きょうのクロスステッチ

【きょうのクロスステッチ Vol. 754】 by 岡村恭子

VOL.754 デンマークの暮らし さくらんぼの実る頃

tirsdag den. 3 juli 2025

ヨーロッパは長いバカンスに入りました。
ここ数年、バカンスの避暑地としてデンマークの人気が急上昇だそうです。
少し前まで夏休みになったら太陽燦々の南欧にというのが主流だったのが、
今は猛暑の南欧から涼しい北欧へと旅行者の流れが大きく変わり、
イタリアのベニスほどではないけれどコペンハーゲンはどのホテルも満室、
レストランやカフェは従業員不足が悩みの種とか。
気候変動はこんな所にも大きな変化をもたらしている様子です。

⚫︎さくらんぼの実る頃
そろそろ垣根の刈り込みをしなくちゃね。
そんなことを話していたら、義息子がそういうことなら僕にお任せ!
と駆けつけてくれました。助っ人登場で家人の作業も大幅軽減、
私は少し離れて腕組みして、あそこもう少し短くお願い、なんて
まるで現場監督です。通りがかりの人が笑顔で挨拶してゆきます。
いつもより何倍も手っ取り早く今年の「垣根の床屋さん」も無事終わり、
一汗かいて冷たいジュースでホッと一息、庭先の椅子に陣取って
庭をグルリと見渡せば、庭木も鬱蒼としているし、それらの周辺はツタやら
雑草やらが自由奔放に土を覆っています。やれやれ…垣根以外にも夏の庭仕事は
エンドレスなのです。
以前は夕食の後にも気になった箇所の草取りや枝払いに夢中になって気づいたら
既に夜の9時を過ぎていた、なんていうこともありましたが今はもう無理できません。
少しずつ出来るところまでと自分に言い聞かせています。

我が家のシンボルツリーだった大きな桜の老木が朽ち果てた後、
新たに植えたさくらんぼの実る苗木が我が家のメンバーになって
早5年が経ちました。少しずつ成長して今年はさくらんぼが沢山付きました。
毎朝鳩がやってきて啄んでは食べかけをポイっとするので、ダメっ!と声に出して
追い払いながら朝の庭を一回り、ひいやリとした空気が気持ち良い。
花の終わったバラを摘んだり、庭の隅っこに群生しているラズベリーの
赤くなったのを選んで摘んだり、植木鉢のイチゴを摘んで落とさないよう
両手をすぼめて裏庭に回り、お勝手口からキッチンに直行するのがルーティーンです。
摘みたてのベリーをヨーグルトに乗せて、珈琲沸かしている間にメールチェックして、
トーストが焼けたらバターを塗って、東の窓越しに見える青空を眺めなら
簡単な朝食を済ませます。

冬の間きっちりと閉め切っていたドアも窓も開け放して…、
家の中を風が通り過ぎてゆく。
庭履きがその辺に散らかっているけど気にしない。
置きっぱなしの子供用の滑り台やボールが転がっている芝生。
賑やかで少し片付いていないのも何だか気分を明るくしてくれる。
さくらんぼの実る頃、我が家の庭も夏全開です。

⚫︎今週金曜日からコペンハーゲンジャズフェスティバル。
町中がスィングします。コペンハーゲンにいらっしゃる方はチェックしてください。
https://jazz.dk/copenhagen-jazz-festival-2025/forside/

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/










Frederiksberghaveの野外音楽フェスティバルより
https://www.visitfrederiksberg.dk/event/frederiksberg-have
コペンハーゲン動物園に隣接した広大な庭園公園。
人々が思い思いにのんびりと過ごしています。



さくらんぼが赤く色づいて。
食べごろになるまで鳩との戦いは続きます。



垣根は終わり、今は庭の荒れ放題のコーナーを整備中。






色とりどりに咲き乱れる花と、花の終わった芍薬、
これから咲き始める紫陽花。



【きょうのクロスステッチ Vol. 753】 by 岡村恭子

VOL.753 デンマークの暮らし 夏至の頃の日々雑記

     ウナギは無いけれど「たれ」は有るの巻

tirsdag den. 26 juni 2025

夏至が人々の頭上を通過してゆきました。
紐で括り付けて引き止めたいような気分になっていたけれど、
過ぎてしまえば、昨日と同じ明るい夏の日が続いている。
私は今日も何食わぬ顔して庭先の花に水やりをしています。

⚫︎庭でピクニックしましょう。
朝から晴れて気持ち良い日曜日、
娘世代のお友達家族が集まって終日ピクニックのように庭で
気ままに過ごしました。
明るい空の下で遊ぶ子供たちに混ざってボールを蹴ったり、
気のおけない仲間たちとのんびり過ごすのは如何にも夏らしいひと時です。

焼き上がったお肉を頬張りながら「鰻の蒲焼き談義」で盛り上がりました。
今回の旅行では好物の鰻の蒲焼きを思う存分食べるんだ!と出発前から張り切っていた家人、
日本到着早々、名店と謳う鰻重弁当を買ったのを皮切りに色々と試してみたものの
全てに満足といわけに行かず消化不良のままコペンハーゲンに戻ったある日、
近所のアジアン食材店の棚に並ぶ「鰻のたれ」と書かれた小ぶりの容器に目が止まった。
帰宅早々そのタレを使って豚バラ肉をグリルしたら、これが旨い!
いくらでも食べられると絶賛する家人に、J-氏も大きく頷きました。
彼が仕事で半年もの間メキシコに滞在した際、連日のタコス料理に辟易している時に
スーパーで件のタレに巡り合い命拾いした気分になったと、やはり「鰻のたれ」大絶賛でした。
昔 キッコーマン、今 鰻のたれ。
日本人の郷愁を誘う味覚の原点と言えそうです。

面白ついでに、今回の旅をきっかけに今家人がハマっているもう一品、
それが缶詰活用の“ 機内食風ラザニア“ です。
コペンハーゲン発の機内食で出てきたラザニアが今まで食べた中で一番美味しい
とまで言い放つのですから私の立場などあったものではありません。
どう見ても本格的イタリアンではないのですが、彼にはこの如何にも機内食という
ラザニアが忘れられないほど美味しかった…らしい。
日本から戻り、早速機内食風ラザニアの再現に挑戦しました。試行錯誤の結果、
結論から言うとトマトソースを作らず市販の缶詰を使う。
材料は生のラザニア板、ペシャメルソース(自家製)それに缶詰のボロネーズソースと
チーズ、以上です。簡単すぎて料理と言えないし、イタリアンとは程遠い気がしますが、
本人が大満足なので手抜きと言わず創意工夫と言いましょう。

とかく旅の思い出というのは楽しかった事や美味しいものを食べたことよりも
それにまつわる面白おかしな失敗談ばかりが蘇る。そして
それこそが旅の楽しみなのかもしれないなと思ったりしています。

⚫︎本日(23日月曜日)は夏至祭です。
水辺や広い野原で大きな焚き火を囲んで夏至の歌を歌い、
明るい夜を喜び合うのですが、残念ながら荒れ模様のお天気です。
雨と風に雷も混ざって本当になんという天気なんでしょう。
明日天気なあれ〜。



岡村 恭子

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夏の草花が咲く庭で気ままに過ごす。
お腹が空いたらテーブルに立ち寄って、
シャボン玉飛ばしたり、絵本を読んだり。。






二人だけの夕食も庭先で。
鰻のたれで豚バラ肉をグリルしたり、
缶詰使って簡単ラザニアを作ったり。。



  • 2025.06.26
  • 23:21

【きょうのクロスステッチ Vol. 752】 by 岡村恭子

VOL.752 デンマークの暮らし ふとした時に蘇る懐かしい思い出

tirsdag den. 17 juni 2025

●1980年台の夏の思い出
煉瓦造りの4階建てアパートの2階、狭いけれど南側に小さなベランダ、
そこに括りつけのテーブルとIKEAで買った白い椅子、プランターに植えた花が揺れる。
ベランダでのんびりしていると下を通る住人たちが手を振って挨拶してゆく。
夕方、キッチンでコロッケを作っていると階段を上がってくる音、
開け放ったままの玄関ドアから「父さん来ている?」ジミーが顔をのぞかせる。
「今日はまだ」と言いながら出来立てのコロッケを一つキッチンペーパーに
包んで手渡すと、熱々を頬張り後ろ手に手を振りながら階段を降りて行った。
その明るい足音。
夏のコペンハーゲンはカラリとした空気の中で様々な音が明るく響く。
日本から来たばかりの私には、そんな些細なことまで楽しいのでした。
私のデンマークでの生活が気取りのない住人たちに囲まれてスタートしたことは
本当に幸運だったと思っています。

●ヨアンとリスの思い出。
コロッケを頬張っていた少年ジミーの両親がヨアンとリスです。
ヨアンは家人にとって本当に気のおけない親友でした。
奥さんのリスはデンマークに不慣れだった私をスーパーに連れ出して
商品の内容を手振り身振りで教えてくれたり、
デンマーク料理の作り方を教えてくれたのも彼女、
我が家のクリスマスの献立は今も彼女のレシピに従って作っています。
1週間に一回、夕食後のひと時を女友達と過ごすという集まりに誘って
くれたのもリスでした。気さくでおしゃべり好きなメンバーに加わって
日本から来たばかりで言葉など通じなかったはずなのに、
一緒になって笑い、不思議なくらい理解できたような気がする。
彼女たちとのおしゃべりは楽しいだけでなく、新参者の私にとって
デンマークの日常的文化を学ぶまたと無い良い機会になったのでした。
夏の日差しが明るい午後、ヨアンが所有する船が停泊しているハーバーまで
自転車で向かう。頭上をカモメが飛んで行く。
年季の入ったマホガニー製で小さいキッチンとベッドもある素敵な船でした。
沖に停泊して魚釣りの糸を垂らして珈琲ブレイク。
そんな時、波に揺られてのんびりしている自分をもう一人の自分が
「どうしてそこにいるの?」と訝しそうにしている気がした、懐かしいあの頃…。
やがて、ヨアンがこの世を去り、他のメンバーも散り散りになり、
掛け替えのない懐かしい思い出だけが今も心に残っています。
そして、気付けば人生の半分以上がデンマークの暮らしとなりました。

●笑って暮らせる幸せ。
夏らしいお天気に恵まれた週末、少し早めの誕生日というわけで、
庭でBBQをすることになりました。
手際よくテーブルの準備をする娘の様子を見ながら
まだ母が元気だった頃、彼女の代わりに台所に立つ私の傍で
「いつの間にか世代交代ね」と言った母の笑顔に今の自分が重なるようです。
家族と一緒に笑って誕生日を迎えられる幸せを思った一日でした。



岡村 恭子

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只今BBQ準備中!






誕生日の必須アイテム。
風で消される前に急いでロウソクをフ〜しましょう。



プレゼントの豪華なバラと素朴な庭のバラ。
どちらも美しい。






今日の庭から
サーモンオレンジのカプリフォリと
白い野薔薇が花盛りです。



【きょうのクロスステッチ Vol. 751】 by 岡村恭子

VOL.751 デンマークの暮らし 明るい季節を満喫しよう!の巻

tirsdag den. 10 juni 2025

週明けの月曜日。デンマークは連休でお休みでした。
6月に入っても肌寒い日が続きセーターを着込んだりしていますが、
とにかく大人も子供も家の中になんていられない。
今週末には気温上昇という嬉しい予報です。
汗かくほどのお天気になることを期待しましょう。

⚫︎短い夏を満喫する。
みんな太陽の下で明るい季節を満喫したい。
公園や街角のカフェはどこもそんな人たちで賑わっています。
芝生で遊ぶ子供たち、公園の木陰で憩う人々、運河沿いのベンチで
日光浴しながらおしゃべりに興じる若者達の声が聞こえるようです。

夏至際には水辺で大きな焚き火を囲み明るい季節に感謝しつつ、
また暗い季節へとUターンしてゆく一抹の寂しさを皆で共有します。
日本の四季は春夏秋冬、春分&秋分、淡い色合いの水彩画を見るように
穏やかに変化するイメージですが、デンマークでは「夏至&冬至」という
極端な明暗で二分される。
このコントラストは気分的にかなりきついものが有ります。
私などは夏至にもなっていない今頃から、またあの暗い季節に向かうのか?と
思っただけで元気が削がれそう。そんな気持ちになるのは自分だけかと思って
いたらエリックも同じように嘆いたのでちょっと安心しました。
…などと書きながら、いえいえ、夏本番はこれからなのです。
気持ちを切り替えなくては!

6月も末になると思い思いの地で夏休みを過ごす人で空港も駅も混雑します。
コロナ禍で辛抱を強いられていた反動で、去年あたりから海外旅行に
行く人が急増中とのこと。
ご近所でも長期間留守にする家が多いし、パン屋さん、お花屋さんなどの
個人商店も夏季休業に入ります。町内が閑散としてしまう。
旅行ではなくサマーハウスで過ごすという人も多い。
一口にサマーハウスと言っても色々ですが、親から引き継いだり、
古い物件を格安で入手してリノベーションするケースもよく耳にします。
エリックもその一人、両親の小さなサマーハウスを数年間かけて
ファミリーメンバーがシェアして使えるよう改造しました。
同じような例を他にも見聞きしているとDIYでリフォームを楽しみながら
少々の不便と非日常的な環境に身を置いていること自体を楽しんでいる
のかな?と思えてきます。

「デンマークには日本のように溢れるほどのモノは無いけれど、
のんびりとした時間とそれを楽しむ気持ちがたっぷり有る。」と言う
家人の言葉通り、この国の人は誰もが長い夏休みの過ごし方を
心得ていると感心します。

何処に行く予定も、サマーハウスも無い私は、
もっぱら庭の草花を相手に過ごす予定です。
今日も気が向くままに庭とキッチンを往復をしている内に夜になりました。
とても明るい夜です。
遠くから人々のざわめきが聞こえてきます。
雨あがりの夜空にまん丸お月様が笑っていました。

岡村 恭子

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Frilands Museum
広大な敷地内には古民家が点在。
大きな木陰でお弁当を広げて憩いのひと時。






Frilands Museum
広場ではサーカスの曲芸に子供たちの大歓声が響きます。
他にも楽しいゲームがいっぱい!









今日の庭より
薔薇が次々と咲き始めています。



【きょうのクロスステッチ Vol. 750】 by 岡村恭子

VOL.750 デンマークの暮らし 初夏の庭仕事&私の居場所は何処?の巻

mandag den. 2 juni 2025

瞬く間に5月が過ぎて明日から6月。
子供達はテストの真っ最中、それが終わると卒業シーズン、
そして長い夏休みが待っています。

⚫︎5月の庭は大忙し。
ライラックの花は散り、薔薇の蕾が膨らんできました。
ラズベリーも花をたくさん付けて豊作の予感がします。
サクランボは赤く熟すまでに鳩たちが全部啄んでしまいそうです。
エルダーフラワーの白い花が咲き始めました。
デンマークの人はこの花でシロップを作ります。でも私は作ったことが無い。
私は野菜も作らない。パセリ、ミニトマト、じゃが芋などを育ててみた事は
有るけれど結果的に大した成果は得られず、家庭菜園にはもっと良い土と、
気温の低いデンマークでは温室が必須だという結論に至りました。
いつか温室を作って自家製の野菜や果物を育てられる日がきたら素敵だろうけれど、
今は好き勝手な場所から増え続けるラズベリーやオレガノの間引きをしたり、
サクランボの葉に付いたアブラムシの駆除作業や、小枝が重くなり過ぎた
庭木の剪定など日々の手入れに追われているばかりです。
それでも夕食後、置きっ放しだった道具を片付けながらしばし庭先でのんびり、
耳を澄ますと植物の息遣いが聞こえてくるような気がしてきます。
野良猫が一匹、音もなく芝生を横切ってゆきました。
特別なことも無く、ただ心地良い初夏の夜です。

⚫︎ここが私の居る場所。
先日、久しぶりにステッチハウスの延江さんを訪ねて、
彼女お手製のケーキでおしゃべりタイムを過ごした時のこと、
春の日本旅行の話題になりました。
美味しい食べ物、優しい人々、どこに居ても日本語が通じるという
当たり前の事まで全てが魅力的で居心地の良い“ 故郷日本“ 。
今度いつ帰る?春かな?秋も良さそう…と話しが弾むうちにハッ!としました。
ご両親の暮らす実家のある延江さんには帰る場所があるけれど、
とっくの昔に実家など無くなってしまった私はフワフワと落ち着く場所の無い
旅行者の一人に過ぎないのです。
あんなに楽しくて帰りたくないと思っていた日本から戻り、
久しぶりの我が家にたどり着いた途端に緊張の糸がほぐれてホッと安堵した。
そして「そうなんだ、ここが私の居場所なんだ!」と素直に思えたのも
今回の旅行の収穫と言えるかも知れません。

早いものでこの家に暮らして35年以上が過ぎ、古い住宅にありがちなトラブルに
振り回されてテンテコ舞いしたのも今は昔の思い出となり、
長い年月をかけて少しずつ改善しながら、少々の不便にも折り合いをつけながら、
身の丈に合った暮らしをしながら…そうして今になりました。
庭仕事も家のメンテナンスもエンドレス、苦労の連続と文句を言いつつ、
この夏もペンキ片手に外回りメンテナンス頑張ろうと思います。

岡村 恭子

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夫婦で庭仕事に精だしています。
趣味は?と聞かれたらガーデニングと言わずに
庭仕事と答えよう!



赤くて可愛い果実とは対照的に小さくて質素なラズベリーの花。



エルダーフラワーも咲き始めました。
シロップの作り方はコチラ↓
https://www.valdemarsro.dk/hyldeblomstsaft/



夜10時過ぎてもほのかに明るい庭先の様子。



延江さんの住まいは趣ある旧市街地の一角。
おしゃべりに夢中で手作りケーキの写真を撮り損いました。



【きょうのクロスステッチ Vol. 749】 by 岡村恭子

VOL.749 デンマークの暮らし フリーマーケットで出会ったお宝。

               朝のジュースが美味しい理由。


lørdag den. 24 maj 2025

ここ2、3日、晴れたと思ったそばから黒い雲が広がり
シャワーのような雨が降る変わりやすいお天気が続いています。
気温も上がらず日中でも肌寒い、冬物を引っ張り出しながら、
だから言ったでしょ?お天気次第だって!と、誰にともなく
言いたくなる、北欧らしいと言えば北欧らしい空模様です。

そしてフリーマーケットのシーズンとなりました。
少々の雨など気にしない。
観光名所のマーケットから町内の広場やプライベートの庭まで
週末のコペンハーゲンはさながらフリマストリートと化します。
土曜日、雨さえ降っていなければ気の向くままにフリマ散策、
何か良いモノに出会えるかなあ?…果たして本日の成果は如何に?
何しろ、ガラス製の子ブタ貯金箱や使い勝手の悪い蓋付き壺etc.
小躍りして喜んだのも束の間、いつの間にやら地下の棚の奥にお蔵入り、
と言うケースが殆ど、そんな中で毎日重宝しているお宝があります。
ドイツBraun社製のコンパクトジューサーです。
2台あるのでNo.1&No.2 としましょう。

No.1に巡り会ったのはかれこれ15年程前のこと、
初夏の陽気に誘われて出かけた郊外のフリーマーケットでした。
機能的で無駄のないコンパクトなデザイン、持ち重みのする良質の素材感、
当時すでに廃番になっていたアイテムです。ほとんど未使用状態でした。
それから数年後、たまたま通りかかった旧市街地の集合住宅の中庭で
開かれていた住民たちのフリーマーケットでのことです。
黄色い向日葵のトンネルを抜けると緑の芝生、色とりどりに咲き乱れる草花、
住民たちが思い思いに不要になった物を並べて日光浴しながらお店番。
周囲を子供達が走り回り、子犬もボールを追いかけて遊んでいる。
まるで絵本の世界に迷い込んでしまったようです。
木陰で店開きしていた子供のパン屋さんでシナモンロールをひとつ買って
頬張りながら、ふと足元に目を止めるとビーチマットの上に広げられた
オモチャの中にBraun社製のコンパクトジューサーNo.2が退屈そうに
転がっているではありませんか。
いやー、こんなところにいたの?と思わず声をかけたくなった。
もちろん即刻オモチャの中からレスキューしたのは言うまでもありません。
フリーマーケットの醍醐味はこんな瞬間です。
例えNo.1が壊れても控えにNo.2がいるから安心です。
この夏はNo.3と出会えるかな?

あまりにも肌寒いので一度切った暖房を入れました。
今日も外は雨です。
お天気の良い日に草取りをして良かった!
このお湿りで庭木の根本に水分がたっぷり補われることでしょう。
毎日の雑事に追われているうちに夏至まであと一月、
北欧の明るい季節は早くもピークを迎えようとしています。

岡村 恭子

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木陰が涼しげなフリーマケット風景



お馴染みのビンテージ物がズラリと並ぶ。



「幸せは到達地点ではない。人生そのもだ。」
とブリキの看板に教えてもらう。



レトロな雰囲気がマーケットにピッタリ。



毎朝欠かさずオレンジを絞ってC-vitamin 補給。
ジュース作りに欠かせません。向かって左からNo.1と No.2



No.1は1982年のデザインと書かれています。



【きょうのクロスステッチ Vol. 748】 by 岡村恭子

VOL.748 世界一大きな島 グリーンランドのジレンマ

lørdag den. 17 maj 2025

毎日気持ち良いお天気が続いています。
陽差しが日増しに強くなり、日焼けが気になる今日この頃、
相変わらず庭の手入れに忙しく動き回っています。

今年に入ってから俄にグリーンランド周辺が騒ついているので
気になり調べてみたら。。。
世界一大きな島だということは知っていたけれど日本の国土の6倍近くも
あるそうです。思っていた以上に広大な島でビックリ!そして
地球全体の真水の7%がグリーンランドに埋蔵されているのだそうです。
(以上、デンマーク外務省グリーンランド紹介サイトより)
https://japan.um.dk/ja/info-about-denmark/greenland_site
それくらい自然が豊かで平和な北極圏の島をアメリカ大統領が「購入」したいと
言い出したから、さあ、大変。素朴な人々の動揺は隠しきれません。

グリーンランドの自治と独立。
デンマークの植民地時代を経て1957年にデンマーク自治領になり、
その後1979年には島民主体の自治権が認められ、以来デンマークの国会に
議員を選出、島民の意見を反映させる場となっています。
デンマーク政府から経済援助を受けつつ2009年からは更に独立性の高い
自治権を得て「完全独立」への道筋も制定されました。
内容はごくシンプル、選挙で独立賛成派が多数なら可決成立し、
デンマーク政府は速やかにそれを認めるとというものです。
しかし、独立後は従来受けてきたデンマーク政府からの社会福祉制度も
受けられなくなるわけですから住民にとって難しい選択な訳です。
トランプ大統領はグリーンランド周辺海域の防衛の重要性を唱えているものの、
実は豊富な地下資源保有が主な目的なのでは?と言われています。
彼の言い分で唯一納得するのは、NATO加盟国の多くが国家予算の2%の
支払い義務を怠っているという点です。(デンマークはクリアしています。)
だからと言って、アメリカが購入し防衛力を拡大すれば問題解決というのは
住民の考えを無視した乱暴な話だと思うのです。

そんな国際政治のうねりの波間に揺れ動くグリーンランドに
いつもと変わらぬ様子でデンマークのフレデリック国王が訪問し島民から
温かい歓迎を受けました。
第二の故郷と言うほどグリーンランドの自然と文化を愛する王様です。
国王を囲む人々の笑顔からは、ずっとこのままデンマーク領でいたい、と
願っているように見えました。
現在水面下でどんな交渉が進んでいるのかは?知る由もありませんが、
どんな結果になろうとも、グリーンランドの将来が明るいものになるように
願うばかりです。

PM9:00 外はまだ明るい。
賑やかなざわめきが夜遅くまで聞こえてきます。
北欧の夏はお天気次第、晴れている今の内、今の内…
私も明るい陽差しを享受したいと思います。

岡村 恭子

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夜9時過ぎても明るく、夕焼け空が美しい。






日常を彩る草花に魅せられる。
ご近所の柱に絡まって咲く藤の花と
、 紫のアガバンサスが風に揺れるバス停。



昨年の夏に咲いた草花の種を収穫して保存、
植木鉢に蒔いたら発芽しました!






庭の花を摘んでテーブルに。
今年最初のBBQはお隣さんから貰ったジビエにトライ!
骨付きで見た目も味もワイルドでした。
写真はみんな大好き!焼きおにぎり。



【きょうのクロスステッチ Vol. 747】 by 岡村恭子

VOL.747 デンマークの暮らし 白夜の頃のonigiri物語り

lørdag den. 10 maj 2025

北欧は白夜の季節になりました。
白夜と言っても一応夜遅くには太陽が沈みます。
でも、ほんの少し地平線の向こう側に隠れん坊するだけなので、
反射光で太陽がすぐそこにいるのがわかってしまうという、
そんな魅惑的な宵。透明で美しい群青色の夜空が広がります。

さて先日のこと、
近所のスーパーマーケットで “ おにぎり“ が並んでいるのを見かけて
思わず見返しました。間違いない。見た目も日本のとそっくり、
コンビニサイズで価格は1個28kr. (約600円)です。
中身はサーモン&アボカド、又は照り焼きチキンと書いてあります。
なかなか美味しそうではありませんか。
“ 手作りonigiri“ のお店があるのは聞いて知っていましたが、
いよいよ近所のスーパーにも並び始めた所を見ると人気が有るのかも知れない。
確かにお箸不要の “ onigiri “ はハンバーガーに取って代わる健康的かつ気軽な
手掴みランチになり得ます。
私も時々ベーコンの甘辛カリカリ焼きや人参のきんぴらを具材におにぎりを作りますが、
梅干しや昆布とは一味違ってこれはこれで美味しい。
私がデンマークに来たばかりの頃、焼き海苔や酢飯の説明に苦労したのも今は昔、
食文化の融合はこれからますます盛んになってゆくことでしょう。
我が家ではローストポークの残りを薄くスライスして冷凍保存し、
チャーシュー代わりに中華麺のトッピングに使ったりしています。
これも身近な食文化の融合と言えなくも無い?…どうかしら?

毎日、雑草取りに追われている間に時間が過ぎてゆきます。
藪の中に潜り込んでいるうちに夕食の準備の時間になってしまう。
本日の庭仕事は終了!膝についた葉っぱを払い落として、
買い物リストのメモをポケットに突っ込むと近所のスーパーに向かいます。
ジャケットも手袋もいらない。何をするにも気軽で楽しい季節です。
通りかかった公園で子供達が遊んでいます。
もう夕方4時を過ぎているというのに太陽が真上から照り付けて明るいこと。
何もかもが輝いて見えます。
木のてっぺんでブラックバードが美しい声で囀っています。
買い物の最後にアイスクリームを追加して急ぎ足…、帰宅すると、
家の前に見慣れぬ車が止まっている。庭先に回るとやっぱりエリックでした。
あんまり天気が良いもんだからジッとしてられず、息子の車を借りて
ドライブして来たと上機嫌です。
傍で心配そうに安全運転を念押す家人、そんな二人を見ながら何事も
正反対の性格だと可笑しくなります。
90歳になっても免許証返納しそうもないな。
息子のポルシェで颯爽と?走り去ったエリックを見送りながら
家人が呟きました。

岡村 恭子

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見た目もコンビニおにぎりソックリ!



近所の公園の様子。









今日の庭から
私が「藪」とよんでいる周辺も花ざかり。
花が終わった後にさくらんぼの実が沢山!
ライラックが甘い香りを放ちます。



エリックの息子ミゲルの愛車。
クラシックカーは黒ナンバーです。



【きょうのクロスステッチ Vol. 746】 by 岡村恭子

VOL.746 デンマークの暮らし 5月最初の日々雑記

tirsdag den. 1 maj 2025

今日から5月、

朝から青空が広がって文字通りの五月晴れ、気温も上昇して
初夏の訪れを感じる気持ち良い一日となりました。
先週末はコペンハーゲンのサクラフェスティバルでした。
お天気にも恵まれて大勢の人で賑わった様子です。
元は日本のアンデルセンベーカリーが寄贈した桜が、
大きく育って人々の目を喜ばせいるのです。
思えば、ポトマック河畔の桜並木も日本からの寄贈で始まったし、
確かベルリンの壁沿いにも日本の人々の働きかけで桜を植樹、
今では桜の名所になっているとか。
「春のお花見」が世界中に広がり平和の象徴にもなっている。
そう思うだけでも幸せな気持ちになれますね。

さて、毎日の暮らしに目を戻せば、
この家は夫婦二人には広すぎるし、築90年になろうという建物は
細かいメンテナンスがエンドレスだし、昔の設計のままのキッチンは
使い勝手が良いとは言い難い…と完璧では無いのですが、でも
そんなことを全て忘れさてくれるのが初夏の庭です。
長い冬から目覚めるように早春の花が咲き始める頃から、
少しずつ庭の気配が気になり始めます。やがて庭木や藪に可愛らしい新芽が
顔を出し始め、パステルの淡いトーンから透明なクリアカラーで描いたような
新緑のグラデーションへ刻一刻と変化してゆく。日々ワクワクします。
さくらんぼの花は散って柔らかい青葉で覆われ始め、
代わりに昨日まで固い小さな蕾だったライラックの花がほころび始めて、
今朝は石楠花が5月の陽の光を浴びて一気に開花しました。
私は小さなシャベルとバケツを手にして所かまわず咲く蒲公英を
抜く作業に余念がありません。
家人は壊れかかった木製のプランターホルダーのメンテナンスをしたり…。
そこへエリックがやってきました。
今月中に車を車検に出さなければならないのです。
車と言ったって、1963年型フォルクスワーゲンです。クラシックカーに
分類されるくらいの年代ものだし、今ではすっかり運転から遠ざかって
しまっているのですが、でも手元に置いて大切に保管していたい。
所持しているからには車検は避けられません。
こんな時はエリックに一言「ドライブ頼む」「オーケー」
これでお互い了解です。
二人三脚でデザイン活動して半世紀が経過、学生時代を含めれば60年近くに
なりますから阿吽の心境なのでしょう。
車検から無事に戻り、庭先で冷たいTuborg(デンマークのビール)で
喉を潤しながら、取り留めないおしゃべりもまた楽しからずやと言ったところです。

これから夏至に向かってますます明るくなってゆく。
北欧の輝くシーズン、その中でも5月は全てが新鮮で生き生きしています。
庭の草花を積んで遊ぶ幼な児を、彼女も成長してゆく一瞬一瞬を
精一杯楽しんでいると微笑ましくも眩しい気持ちで見守ります。

岡村 恭子

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人魚の像のある海浜公園沿いが桜の名所となりました。
(2022年4月25日撮影)






庭の草花で遊ぶのも楽しい。






壊れていたプランターケースをメンテナンス。
なかなか良い感じです。



グリーンピース。
瑞々しいのを莢から出してお口にポイッ!
やめられない止まらない。
初夏の季節限定スナックです。



【きょうのクロスステッチ Vol. 745】 by 岡村恭子

VOL.745 デンマークの暮らし 効率優先の社会に思うこと

onsdag den. 23 april 2025

日増しに明るくなってきました。
今日現在で日没が夜8時45分。
夕食の時間になっても外は昼間のように明るく、
照明を点けないどころか西陽が眩しいとカーテンを引いたりして。
なんと贅沢な季節でしょう。

贅沢といえば、
今回、帰国時に驚いたのが飲食店で急増していたQRコードを
スキャンしてオーダーするというシステムでした。
チマチマと携帯の中から食べたいものを探す。慣れない私は
” 普通の“ メニューは何処?となります。既に世の中の一般常識になっている
ような雰囲気が、更に私たちを困惑させました。(コペンハーゲンも同様なの
かも知れませんが、普段外食をしない私たちには馴染み薄でした。)
コロナ感染防止策として普及したとの事ですが、これから益々こうした
傾向が増えてゆくのかと思うと寂しい気がします。
便利を追い求めるあまり大切なモノが置き去りになってしまいそうで心配になります。
買い物や外食の際に対人でのサービスを受ける事が贅沢な時代になったと
いうことでしょうか?

日本ばかりでなくデンマークでも、着々と効率優先のシステムが進んでいます。
これも帰国時の事。
「手紙を送っても届けてもらえなくなるかも知れないってホント?」と、
何人もの人から質問されました。全くとは言いませんが半分は本当です。
以前もお伝えした通り、現在デンマークの郵便事情は混迷状態。
今の所はっきりしているのは来年度から郵便局=Post Nord が
一般郵便事業から撤退し荷物のみの取り扱いになるという事。
要は利用者激減でコストに見合わない手紙取り扱いを止め、
宅配業務に専念するというわけです。身勝手だなあ…手紙はどうなる?と
思うのですが、それに対する明確な回答は今の所まだ有りません。
現在、Post Nordから引き継いだ政府の担当部署が画策しているという事です。
こんな大問題が上半期が過ぎようとしている今になっても未解決だなんて!と、
思いますが、この国の人たちは至ってのんびり、政府のお手並み拝見といった感じです。
良い意味で信頼しているということになるのかなあ?
料金ばかり高くて遅配ばかりの現状よりもマシだろうと諦めと期待が半々と
いった心境なのかも知れません。
アメリカの事業が参画するとの噂も耳にしましたがトランプ政権下でどうなるか?
その辺も見通しが不透明です。
今の所確かなのは2025年12月31日をもってPost Nordが郵便事業から撤退する
ことだけです。色々と片付かない問題はあるけれど、私一人でヤキモキしても
始まらない。ケ・セ・ラ・セ・ラ・なるようになる…事でしょう。
皆様もデンマークへの連絡はデジタル利用をお勧めします。

こんな時は庭を眺めて癒されるに限ります。
さくらんぼの花は散りかけ、若葉が伸びてきています。
心配していたプラムの老木もたくさんの白い花を咲かせてくれました。
今が一番美しい頃、この週末はバラのメンテナンスをしてあげよう!
自分ができることを一つずつコツコツ続けてゆく事が大切だと
庭の草花が教えてくれています。


岡村 恭子

http://copenhagensmile.weebly.com/




今年中に大半のポストが撤去されるとのこと。
この赤いポストから日本にエアメールしていたのも
遠い思い出になってしまいます。






木々の青葉、咲いては散る花々、この時期の庭が一番美しい。









イースターのテーマカラーは黄色、主役はタマゴ。脇役にウサギやヒヨコ。
子供達は庭に隠したお菓子を探し当てて大喜び。



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