きょうのクロスステッチ

【きょうのクロスステッチ Vol. 779】 by 岡村恭子

VOL.779 日本でのエピソード その2

tirsdag den. 20 april 2026

あんなに陽光を恋しがっていた冬が嘘のように明るい季節になりました。
緯度が高いので冬とは対照的に太陽の位置が近くて直射日光の威力が半端じゃない。
庭仕事の時には日焼け防止の帽子が欠かせません。
今日は苺の苗を買いました。
広々した苺畑を作るイメージで持ち帰ったけれど、我が家の庭は自由に
使える場所が少なくて苗を抱えて思案しています。
温室が欲しいなあ…。葡萄の蔓に囲まれた温室があったらなあ…、と
果てしなく夢は広がるけれど、現実は庭の隅っこの空き地の何処かという
選択肢しか有りません。
しばらくは窓辺に置いてゆっくりとプランを練ることにしよう。

●日本でのエピソード その2。
日本滞在中はほぼ毎回外食ということになりますが、
夫婦で食べたいものが一致するとは限らず、折り合いつけるのにも一苦労です。
なるべく目星をつけておくのも肝心、と出発前からインターネットで
調べた中に銀座の某お寿司屋さんがありました。
噂に違わずお寿司は何れも文句なく美味しいのですが、どうも寿司職人さんが無愛想
な気がします。江戸前っぽいということかも知れないけれど、もう少し愛想良くても
いいじゃない?と思っていた、そんな時に一人の外国人青年が入ってきて
カウンターの隅っこに座りました。
丁度客が一区切りついて私たちと青年のみのになった時のことです。
件の寿司職人が青年にボソッと英語で国籍を尋ねると「デンマーク」というではありませんか。
驚いた私が「私たちも!」と青年に向かって言った時の彼の驚いた顔!
そこからはデンマーク語での会話が弾み、家人が「まぁ一献」と青年と杯を挙げ、
店内は俄かに和やかな雰囲気に包まれました。カウンター越しの職人さんも急に
快活になり、小皿に突き出しを盛りサービスしてくれ最後はみんなで記念撮影。
ひとしきり盛り上がった後、デンマーク青年Nikと笑顔で別れたのですが、
もし彼が来なかったらどうだったのか?気まずいままだったのでしょうか?
後日、やはり銀座で料理店を営む親友に経緯を話すと、Tさん(家人のこと)は
職業も年齢も判別し難いから話しかけにくかったんだろう、と大笑いしていました。
でも、一番驚いたのはNikに違いない。だって、そうでしょう?
どう見ても日本人の老夫婦がデンマーク語で話しかけたんだから。と
娘も笑って言いました。全くその通りですね。

●誕生日おめでとう
そんな一見強面?の家人も77才になりました。喜寿です。
改めて結構(夫婦揃って)高齢なんだということを痛感します。
デンマークで家具デザイナーとして活動して半世紀と3年目に突入です。
相棒のエリックとは誕生日が9日違いの同い年。デザイン学校の
クラスメートという夫婦よりも長い付き合いで、今や阿吽の呼吸です。
偶然クラスが一緒になったと言うけれど、その時から会うべくして
巡り会ったのだろうと思えてなりません。
人生の出会いも旅先での偶然の出会いも不思議な力で引き合わされている。
そう思うと、これからも生きている限り楽しい巡り合いが待っているはず。
まずは長時間フライトに耐えられる体力維持をモットーに過ごして
もらいましょう。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/










帰るたびに訪れる長野善光寺。
山門の回廊からは市街地が一望出来
毎回お参りする度清々しい気持ちになります。



Nikとお寿司職人さんも一緒の記念写真。
良い思い出になりました。
 


誕生日のシュークリーム、仕上げはMちゃんにお任せ。

 


庭仕事の必須アイテムCaravelleのポシェット。
https://www.instagram.com/caravelle.diary/
庭バサミと携帯がすっぽり収まる優れものです。



いちごの苗と夏の草花の種。
たくさん実って綺麗に咲きますように。



【きょうのクロスステッチ Vol. 778】 by 岡村恭子

VOL.778 ただいま!コペンハーゲン!
     旅の最終章で待っていたサプライズ の巻

mandag den. 7 april 2026

早春の日本を満喫してコペンハーゲンに戻りました。
時差ボケの中、夏時間に切り替わり時計の針を1時間早回し、
一気に明るい季節へ突入しました。そして今はイースターホリデーです。
スーパーもパン屋さんもお休み、町中がのんびりしています。
長期間家を留守にしていた私だけが気忙しく動き回っているみたい。
この辺で一旦落ち着いて庭に出てみましょう。

⚫︎この春最初の庭仕事。
ひいやりした空気が気持ち良い。
手付かずで散らかったままの庭だけど春の息吹がそこかしこに感じられます。
黄色く色づき始めたレンギョウ、水仙やクロッカスなど春の小花が風に揺れています。
ライラックやプラムの木も芽吹いてきました。
ぼんやり眺めてばかりいないでまずは花壇の掃除から始めようと思います。
寒さ避けに被せていた松葉を取り除くとチューリップの葉っぱが顔を
覗かせてくれました。ラベンダーを短く切り揃え、野放図に増え続ける
ムスカリを少し間引きしてあげたら風通しも良くなりました。
イースターホリデー直前のスーパーで見かけた根付きのブルーベリーを
植木鉢に植え込みながら、コペンハーゲンに戻るというその日の
空港で不意打ちを喰らったように驚いた出来事を思い返しています。

⚫︎旅の最終章に待っていたサプライズ。
楽しかった思い出と一緒にコペンハーゲンに戻る日、
混雑する出発ロービーで搭乗開始を待っている時のことでした。
人混みの中から不意に「キョーコさん」と私を呼ぶ声がした気がして
振り向くとそこに笑顔のKちゃんがいたのです。一瞬何かの間違いかと思った
けれど、正真正銘Kちゃんでした。
我が家には建築やデザインを学ぶためデンマークに留学していた学生が
沢山集っていた時期がありましたが、彼女もその中の一人だったのです。
かれこれ20年近く会っていなかったKちゃんが目の前にいる。
それもコペンハーゲン行きの搭乗ゲートで。こんなことって有るでしょうか?
学生時代のクラスメートに道端で偶然出会うというなら驚かないけれど、
私たちの場合は日本とデンマークですから道端でバッタリ!は有り得ないし、
飛行機の搭乗口というごく限定された場所なら尚更です。
今回の旅行直前に(VOL.773)彼女の安否を調べたという事を
書いているのも後から思うと不思議だし(↓こちらをお読みください。)
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2758.html
その本人が目の前に現れたのですから、もうびっくり仰天でした。
Kちゃんはコペン経由でパリに行くとのこと。わざわざコペン経由に
したのだそうです。直行便だったら会えなかった。
私たちの出発が翌日だったら会えなかった。この奇跡的な偶然の再会、
ひょっとして神様が仕掛けてくれた?そんな風に思いたくなりました。
約束なんかしなくてもまた何処かでバッタリ会えると言う彼女に、
そうかなあ?そうかもしれないなあ…。
お互いの連絡先も確認しないまま気づけばコペンハーゲン空港に到着。
彼女はパリ行きの搭乗ゲートへ、私達は到着出口へと手を振って別れたのでした。
私のメールアドレスを走り書きして手渡したのが唯一の連絡網。
まあ、それも良いでしょう。またいつかどこかで会えることを願って。

今日は朝から風が吹いています。雲の流れが早い。
今、夜の8時。外はまだ明るい西の空はオレンジ色の雲がきれいです。
日本は桜が美しいことでしょう。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




コペンハーゲン空港 東京行き搭乗ゲートの様子。



羽田空港 出発ロビーの様子。



4月5日 PM 8:00 西の空にピンク色の雲が美しい。



 


今日の庭から
春の花が庭を彩っています。



【きょうのクロスステッチ Vol. 777】 by 岡村恭子

VOL.777 デンマークの暮らし 寒い日の室内探検 の巻

fridag den. 20 februar 2026

相変わらず氷点下の日が続いています。
陽差しが暖かそうだからと油断して庭に出ようものなら瞬間フローズン、
裏庭の吹き溜まりを長靴で歩くとグサッ!と埋まる感じです。
道路脇に山となっている残雪が凍りついてゴミ収集車も稼働していません。
16年ぶりという冷え込み厳しい冬の毎日、暖かい家の中を動き回っています。

今日は浴室の掃除です。我が家にはバスタブのある広い浴室の他に
シャワーだけの浴室ともう一つ、地下の突き当たりにバスタブ完備の
浴室があります。明かり取りの窓が有るだけの、夜などはちょっと怖い感じのする
殺風景な角部屋です。こんな地下の奥まった場所にどうして?一体誰のための
“ お風呂“ だったのかなあ?…

この家が建てられた1930年代、デンマークの個人住宅の多くは
コークスを燃やして暖房していたそうです。後年、コークスから軽油に
燃料は変わったもののシステム自体は変わらず、私たちが引っ越して来た時も
そんな状態で地下のボイラー室を始めて見た時には盛んに燃えている様子が
まるで機関室のようですごく驚きました。住み始めてすぐに地域暖房の
引き込み工事を敢行し安全な暖房システムになって一安心、今に至ります。
(地域暖房システム=水道と同様に地下に張り巡らされた配管から
暖房用熱湯を供給する循環式暖房方法)
という訳で、この家が建てられた当時は毎日誰かさんが煤だらけになって
絶やさずコークスを燃やしたり暖炉に薪をくべる必要が有ったわけです。
この家にはそういう仕事をする使用人が数名いたそうで、
だから地下の浴室は彼ら専用だったのだ、というのがモノ知りエリックの見解です。
真意のほどは分かりませんが多分そうだろうと思います。
その他にもこの家には面白い仕掛けがあります。

ピンポーン… チャイムがなると玄関に急ぐ前に「ボックス」を確認します。
「ボックス」というのはキッチン廊下の壁に取り付けられた30cmくらいの
木の枠のガラス箱で中に10個の数字が隠されているのです。チャイムがなると
隠れていた数字が出てくる仕掛け。例えば玄関は1、勝手口なら8、と
言った具合です。ボックスの下の棒を軽く上に押すと番号が再び隠れるように
なっていて面白い。こういう仕掛けを他でも見たことがあるような気もしますが
思い出せません。「からくり」という言葉を連想します。
これが案外便利で、外出から戻った時にチェックして1が出ていたら不在中に
誰かが尋ねて来たとわかります。
この家を引き継ぐ際に、それまでの家主さんが面白いでしょ?と言いながら
便利だから絶対に取り除かないようにと念を押していたのがよく分かります。
確かに重宝です。
掃除もひと段落、温かいお茶で一息入れながら、
件の家主さんが「不便を承知でこの家を愛してください。」と言った
言葉をしみじみと思い出しています。

ところで、今年も3月に帰国できることになりました。
このページもしばらくお休みさせて頂きますが、
戻って来る頃にはコペンハーゲンにも春が訪れていることでしょう。
明るい庭からお便りできることを楽しみにしています。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




大人が寝そべられるほど大きなバスタブがある
メインの浴室。



「ボックス」に1が出たら玄関です。
1〜10まで、因みに10は隣のリビングルーム。
食事中にベルを押せばキッチンに控えているメイドが
さっと来た。戦前の贅沢な暮らしが想像できます。







外が寒い日。人々は屋内に憩います。
 






晴れて気持ち良い午後です。
氷点下だけど春めいてきました。



【きょうのクロスステッチ Vol. 776】 by 岡村恭子

VOL.776 デンマークの暮らし 回して回してみんなハッピーの巻

mandag den. 9 februar 2026

お濠に氷が張り、もう少しで氷上スケート解禁になると言う手前で
気温が少し上がってきてしまいました。
今日は+-0℃にまで上昇して雪も解け始めています。
激寒の日が続いていたのでとても暖かく感じられます。

⚫︎節分に届いた年賀状。
節分の頃、一枚の年賀状が届きました。消印は2025年12月19日になっています。
ひと月半かかっているけれどもう驚きません。と言うのも、
去年の今頃にも年賀状とクリスマスカードが数通、輪ゴムでまとめられて届き、
あきれ返ってしまったという事があったからです。今回もやっぱりね、
という感じです。昨年、街角から次々と郵便ポストが姿を消し、年末には
採算が合わない事を理由に一般郵便事業から撤退してしまったデンマーク郵便局。
現在は民間の宅配会社がサイドビジネス的に郵便配達を請け負っています。
年賀状をくれた友人に事の次第を知らせたら、次回は逆算して10月ごろに投函する、
と笑っていました。全く便利なんだか不便なんだか分からない世の中です。

⚫︎回して回してみんなハッピー。
娘夫婦から今まで乗っていた自転車が小さくなったので
“ 赤い自転車“ に交換したいと言ってきました。
“ 赤い自転車“と言うのは娘が幼い頃に乗っていた子供用自転車のことで、
長い間地下室に置いてあったのをエリックの末の孫娘が使う事になり、
数年間大活躍した後、再び地下室で静かに眠っていたのです。
それが今度は我が家の孫娘が使う事になり再び日の目を見る事になったとい
わけです。こうして30年以上経っても尚、子供達の成長の過程で役立って
いると思うととても嬉しいし、モノは大切にしないといけないと改めて思います。
“ 赤い自転車“ も喜んでいるに違いありません。

それにしても子供の成長は本当に早くて、衣類はもちろん遊具や装身具など
買い足す側から不要になったアイテムが増えてゆく。
例え使い回しが出来る環境が有ってさえ、どんどん…と言う感じで増えてしまう。
今回の赤い自転車は幸運にも使いまわしが出来ていますが、
大型のベッドや乳母車なども一時期が過ぎればお払い箱、保存するには場所も
取るし困ったなあ、と言う、そんな時に受け皿になってくれるリサイクルショップが
この町内にも何軒か有り、新品じゃなくても構わない子供の玩具や遊具などは特に
人気があるようです。メルカリのようなネットショップを利用するという人も多い中、
最近注目を浴びているのが大型ショッピングモール内にオープンした
子供用品専門のリサイクルショップです。周辺に遊び場もたくさん出来て
いつ行っても家族連れで賑わっています。
何でもかんでも消費する時代は過ぎました。丁寧に使って次の人にバトンタッチする。

同じようなことが住宅にも言えそうです。
我が家も今年で築90年になりますが、
建築家アルネヤコブセンの設計による住宅が時を経て私たちに引き継がれた
という事を思うと、なんだか歴史的にも意味があるような気がして、
これからも丁寧に使い暮らして次世代に繋げなければ、と改めて思っています。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




代々乗り継がれてゆく “ 赤い自転車 “
レトロ感満載です。






衣類はサイズ別にズラーリと並ぶ。
玩具から乳母車まであらゆる子供用品が
揃う人気のリサイクルショップ。



不要になった本を入れる ブックボックス。
読みたい本があれば持ち帰り自由。
可動式、葉っぱが茂る屋根が可愛い。
 


窓から雪の庭を見る。春はまだ遠い?!


【きょうのクロスステッチ Vol. 775】 by 岡村恭子

VOL.775 デンマークの暮らし クラーラのシナモンロール

lødag den. 31 januar 2026

寒さ厳しい日が続いています。
それでも、明日から2月、節分、立春、と春に近づいてゆく。
冬至からひと月が経過して日照時間も長くなってきました。
春まであともう少し辛抱我慢の今日この頃です。
そんな激寒の午後、エリックが孫娘のクラーラを伴ってやってきました。
クラーラの手には美味しそうなシナモンロールが4個、
おじいちゃんのキッチンで焼いたと愉快そうに差し出しながら言いました。
彼女は大のおじいちゃん子、家族がスキーバカンスに出かけた直後に
学校がインフルエンザの集団感染で突然休校になってしまった。
急遽迎えに行ったという行きさつを話しながらもエリックの嬉しそうな
表情ったらありません。休校だし外は寒いし、というわけでお菓子を焼いて
我が家にやってきてくれたというわけです。

デンマークの教育制度は基本的に9年間の一貫教育です。
クラーラは昨年9年生を卒業して全寮制の学校に進学し家族から離れて
暮らしているのです。彼女の場合は全寮制の学校を選びましたが、
それは少数派で大多数はいわゆる高校に当たるgymnasiaギュムナシアに進学します。
そこで2年間学び卒業試験で合格点を取得すれば大学や更なる専門学校に
進学する資格を得られます。大学受験などありません。若者が高校時代から
受験で苦労するということは皆無、進路も進学時期も本人次第ですから、
すぐに社会人にならず、ギュムナシア終了後にバックパックで世界旅行に
出かけたりと様々。就職する際も学歴よりもスキルが重視されます。
どこを卒業したか?よりも何ができるか?が大切。そのため、上昇志向の高い若者
こそ新卒で就職などとは考えず、自分の能力の向上に磨きをかける。
例えば語学力もそうの一つ、今、日本語をマスターしたいという若者が増えているそうです。
これから日本とデンマーク間のビジネス交流はますます盛んになることだろう事を
期待しています。

クラーラの学校はかなり自由らしく、彼女が今夢中なのはスキューバダイビングだとか
今は室内プールで特訓中だけど春になったら本格的に海でトレーニングするのが
楽しみで、進路なんてまだ決められない。今は自分がやりたいことを一生懸命やっている
のだそうです。側でエリックも頷いていました。本当の意味のゆとり教育かもしれません。
私は彼女の話に耳を傾けながら個人の自由を尊重して決して縛らないデンマークの
教育システムに感心しきりです。
去年秋には祖父母と一緒に2週間のパックツアーに参加して思い切り日本を満喫、
和食が大好きでお寿司はもちろんのこと、マイブームはお好み焼き、たこ焼きだそうで、
おたふくソースが必須アイテムだとも言ってのけるから、時代は変わりました。
別れ際、夏休みに入ったら一緒に和食を作ろう!普段のお母さんの味ね!
そう約束したのでした。

地球の北半球が氷河期に入ったのかと思うくらい、連日氷点下が続いていますが、
窓から雪がカチカチに凍りついた庭を眺めながら、暖かくなった頃のことを
想像しています、去年植え込んだ球根も冷たい土の下から春が来るのを
伺っているに違いありません。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/







クラーラのシナモンロール。
大ぶりで美味しい。



今年で何度目?記念日に薔薇の花束。


 



 
部屋の中ら庭を眺める。
気温が低いので数日前の雪も解けず、
家々の灯りと庭先の桜の木の照明が
Xmasアゲインといった風情。



【きょうのクロスステッチ Vol. 774】 by 岡村恭子

VOL.774 デンマークの暮らし グリーンランドは売り物ではありません。

onsdag den. 21 januar 2026

デンマークでは滅多に見られないオーロラが見られるかも
しれないというのでしばらく夜空を見上げていました。
今夜は新月、お月様は見えません。でも星が瞬いています。
残念ながらオーロラは見えませんでした。

夜空は平穏ですが、年明け早々グリーンランド周辺が騒がしく
大変なことになっています。
普段は静かな島に世界中からジャーナリストが駆けつけて取材合戦、
騒然としている様子です。
(VOL.748「世界一大きな島 グリーンランドのジレンマ」にて
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2693.html
同島とデンマークの歴史的関係、アメリカの思惑などを説明して
いますので興味のある方はお読み下さい。

先週末にはデンマークのフレデリクセン首相の呼びかけで
コペンハーゲン市庁舎前とグリーンランドの首都ヌークで同時集会が
開催され数万人が両国の旗を手に、同島の領有を画策するアメリカに対して
「グリーンランドは売り物じゃない!」と訴えました。
トランプ大統領の「領有できないならアメリカ軍基地撤退」という言葉を
受けてデンマークを始め近隣諸国が派兵、既に現地入りしている模様です。
これってNATOの仲間割れでは?こういうことがまかり通ったら国際秩序など
なくなってしまう。みんなやりたい放題になってしまうのではないか?と
心配になります。

今まで穏やかに暮らしてきたグリーンランドの人々にとっては
年明け早々どんなにか不安な毎日のことでしょう。
そんな中、インタビューで印象的だったのは若者たちもしっかりと自分の
意見を持っていて、その誰もが生まれ育った島への愛着を熱く語る姿でした。
昨年実施したデンマークからの完全独立の是非を問う島民投票では賛成が
56%と過半数を超えたと聞いています。しかし現実的には経済的にも
デンマークに頼らざるを得ません。一方のデンマーク政府は彼らの自主性を
尊重しつつ、グリーンランド及び周辺海域の安全をどのように守ってゆくべきか?
今まで以上に難しい岐路に立たされています。
親しみを込めてグリーンランドは第二の故郷と呼ぶフレデリック国王も
今の状況に心を痛めていることでしょう。
しかし一方で、考えようによっては世界の注目を集めている今こそ
自分たちの島をアピールするチャンスとも言えそうです。
「グリーンランドは私たちの島。売り物じゃない!」
がんばれ、グリーンランド!

まだまだ氷点下の日が続いています。
日本列島にも寒波が接近中と聞きました。
こんな時には無理に外出せず、どうぞ春の花の刺繍などでお楽しみ下さい。
刺繍のできない私は地下に山積みのガラクタを断捨離しようと思います。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/







冬のデンマーク田園風景より
野原に放たれた豚たち。氷点下になんて負けない!
美しい夕焼け。



真冬のニューハウンはちょっと少し寂しげ。



グリーンランド
面積は日本の国土の約7倍、その80%が氷に覆われている。



【きょうのクロスステッチ Vol. 773】 by 岡村恭子

VOL.773 デンマークの暮らし

氷点下の昼下がり 思い出す懐かしいあの頃。

mandag den. 12 januar 2026

氷点下の日が続いていますがここ2、3日晴れて気持ち良い日です。
積もっていた雪が陽当たりの良いところから順に解けるのを見て
日光の温もりを感じる。確実に春に向かっていると嬉しくなる。
それは北欧に暮らす人の共通の思いです。

⚫︎懐かしい思い出。
今から遡ること20年以上も前のこと。
我が家にはたくさんの留学生が集っていました。
主に王立アカデミーで建築やデザインを学ぶ学生たちでした。
一体どうしてそうなったのか?インターネットもない時代ですから
多分人から人へと我が家の事が伝わって行ったのでしょう。…が、
それにしても我ながら感心するほど毎日のようにたくさんの若い人たちが
やってきて、みんなで食卓を囲み、夜中までデザインや建築談議に
花が咲いてそれは賑やかなことでした。お勝手口から「ただいまー!」と
やってくる若者もいて、そんな時に「おかえりー」と答えるのも楽しい。
桜の季節には花見、サクランボが実ればサクランボ摘み、
夏はバーベキューで真夜中まで庭で過ごし、冬は暖炉を囲んでおしゃべり。
まるで大家族のようなのでした。
あの頃、熱く将来の夢を語っていた彼らも現在では各分野の一線で活躍しています。
当時をきっかけに家族同然の付き合いになったり、SNSで繋がり
お互いの近況を報告しあったり、結婚の報告で再訪してくれた人も
一人ならずいます。私たちの帰国時に駆けつけてくれる仲間たちとは
今も当時の気分に戻っておしゃべりは尽きません。
そんな中で音信不通になった懐かしい一人にK-ちゃんがいます。
アカデミー留学時期を過ぎた後も交流は続き、彼女にまつわる微笑ましくも
存在感が散りばめられた魅力的なエピソードは数知れず。
書いたら長くなるから省きますが、とにかくいつも気に掛かっていました。
元気にしているかなあ?…と、先日も丁度そんな風に彼女のことを思い出し
何気なく検索したら、あらら、いとも簡単に出たではありませんか。
同姓同名ということも有ると検索を進めて行くと、これは絶対に彼女だという
確信に至る箇所が出てきました。
更新日がずいぶん前だから状況の変化はあるでしょうが、理由あって連絡が
途絶えているK-ちゃんが元気にしているらしいと判明して嬉しかった。
その日の私は雲が切れたようにスッキリ!母のような気持ちになって安堵したのでした。

結婚を機にデンマークに暮らし始めて半世紀近く。
私の人生、正解だったのかなあ?…日本にいたらどんなだったろう?と
たまにそんなことを思う時もありますが、デンマークの片隅に暮らしていたからこそ
沢山の素晴らしい出会いが有ったのだと思えば満更でも無い。
そして今、各分野で活躍している彼らを少し眩しく眺めながら
これからも応援をし続けようと思っています。
「みんなお腹いっぱい食べてるー?」ってね。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




カチン!と固まっている庭先。でも空が明るい!



教会の前のベンチで語り合う二人。寒くないのかな?



氷点下だけど明るい陽射しに雪も溶け始めています。









近所のスーパーの売り場より。
見た目も美味しそうなSmørrebrød スモーガスボード。
お肉は全体的に大きめサイズ。
ワインは結構充実しています。



【きょうのクロスステッチ Vol. 772】 by 岡村恭子

VOL.772 2026年謹賀新年 今年もどうぞよろしく!

今年の書き初めは「優先順位」?!

mandag den. 5 januar 2026

新年明けましておめでとうございます。
今年もコペンハーゲンから日々の便りをお届けしたいと思っています。
どうぞ刺繍の合間にお楽しみください。

⚫︎我が家のお正月
大晦日、12時の時報を合図に町中で花火が上がります。
私には賑やかを通り越して騒音のようにしか感じられないし、
元旦には打ち上げた後の花火の残骸が街のあちこちに散乱、
時には我が家の庭にも飛来していて清らかさのカケラも無い。
シャンパンで新年を祝った後はみんな二日酔いの寝正月、
街はひっそりと静まり返っています。
そんなデンマークの元旦ではありますが、
せめて我が家だけでもお正月らしく家族が集い今年もどうぞよろしく!と
新年の挨拶をして、心尽くしのご馳走を囲みお腹がいっぱいになったところで
恒例のお書き初めです。

娘がまだ小学生の頃にお正月にちなんだ俳句(川柳)を作って面白がったのが
始まりで、以来毎年元旦にはそれぞれが好きな文字を書いて楽しむようになりました。
今年の私が書き初めに選んだ言葉は「優先順位」です。
なあに?それ?まるで標語みたいという声が聞こえてきそうです。
確かに今年の “ 自分への標語 “ といえば分かり易い。
それは、大晦日を目前にした某日、夫婦で他愛無いおしゃべりを
していた時のことでした。会話の最中にふと気がついたのです。
例えば、頭の中では自分のすべき行動を順序立てて考えているのに、
実際にはそうならず、中途半端に終わって仕舞う事の何と多いことか、と。
現にその時にも話し相手(この場合は家人)の言うことは上の空で
お正月料理のことなど考えて心ここに在らず的な生返事をしてしまった。
結果、会話も弾まず、お料理の準備も進まず。…そんなことが発端で
浮かんできた言葉です。
想像力の欠如とともに物事の優先順位をきちんと把握することが大切と肝に銘じて。
ひょっとして「想像力」または「集中力」と書くべきだったかな?
いずれにしてもこの一年、肝に銘じようと思います。

⚫︎フローズンな年明け
和やかな元旦を過ごした後、目覚めたら一面銀世界でした。
久しぶりの冬らしい景色に思わず感嘆の声が出ます。美しい…。
でも、それも束の間、気温はどんどん下がり日中でも氷点下です。
当分の間北極からの大寒波がデンマーク上空をすっぽりと包み込んで
冷凍庫状態が続くらしい。
でも記録的に暖かかった12月を思い出すとこのくらい冷え込んで上等!と思えてきます。
特に植物にとってはぐんと冷え込んだ冬を越した植物ほど健やかに育つと言います。
凍える土の下できっと春の気配が訪れるのを伺っているに違いない。
そういえば、なんとなく空に明るさが戻ってきたような気がします。

優先順位、優先順位、と肝に銘じつつ楽しくお便りしてゆきたいと思います。
今年もどうぞよろしく!

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/










最初の3枚は全てお正月のTIVOLI公園より
雪化粧して物語の世界のようです。



元旦の食卓風景

<

午年の干支にちなんだお書き初めも。



【きょうのクロスステッチ Vol. 771】 by 岡村恭子

VOL.771 デンマークの暮らし 今年最後のページに寄せて。

子供の夢を育むデンマークのXmas

torsdag den. 11 december 2025

ひと月ほど掲載をお休みしている間に12月も半ばとなってしまいました。
Xmasシーズンだというのに嘘のように暖かい毎日が続いています。
庭の隅っこでは春が来たと勘違いした小さな花が咲いています。
今日も10℃まで気温が上昇、思わず着ていたセーターを脱ぎました。
身をすくめるような寒い冬が恋しい今日この頃ですが、
それでも12月1日から24日まで毎日がXmasです。
屋根裏部屋では今日も赤い帽子を被ったNisse達(=北欧伝説のXmasの妖精)が
愉快なことを企んでいるに違いない。

⚫︎子供の夢を育むXmasシーズン
MちゃんはXmasが大好きな4歳の女の子です。
毎朝幼稚園に行く時には赤いNisseの三角帽子を被って出かけます。
今日こそ自分の番かもしれない!
そう思っただけで小さな自転車を漕ぐ足にも力が入ります。
幼稚園に着くと仲良しが待っていました。
今日キャンドルに火を灯すのは誰かなあ?
みんなワクワクしています。Mちゃんもドキドキしています。
1から24までの数字が刻まれたXmasキャンドルを毎日その日の分だけ灯し、
少しずつXmas本番が近づいて来るのを心待ちにするのです。
残念ながら今日もMちゃんの番は回ってきませんでした。
きっともうすぐでしょう。

12月に入った最初の日曜日、外に出ようとドアを開けたMちゃんは
ドアノブに何かが掛かっているのを見つけました。
なんだろう?… Xmasの包装紙の中から出てきたのはピンク色のヘアバンドが2つ。
ママが包みを開けながら「可愛い姉妹に、Nisseより」と書いてある、と
教えてくれたからMちゃんはびっくり仰天!やっぱりいた!
屋根裏部屋にNisseはいるんだ!
次の日曜日にはクレヨンとチョコレートでした。
もう疑う余地はありません。絶対にNisseが住んでいる。
Mちゃんは天を見上げて「ありがとう」と呟いた。…と、こんな話を聞いたら
大抵の人はそれは両親に決まっていると思うだろうけれど違うのです。
実は上階に暮らすミセス・ジューンが密かにNisseを演じてくれていたのでした。
会えば笑顔でMちゃんに話しかけてくる “ ジューンおばちゃん“ です。
Xmasまであと2回、日曜日のプレゼントを思案するミセス・ジューンと
ドアを開けるのを楽しみにしているMちゃん。二人のワクワクドキドキは続きます。
こうして子供の想像力を掻き立てるデンマークのXmasシーズンは
クライマックスに向かってゆくのです。

この国に暮らして知った暗い季節を明るく過ごす最大の工夫は
まさにこのようなほんのちょっとした日々の中にありました。
人々がお互いを思いやり、ささやかな楽しみを見出して過ごす。
デンマークのXmasシーズンは “ 一年で最も暗い日=冬至 “ を
忘れる術でもあるのだと合点したのです。

さて、悲喜交々、色々と有った2025年も残りわずかとなりました。
「きょうのクロスステッチ」も今年最後のページです。
この一年ご愛読ありがとうございました。
来年も引き続きささやかな日常の出来事などお伝えできれば幸いです。

みなさまも素敵なXmasと明るい新年を迎えられますように…。
Merry Christmas 🌲 & Happy New Year 2026 🎍

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




今年も美しくライトアップされたホテルdAngleterre。



コペンハーゲン中央駅の大きなツリー。



ロイヤルコペンハーゲンのXmasテーブルディスプレイ。



お花屋さんの店先もクリスマス一色です。




我が家にずっと居る小さなNisse達。
ちょっぴり頑固親父的なNisseとスキーで遊ぶ子供nisse。
毎年Xmasシーズンになると家のどこかに現れます。



某日、みんなでXmasキャンドルを作りました。
写真は筆者作。枯れた紫陽花がイイ感じ、と自己満足。




【きょうのクロスステッチ Vol. 770】 by 岡村恭子

VOL.770 デンマークの暮らし 11月の日々雑記
デンマークの地方選挙で思う事。

tirsdag den. 18 november 2025

只今、ちょうど12時のお昼時、
驚くほどすっきりとした青空が広がっています。
太陽の位置がとても低いので隣家の庭越しに
鋭角に陽光が差し込んで思わず声が出るほど眩しい!
まるでお日様が通りすがりに挨拶してくれたみたいで嬉しい。
キッチンの窓につけてある寒暖計の針を覗いたら+2℃でした。

閉め忘れていた庭の水道の元栓を止めて蛇口を開き余分の水を抜いて、
掃いても掃いても終わらないかに見えた落ち葉掃きもほぼ終わり、
春先の球根を植え込んだ箇所に松葉のお布団をかけてあげて、
今年の外回り作業は終了です。

明日は地方選挙の投票日です。
国政選挙の投票権は無いものの地方選挙に関しては
永住権のある外国人の私たちにも選挙権が与えられています。
デンマークに暮らす移民は全人口の10%を少し上まわっているそうで、
私たち夫婦もその中に含まれるわけです。そういう人々にも選挙権が
あるなんてすごい!と思っているし権利を与えられて嬉しいけれど、
私たちは一歩下がって投票は遠慮しています。
地域住民が選んだ人で間違いないと思うからです。
好き好んでこの国に暮らすからにはデンマークの人々のルールに従うのは
当然の事、少し距離を置いて各政党、候補者の訴えを聞いているだけでも
この国の政治のあり方を知り、市民に直結した身近な政治を実感できます。
今回の地方選ではコペンハーゲンを中心に都市部での住宅不足と不動産高騰、
いわゆる不動産バブル的な現象問題と、反比例するような地方都市の高齢化と
過疎化問題で、何処も同じ問題を抱えていると実感します。
この現状を食い止める方策は如何に?各党候補が丁々発止でデジタル発信する中、
ロシアのハッキングが発生!標的になった選挙事務所がアタフタしていました。
しかし、ロシアによるこの手の妨害は日常茶飯事。
常にウクライナに寄り添う姿勢示してきたデンマークは格好の標的なのです。
新しいカタチの戦争が身近と感じるのもこんな時です。
そんなことも含め、今回の選挙結果がどう出るか?興味津々と行ったところです。

毎日慌ただしくしているうちに、Xmasの計画を立てる頃となりました。
娘が幼かった頃には手作りのクリスマスカレンダーを飾ったものですが、
今ではスーパーにもお菓子の入ったカレンダーが山積み、以前ほど人気が
あるようには見えません。いつでも甘いお菓子で満たされている昨今の
子供達の興味は他にあるのでしょう。
あの頃は良かった、という話に花が咲くのも歳をとった証拠ですね。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




各候補者は思い思いの場所にポスターを取り付けます。
良い場所確保のコツは公示日早朝、だそう。






初めての誕生日から。家族が増えて賑やかなこと。






庭先の桜の枝に電飾をつけました。
PM1:00 太陽はこれ以上昇らない。このまま沈んでゆきます。



商品カテゴリ

■ おすすめ!

■即日発送可

■ 刺繍キット / デンマーク

■ 刺繍キット /スウェーデン

■ 刺繍キット/ ドイツ

■ 刺繍キット / イギリス

■ 刺繍キット / フランス

■ 図案集 / 図案 / 本

■ 糸 /布 / 小物

■ 小物

カレンダー
  • 今日
  • 発送休み
  • メール返信休み(土・日)

★<ご注文確定メール>を7営業日以内にお送りいたします。
【送料、割引などを含む合計金額】はそちらでご確認ください。

★土・日曜日のメール返信はお休みとなります。


下記にメールアドレスを入力し登録ボタンを押して下さい。

変更・解除・お知らせはこちら

アンティーク&ヴィンテージ

スウェーデンより北欧ヴィンテージ雑貨を扱うショップのご紹介。ジュエリー、テキスタイル、手芸中古書もあり。センスの良さは抜群です。秋田市に実店舗もあります。
http://www.antique-vintage.net

<姉妹店 マリリア>

ジョージ・ジェンセン、トロールビーズ、ロイヤルコペンハーゲンをはじめシンプルで感性の高い北欧デザインをご紹介しています。www.mariliadk.com

ページトップへ