1847年~1883年)のアーチ。周辺付近もメトロ工事真っ最中!



これが噂の?!ゾウさんです。反対側にも2頭が静かに立っています。



フリーマーケットから…。眺めているだけでも楽しめます。



売り物のオモチャで無心になって遊んでいる女の子。



今回の掘り出し物。布団たたき=10kr.  Gres du Berry(フランス)のジャグ=20kr. 
無垢オーク材のお盆=10kr.


>>バックナンバー 「きょうのクロスステッチ」

【きょうのクロスステッチ Vol. 247】 by 岡村恭子


VOL.247 簡単で美味しい夏の食卓

torsdag den. 10 juli 2014


夏らしくて嬉しいです。
公園や海岸、運河沿いのデッキ、どこも日光浴の人でいっぱい!です。
あんなに真っ黒になって大丈夫?と心配になるくらい、ひたすら日光浴です。
美白推進派から見たら呆れてしまいそうですが、しかしここは北欧、
夏の向こうには暗い季節が待っているのです。真夏の太陽は心身ともに
元気の源、みんな今のうちに充電しておこう!という気分なのです。

私もなるべく早めに家事をすまてゆっくりしたい。涼しい風のそよぐ朝の内に
庭の花に水を上げ、それが済んだら午前中に買い物にでかけます。
暑い日にはなるべく簡単にピクニック気分で食べる献立が楽しそう…
そんなことをアレコレ考えながら自転車で行けば、マロニエの並木は丁度花盛りで
甘い香りを放っています。その下を日焼けした幼稚園児達が保母さんと一緒に
散歩しています。そんな何気ない風景の一コマが眩しく感じられます。
さて、私がよく行くスーパにはセルフサービスのレジがあります。当初は賛否両論
だったけれど、今ではすっかり定着してお陰で従来のレジは一列しか無く、
そこはいつも長い列です。次第に私もセルフレジを利用するようになりました。
タッチパネルの表示に従って、購入品をピッ!ピッ!とスキャンしていると
俄レジの人になった気分です。ちょっとお店屋さんごっこ的で楽しい。
本日は新キャベツを見かけたので他のモノと一緒にカゴに入れました。以にも
書きましたが本当に束の間だけの旬の野菜なのです。だから見かけたら必ず購入します。
そして、我が家ではこの柔らかい葉のキャベツが大活躍してくれるのです。
例えば家人の作る特製お好み焼き。山ほどの千切りキャベツの他にエビ、
豚肉、ほんのり甘い卵焼きをさいの目に切って混ぜ合わせてフライパンで焼きます。
ピザのように切り分けて頂きます。他にも自家製ハンバーガーも目先が変わって
楽しいものです。牛ミンチ、カリカリに焼いたベーコン、目玉焼き。トマト、ピクルス、
玉ねぎ、 レタス、ほうれん草等々。脇には新ジャガを茹で上げ、油でカリッと上げた
ホームメイドのフライドポテトが欠かせません。簡単な献立も一手間かけただけで
栄養たっぷりのメニューになります。赤ワインを炭酸で割った即席スパークルワインと
一緒に頬張れば、ちょっとチボリのレストランみたいね、と娘にも好評です。

さて本日の献立は何にしよう?
お天気次第の北欧の夏、どうか今日も一日も晴れてくれますように。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





コペンハーゲン観光で小腹が空いた時にお薦めなのが、若者達が頬張っているPølser =フレンチドッグです。



この日はお好み焼きの他にソース焼きそばも登場、もちろんキャベツがたっぷり入っています。



我が家特製ハンバーガー。PM7:00太陽が眩しくてまるで昼間のようです。



甘くて冷たくて美味しい!港町Drgørの名物アイスクリームです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 248】 by 岡村恭子


VOL.248 サッカーと自転車のこぼれ話

torsdag den. 17 juli 2014


先週末は久しぶりの雨降り、それも気持ち良いくらいのザーザー降りで、
お陰で庭の植物達もすっかり息を吹き返してホッと一安心です。

そして約一ヶ月に及んだサッカーワールドカップもドイツの優勝で幕を
閉じました。日本は予選で敗退してしまい残念だったけれど、でも
ワールドカップに出場しただけでも大したものです。
デンマークの人はサッカー好きで、自分の国は出場資格を得られなかったにも
関わらず、2局あるメインの国営放送が全試合を実況放送、野外特設会場を
設置する程の熱の入れようでした。開催期間中は両局のアナウンサーと
解説者が大挙して現地入りし、日焼けした笑顔で他国の熱戦を伝えていました。
熱心なのは良いけれど、決勝戦(要するに同じ試合)を2つの放送局が実況して
いたのには少々呆れてしまいました。とにもかくにもブラジル大会は無事に終了し、
次回のロシア大会までサヨナラ…これでしばらく静かになる…と思っていたら、
間髪入れずにツールドフランスの始まりです。今度はフランスから実況放送です。
連日自転車のピレネー山越えを放送しています。山中のルートを埋め尽くした
ファンが声援を送っている場面が写ります。その様子はサッカーファンに負けず
劣らず熱狂的ですが、自転車は瞬時に通過してしまうのに一体何が面白いのか?
私にはちょっと理解出来ません。自転車なんて自分で乗ってこそ楽しいと思う
のですが…。そう言えば以前、将来何になりたい?と言う質問に” 自転車の
ロードレーサー “ という男の子がいて、てっきりサッカー選手と答えるだろう、
と高をくくっていた私は想定外の答えに何だか肩すかしを食ったような気がした
の思い出しました。でも、この国の人にとって自転車は最も身近な移動手段だし、
国上げて奨励していますから、サッカーよりも身近に感じるのも無理は無いのです。
スーパーサイクリング道路の整備も目に見えて進んでいる今日この頃、
件の少年もロードレーサー目指してでサイクリングを楽しんでいるでしょう。
サッカーの話から相変わらずの自転車にまつわるお話になってしまいました。
まだまだ話題は尽きません。そうそう、観光に便利なレンタルバイクにも
充電タイプが登場ましたよ。真っ白なボディがお洒落です。
インターネットに繋げて使うのだそうです。スマートフォン必携です。
未だに古い携帯しか持たない私には使用不可…、とうとうレンタルバイクにも置いて
けぼりになってしまったけれど、雨上がりの爽やかな一日、気を取り直して愛用の
ママチャリでサイクリング。海岸線まで行ってみようかな?


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





明るい季節は老いも若きも自転車が一番!



これが充電式レンタルバイク。ハンドル上のタッチパネル表示に従って操作、スマートフォン必携です。



フリーマーケットには赤いレトロな自転車がお似合いです。



最新の自転車専用道路、赤い色が刺激的!思わずスピードを出してしまいそうです。



今朝の庭から。夏の花、ミソハギがきれいに咲きました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 249】 by 岡村恭子


VOL.249 夏の新名所:運河で泳ごう!

torsdag den. 24 juli 2014


真夏のお天気が続いています。連日30℃近くまで気温が上昇して汗ばむ毎日です。
この陽気で子供も大人もみーんな!こんがり小麦色。夏休みという事も
手伝って、ウィークデーの昼間からアイスクリーム片手にサングラス、
水着か?と思うような軽装で闊歩する人々を見ていると、
ここがデンマークだなんて嘘みたい。まるで南欧のリゾート地のようです。
日本など遠くから涼しさを求めて訪れた人は予想外の暑さに驚いているかも
知れません。

コペンハーゲンは海辺の街、そして運河に囲まれた街でもあります。
東西南北、どちらに向かっても少し行けば海か運河に出られます。
海岸沿いの町には必ずヨットハーバーが有り、たくさんのヨットが停泊していて、
そんな風景も如何にも夏のコペンハーゲンらしいなあ、と思います。
そして、お天気の良い日は、思い思いの場所で明るい季節を満喫する。
何をするでも無く太陽の下でのんびり過ごす…。
そんな “ のんびりの達人たち “ の間でこの夏一番の人気スポットが Islands brugge
(イスランス ブルォイグ)です。
かつては貨物の操車場で、その後も不要になったコンテナが放置されたままに
なっていた場所でした。しかし、運河を隔てて直ぐの所には市庁舎やチボリ公園
という好立地なのです。もったいないなあ…どうして開発しないの?と 私は訝しく、
そこを通りかかる度に首を傾げていたものです。
それが10年程前でしょうか?少しずつ工事が始まり、道路が整備され、
モダンな集合住宅が建ち始め、コンテナ集積所は芝生の広場に変身し、運河沿いは
操車場時代の石畳と線路を再利用したペーブメントに生まれ変わりました。
そして、この地域開発プロジェクトの目玉とも言える海水浴場ならぬ “ 運河水浴場 “
が完成したのです。奇抜なアイデアにビックリしたのも束の間、忽ち夏の人気スポット
になり、周辺にはお洒落なカフェやブティックが次々にオープン、今やこの一帯は市民
のオアシス、 コペンハーゲンの夏の新名所となりました。ご近所に住んでいたら、
水着姿になってバス通りを横切って行きたくなるのも頷けますよね。

いくら暑いとは言うものの、やはりここは北欧、朝晩は高原のように爽やかな空気に
包まれます。朝露に濡れてしっとりした庭にはラベンダーが甘い香りを放っています。
夏至祭から丁度ひと月、少しずつ夜の暗さが増して星が明るく見え始めました。
夏の扉一枚向こうには秋が待っているのです。
今のうちに思い切りこの暑さを満喫しておかなくては…、と思っています。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/







ウッド製のお洒落な飛び込み台です。
運河なのでかなり水深は深そうですが今まで無事故です。。



全景です。赤白のポールは監視員のステーション、水泳選手のような逞しい若者達が見守っています。
手前に見えるのは今年完成したボート乗り場、



運河沿いの芝生は日光浴の人でいっぱい!



我が家の庭から 美味しいワインにチーズとパンが有れば幸せ!という夏の夕暮れです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 250】 by 岡村恭子


VOL.250 おかげさまで連載250回

torsdag den. 31 juli 2014


暑中お見舞い申し上げます。

連載200回を祝いビールで乾杯!してから丁度丸一年、
 → VOL.201  200回目のクロスステッチ
 → VOL.202  ビールで乾杯
早いもので、250回目の「きょうのクロスステッチ」となりました。
毎週木曜日に原稿と写真をまとめてお送りすると、ノブエさんがその日の内に
更新して下さる。これを続けて週一回、されど250回です。
書くのが大好きな私ではありますが、相も変わらぬ主婦の日常こぼれ話、
何処を探しても何ひとつ “ こぼれていない! “ …という気分の時も有ります。
そういう時は、例によって小さなシャベル片手に庭に出ます。
草花をかまっている内に、絡まっていた糸がスルスルとほどける様に気持ちが
スッキリして、書きたい事や文章が ぽかり。ぽっかり…と浮び始めます。
今回は日頃の感謝を込めて「ステッチハウスのノブエさん」のことを
書きたいな、と思ったのですが、結果から言うと「私=もらう人」
「彼女=くれる人」というお話になってしまいました。

●今年の誕生日にノブエさんから小さなカタログのようなものを頂きました。
 “ 夫婦でブランチご招待 “という素敵なプレゼントでした。
 普段から朝寝坊の我が家では、毎日がブランチと言えなくもないのですが、
 そんなイイ加減なブランチとは訳が違います。
 その日いつもよりずっと早起きした家人もシャワーを浴びてさっぱり爽やか。
 週末に早起きして朝食も取らずに外出するというだけでも充分スペシャルなのに、
 沢山の候補の中からその日選んだのはウォーターフロントの観光名所、
 朝の散歩を楽しむ観光客に混ざってすっかり旅行者になった気分です。
 ガラス張りのテラス席からは運河、その向こうには国会議事堂などが一望出来ます。
 きれいに盛り合わせられたブランチプレイトに、私のゴキゲンな気持ちも山盛り
 状態でした。その時の様子はhttp://copensmile.exblog.jp/23045974/にて。

●またある時は「キョーコさん、紫蘇の葉いりませんか?」という彼女からの
 メールです。待ち合わせたカフェに50㎝ほども有る根付きの紫蘇を持って
 笑顔のノブエさんがやってきました。
 掘り返したばかりの新鮮な葉っぱです。さっそく庭に植えました。
 その時に「もうひとつ…」と言ってバッグから取り出したのが彼女特製の
 紫蘇の葉の醤油漬けでした。ご飯に巻いて食べたら美味しい、という言葉通り、
 ホントに美味しい。暑い季節にピッタリの副菜です。
 是非とも作り方を教わり、今度番外編でレシピをお知らせしようと思います。 
 
…書いている内に益々お世話になりっぱなしのような感じがして来ましたが、
いやいや私だって頑張ります。 とにかくこの “ 名コンビ? “ で毎週更新
(…して行く予定)の「きょうのクロスステッチ」をこれからもどうぞお楽しみに!


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/











テラスの席で景色を眺めながらのブランチ。
運河沿いの眺めや対岸の子供達が遊ぶ風景は何処かで見た事有るなあ、と思ったら
Fremmeの刺繍のモチーフにそっくりなのでした。



庭に植えた紫蘇。元気に根付いてくれます様に…。



これが噂の?!紫蘇の醤油漬けです。このまま温かいご飯に巻いても
細かく刻んでまぶしても美味しいです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 251】 by 岡村恭子


VOL.251 夏が来ると思い出す。。。

torsdag den. 7 August 2014


8月になりました。
デンマークは一足お先に夏休み終了!です。
子供達は今週から新学期が始まり、職場にも日焼けした人々が戻って、
ホリデー気分抜けきらぬまま緩いスタートを切りました。
それにしても、今年の夏休みはお天気に恵まれました。何でも先月は
140年ぶりの暑い7月だったとか。140年前の記録が有るの?と
その方がビックリ!ですが、少なくとも気象庁始まって以来、それくらい
毎日暑い!暑い!と言いながら “ 夏らしい夏 “ を満喫しました。
ただ、直射日光の下で庭仕事をしていると忽ち日焼けしてしまうし、
レンガもすっかり温まり、お陰で室内は温室状態になってしまいます。
クーラーなど有りませんから西陽の射すリビングは外より暑い!
寝る時も窓を開けたままです。 家の中に入りたくないね…、夜遅くまで
庭で夕涼みをし、スイカや冷たいアイスクリームがこんなに美味しかった
なんて!…と、ヤブ蚊に刺されながらとりとめの無いおしゃべりをしていると、
遠い昔の夏を思い出します。どうも私の中で、夏という季節は幼い頃の思い出に
直結しているようです。

私が子供の頃にはもちろんクーラーなど無くて、冷蔵庫も氷の固まりで
冷やすという何ともプリミティブなものでした。氷屋さんがムシロのような
ものに包んだ大きな氷を荷台に積んでやって来ると、家の前で注文の分だけ
大きなノコギリで切って行く。その時のゴシゴシと言う音、氷の粉を飛ばしながら、
切れ目に沿って透明の四角い氷に真っ白い線が入って行くのを眺めているのは
目にも涼しく大好きでした。氷屋さんが大きなピンセットのようなもので氷を
羽交い締めするように持ち上げて母に渡す、受け取った母は大急ぎで台所まで走り、
木製の冷蔵庫の一番上の戸棚を開けて氷を押し込むのでした。
ああ、これでしばらくは良く冷える…。安堵した様子の母の脇で、あの大きな
氷が冷蔵庫の中を冷却してくれているんだと思うと、またまた涼しい気分になり、
いつまでも解けなければいいのに、と思ったものです。
当時は夜も縁側の戸を開けたまま、蚊帳を吊ってもらって寝ていたような気がする。
もしかしたら子供達が寝てから戸締まりをしていたのかも知れませんが、
とにかく夏の夜は開放的で夜道を歩く人の気配やスズムシやコオロギの鳴く声を
身近に感じたものです。
暑くて眠れない夜、ボツボツと思い出す懐かしい情景。
あの頃の夏は日本もデンマークも人々の暮らしぶりが似ていたような気がします。

夜、開け放した窓からそより、と夜風が部屋の中に静かに入って来ました。
何やら、庭の草達が寝息を立てているような気がします。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





水まき大好き花ちゃん。大きくなった時に今年の夏を思い出してくれるかな?






道行く人も自転車に乗る人もすっかり夏姿 & 水着姿 ?!



ナショナル銀行のお向かいに出現したビーチカフェ。砂浜とヤシの木で気分は南国です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 252】 by 岡村恭子


VOL.252 もっと身近に、もっと気軽にクロスステッチ!

torsdag den. 14 august 2014


暦の上では立秋も過ぎて…。コペンハーゲンはここ数日めっきり涼しく
なってきました。朝晩は長袖が恋しいけれど、日中は20℃と快適指数
100%です。まだまだ陽射しは明るくて、見上げた青空に白いヒコーキ雲が
スーッと一本。今日も気持ち良い午後です。
丁度日本(東京)の10月頃の陽気でしょうか?
サッカー場からは歓声が聞こえて来ます。通りかかった公園では若者達が
バスケットボールに興じていました。バスに乗ると新学期が始まったばかりの
子供達と一緒になって、その賑やかな事。きっと何処かに見学に行くのか?
楽しそうです。秋というのには早すぎる今頃のコペンハーゲン。
街全体に日常の活気が戻り、明るくてカラリとした雰囲気に包まれます。

さて、もうすぐ9月、ステッチハウスのイベント「オープンステッチハウス」を、
今から楽しみにしている方がたくさんいらっしゃることでしょう。
“ 刺繍カフェ “でお互いの作品を見せ合ったり、アドバイスをし合ったり…
趣味を共有する仲間の輪が広がりそうですね。初心者の方やこれから
やってみようかな?と思っている方もカフェに気軽に立ち寄ってみたら
きっと楽しいと思います。

娘が最初にデンマーク刺繍を教わったのは小学校の学童クラブでした。
教室にはパッチワーク用の端切れやアップリケ用のフェルトなど手芸の
材料がお店屋さんのように置いてあって、色とりどりの材料を眺めるだけでも
楽しかったそうです。娘の大好きなカヤ先生は、手芸の事なら何でも知って
いる優しいおばあちゃん先生でした。ある時、子供達に紙と鉛筆を渡して好きな
絵を描く様に言いました。子供達が思い思いの絵を描くと、今度は細かい碁盤線の
引かれた用紙に一コマずつバッテンを入れて絵をモチーフに置き換えて、
そのバッテンのモチーフを自分の好きな色で塗ってゆきます。カヤ先生は適当な
大きさに切ったクロス布を一人一人に渡すと、沢山の美しい刺繍糸を並べて
言いました。「さあ、紙にバッテンした通りに、今度は布に色糸を刺して
ゆきましょう。」針と糸の上手な使い方、ステッチの方法を優しく根気よく
教えてくれます。子供達は指先と鼻の頭に汗をかきながら一生懸命に色糸を
刺して行きます。完成したオリジナル作品を鞄に入れて帰った時のうれしかった事。
…そんな子供の頃を思い出しながら、
きっと、デンマークでは昔からこうしておばあちゃんが孫に刺繍を教え伝えて来た
のだろうなあ…とっても懐かしい思い出、と娘が言いました。

身近なモチーフを色糸で表現する北欧の刺繍の世界をもっと身近に、もっと気軽に!
まずはオープンステッチハウスに出かけてみては如何でしょう?



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/








TIVOLIの花は何処を切り取っても刺繍になりそうです。



孔雀の親子が悠々と園内をお散歩していました。




こんなシーンも刺繍にしたら楽しそうですね!
以上、今年のTIVOLI公園から。



娘が小学校2年生の頃にカヤ先生に教わりながら作った作品。

【きょうのクロスステッチ Vol. 253】 by 岡村恭子


VOL.253 のら猫カナちゃんの思い出。

torsdag den. 21 august 2014


ここ数日、変わり易いお天気が続き、雨の合間の晴れ間を縫って、
外出しようとするそばから、また黒い雲がモクモク…駆け足で買い物を済ませ、
帰宅した直後にザーッという雨の音、その度に「濡れずに良かったあー、
今回も私の勝ち!」と雨雲に向かって言いたくなるような、そんな毎日です。
そして、ひと雨毎に秋の気配が濃くなる今日この頃となりました。
北欧の四季にはグラデーションが無い!と常々思っているけれど、
今年は特別に極端。明るい庭で夕涼みをしながらスイカを頬張っていた場面から、
西陽の当たる暖かい部屋で寛ぐシーンに早変わり、という印象です。

本格的な秋の庭仕事にはまだ少し間がある今頃は花壇をいじりながら、
賑やかだった夏を振り返ったりしています。気の合う仲間達と囲んだBBQ、
次々と咲いてくれた夏の草花…。今年も楽しい思い出が出来ましたが、
ただひとつだけ淋しかった事、それはノラ猫カナちゃんの姿が見られなかった事でした。
去年の今頃は毎日やって来て日だまりで身繕いしていたものです。
それが冬を最後にパッタリと来なくなりました。当初はノラ猫の気まぐれ、と
思い込もうとしていたけれど、それも次第に諦めの気持ちに変わってゆきました。
→VOL.233 祈無事 : のら猫カナちゃん
数年間の短い間だったけれど、私にとっては今迄経験したことの無い一匹の猫との
不思議とも言える出会いでした。
猫好きの友人がカナ猫を一目見て「神さまみたい。」と言ってくれた時には
ちょっと褒め過ぎ、と思ったけれど、実際、他の野良猫がミャーミャーと
うるさいのに比べてカナ猫は無言。一度としてその声を聞いた事がありません。
そのもの静かな様子、人間に媚びる事も無く、かと言って、私達に対する用心深さ
など微塵も感じさせない優しい眼差しでこちらを見る。
獲物を口にくわえて野生の本性を見せることなど思いも寄らない、という風に、
のんびりとして、気ままにやって来ては私達を和ませてくれる。
こんなことでサバイバル出来るのか?他の野良猫達と上手くやって行けるのか?と
心配になってしまうのでした。中でも一番感心したのは人間と一定距離を保ち続ける
毅然とした?態度です。私達が彼女に触ろうとすれば、一歩下がって絶対に触らせて
くれない。いつだったかご飯で家の中まで誘い入れようとしたら、ドアの手前で
困った様子をした挙げ句、食べずに帰ってしまいました。
後ろ姿に向かって「お〜い、カナちゃ〜ん。ご飯食べて行ってよー」と呼べど戻らず。
そんなですから、もちろん、彼女の方から人間の住まいに分け入って来るという気など
さらさらない。分をわきまえた、と言うか、プライドが高いというべきか…。
カナ猫が姿を消してから、他の野良猫がやってくるようになったけれど、
彼等は油断していると少しの隙間からも家の中に入って来るし。動作すばしこく、
目つき鋭く疑い深く、全っく可愛気がありません。
猫好きの人はどんな猫でも等しく愛情を注ぐというけれど、どうやら私にはその
資格は全く無さそうです。
のら猫カナちゃんは一体本当に野良猫だったのでしょうか?
未だに不思議な動物だったような気がしてなりません。神さまみたい、といった
友達の言葉がやけに信憑性を持って浮かんでくるのです。


岡村 恭子
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のら猫カナちゃんの初期の写真。2008年撮影となっています。
結構長い付き合いでした。



秋の日だまりで身繕いするカナ猫 2013年10月。




そして、これが最後にやって来た日のカナちゃん。2014年1月15日。
カナ猫のお陰で猫好きになれた数年間でした。
今も何処かでのんびり暮らしているような気もしています。






今朝の庭から。夏中庭に彩りを添えてくれた紫陽花もドライフラワーになってきました。
草花達も少しずつ冬ごもり準備を始めたようです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 254】 by 岡村恭子


VOL.254 空き瓶の賢い回収方法

torsdag den. 28 august 2014


今年もお隣さんから初秋のご挨拶、無花果のお裾分けが届きました。
ゆるゆるに熟した実をそうっと割って、イチジク独特のスジっぽい果肉を
頬張ると、口いっぱいに甘い味覚が広がります。
その鄙びた味わいはさしずめ干し柿といったところでしょうか。
我が家ではお隣さんから届く無花果が秋を告げる果物なのです。

週末明けのキッチンで…。
「どうして、空き瓶ばかりがこんなに溜まるのか?」
片隅に並べられたワインの空き瓶を睨んで腕組みしていても始まりません。
捨てに行きます!
我が家の夕食のテーブルには晩酌代わりにワインが登場します。
肉料理が多い北欧暮らしにはグラス一杯の赤い葡萄酒は消化を助けて
食欲増進、普段のお総菜も引き立って和やかに食事が進みます。
美味しいね、と言って食べて飲むのは良いけれど、空き瓶がすぐに溜まって
しまうところが玉にキズで、おまけにワインボトルは存外重くてかさばります。
それで4~5本溜まると近所のボトルバンクに捨てに行くことにしています。
ピクルス、ジャム類の空き瓶も一緒に捨てます。
街角にボトルバンクが登場したのは私がデンマークに来て間も無い頃ですから、
もう30年以上も前になります。気軽にポイ捨て感覚が良かったのでしょう。
大いに利用され今ではすっかり市民権を得ている様子です。その事は
このボトルバンクの登場で空き瓶の回収が進み、今や再生利用率が85%と
非常に高いということでも分かります。
同じ空き瓶でもジュースやビール類はビン、缶、ペットボトル共に一本につき
1kr.~3kr.(20円~60円)の代金が含まれています。飲み終わった空缶、
空ビン、ペットボトルはスーパーマーケットの返却機に入れると本数がカウント
されてレシートが出て来ます。買い物の際にレジに提示すれば代金から
差し引いてくれるという優れたシステムです。購入時には瓶代も支払っている
訳ですから、みんなマメに返却します。大きなイベント会場などではビニール
袋一杯に空き缶やペットボトルを集めている子供達を見かけます。
回収してお小遣い稼ぎをしながらイベント会場の清掃にも一役買っていると
いう訳です。他の分別ゴミは思うようにはかどらないデンマークですが、
これだけはみんなとても分別上手です。
ゴミ処理問題は私達が参加出来る数少ない環境問題でもあります。
一人の力ではどうしようもないと諦めず身辺の事から前向きに考えて行く事が
大切だとワインバンクに空き瓶を放り込みながら思った次第です。

一般家庭の分別ゴミに関してはVOL.17をお読み下さい。
 → VOL.17 身近なところから地球を救え!?


岡村 恭子
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私が愛用している " ビニール袋不買キャンペーン " のトートバック。
「私はプラスティックではありません」と書いてあります。




これがボトルバンクです。回収のクレーン車が上部のフックを引っ掛けて
バンクごと持ち上げ、底部を開け、空き瓶をコンテナに移します。



お隣の庭で熟した無花果。秋を知らせる果物です。






今朝の花から…去年の誕生日にノブエさんに頂いた鉢植えの花。
どうなるかな?と思っていたけれど只今花盛りです。うれしいな☆

【きょうのクロスステッチ Vol. 255】 by 岡村恭子


VOL.255 Frederiksberg 散策

torsdag den. 4 septembert 2014


9月になりました。
先週末は4時間に100ミリという集中豪雨でコペンハーゲンッ子もビックリ!
のお天気でしたが、その後はカラリと晴れて、まさにインディアンサマー。
陽射しも柔らかく散歩するのにもって来いの季節となりました。
今回はいくつか有る私のお気に入りの散策コースの中から
Frederiksberg=フレデリックスベアをご紹介したいと思います。

こじんまりと整った町並み、並木道にはお洒落なカフェ、オーガニックの材料を
使って人気のレストランなどが並び、木陰のベンチで人々が憩っている風景は
印象派の絵画を見ているようです。コペンハーゲンの賑わいから比べると、
どこか山の手の雰囲気が漂う。落ち着いた大人の街と言った印象です。
某日、ショッピングがてら散歩していたら…。
偶然通りかかった住宅の中が賑やかそうです。なんだろう?…
垣根の前に椅子を出して座っていた小柄な老紳士の「どうぞお入り!」という
言葉に誘われて中を覗いてみることにしました。何でも一年に一度の
フレデリックスベア老人会主催のバザーということです。
自分で編んだお手製毛糸の帽子、手作り人形、そうかと思うとギャツビーのような
ビーズのちりばめられたドレスもあります。若い頃に着ていた思い出のドレスかも
知れません。私は「Miss デイジー」(ハリウッド映画)のように可愛らしい
おばあちゃんから茶色い革製のキーホルダーを買いました。
…と、こんなハプニングに出会えるのも散歩の楽しみのひとつです。

フレデリックスベアへ行くにはコペンハーゲンセントラルからバスはもちろん、
メトロでも繋がっています。時間があれば中央駅からウインドウショッピングを
しながらのんびりと徒歩で行くのも一興です。そうそう、例の石の象のアーチからも
抜け道して行けますよ。https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1087.html
市民の憩いの場フレデリックスベア公園にはボートで遊べる池も有り、
週末には様々なコンサートやイベントが開催されて沢山の人で賑わいます。また
公園の入り口に有る小さなミュージアム「Storm P. 記念館」はマルチタレントの
Stormオジさんのユーモアとアイロニーそれから発明的イタズラ心が満載!
おもちゃ箱の中に迷い込んだように愉快で不思議な世界が広がっています。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/808.html

喧騒のコペンハーゲンからほんのちょっと足を伸ばして、気の向くままに
散策すれば素敵な発見が有りそうな予感のする、私のお気に入りの
街なのです。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/








初秋の木漏れ日、緑に囲まれた池のほとり。長閑な風景が広がります。



このベランダの奥が老人会のバザー会場でした。



Storm P記念館の壁面のインスタレーション。館内の随所に小さなイタズラ心が…。



この可愛らしい建物がコペンハーゲンのローカルキー局Lorryのステーションです。

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