きょうのクロスステッチ

【きょうのクロスステッチ Vol. 705】 by 岡村恭子

VOL.705 デンマークの暮らし 
     
庭仕事の合間の蚤の市巡りと平日になってしまった金曜日の巻

fridag den. 26 april 2024

只今PM8:00 。外はまだ明るい。
日没までまだあと30分ほどあります。
庭に出てみました。
ひいやりとした空気があたりを静かに包み、
風の無い穏やかな夕暮れです。
植物たちの吐息が聞こえてくるようです。

4月に入ってからも気温の低い日が続いているお陰で
今年は桜の花が長持ちしています。
苗木を植えて丸3年が過ぎました。
しっかりと根付くまで数年はかかると聞いていますが、
根が張ってさえくれたら、それからはグングン成長するはずです。
今年は背丈も伸びてくれるかな?
花の間をミツバチが飛び交っています。
さくらんぼの実を沢山付けてくれるかなあ?…。
フルーツといえば、庭の隅で好き放題に増え続けているラズベリーを
何とかしなくてはなりません。最初一列にお行儀よく植えておいた
のが年々増え続けて、ローズマリーやローリエの根元にまで侵入しています。
その一帯は雑草も生い茂るまさにワイルドガーデン。
いっそ、更地にして作り直した方が簡単そうですが、
とにかく手をこまねいてばかりいないで自力で整地しよう。
きれいになったら夏の草花の種を蒔きたい。
描いているのは夏の草花が風に揺れるラズベリー畑です。

他にもやらなければならない庭仕事が山積みです。
芽吹き時の庭は本当にエンドレスの大忙し、
気ばかりが焦る今日この頃ではありますが、
お天気の良い週末、庭仕事はひとまず置いて、散歩がてら
家人と今年最初の蚤の市に出かけることにしました。
バスで向かったのは torvehallerne に隣接した広場です。
最近は観光客にも人気のスポット、すでにたくさんの人で賑わっていました。
ピンからキリまでの食器や生活雑貨、玉石混交のアクセサリーや絵画、
レトロな玩具や良い感じに使い古された家具やインテリア小物など、
見ているだけで楽しい。時々思いも寄らないモノや、これは!と思うものに
出会うのも蚤の市の楽しみです。
さてさて、何かないかなあ?…、ふと目に止まったのは1980年台の
新聞POLITIKENに掲載された風刺漫画集です。
1980年台というと私がデンマークに来たばかりの頃です。
じっくり読んで当時を思い起こすのも楽しいかもしれません。
そういえば、今年から一日休日が少なくなってしまったということを
すっかり忘れていました。
ちょうど今週の金曜日が去年まで休日だった祈祷祭の日。
詳細はこちら↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2484.html
訂正が間に合わなかったのでしょう。
我が家のカレンダーは休日表記のまま赤くなっていたので
週末のまとめ買いを済ませたところです。
というわけで、私は今年も3連休にさせてもらいましょう。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/














今年最初の蚤の市より。
青空の下、お店の人とのやりとりも楽しい。






蚤の市が開かれている広場の向かいは
https://torvehallernekbh.dk
青果店の店先にて。
センス抜群のディスプレイ。
野菜や果物の色彩の美しさ。



本日の庭より。
今年はずいぶん長持ち。
今日も散らずに咲いてくれています。



これが新聞掲載イラスト集。
9冊30kr.でした。

【きょうのクロスステッチ Vol. 704】 by 岡村恭子

VOL.704 デンマークの暮らし 其々に歴史は刻まれる。

fridag den. 19 april 2024

穏やかな春の日が続いています。
庭の新緑が鮮やかです。

腰の痛みも和らいで心身ともに元気が出てきました。
冬の間運動不足だった所に急激に体を動かしたことが
良くなかったと反省。毎日ストレッチに励んでいます。

4月16日は今年一月に退位されたばかりのマーガレテ前女王の
84歳の誕生日でした。女王様の誕生日はいつも快晴という
言い伝え通り明るい青空の下、国会議事堂に掲げられた国旗が
はためく…そんなお祝いの朝、何と国会議事堂に隣接する旧証券取引所から
出火という驚きのニュースが飛び込んで来ました。
旧証券取引所は1600年代にデンマークの黄金時代を築いた
クリスチャン4世の時代に建てられた歴史的建造物です。
観光名所にもなっているのでコペンハーゲンを訪れたことのある方は
ご存知の方も多いと思います。
赤煉瓦に青銅色の屋根。中世の面影を今に伝える歴史的建造物が
炎に包まれる姿は痛々しく又悲しく、57メートル程も有る尖塔が
崩れ落ちてゆく様子に人々の嘆く声が重なります。
今の所、出火原因は特定されていませんが、築400年を機に改築工事中だった
こともあり、その辺のことが要因になっているかも知れません。
いずれにしても、燃えてしまったものは戻らない。
幸い全焼は免れて絵画などの重要かつ貴重品のほとんどはレスキューできたとのこと、
気持ちを整理して前に進むしか無い。
パリのノートルダム寺院、沖縄の首里城、少し遡って京都の金閣寺も、
他にも世界中で数多の歴史上の建造物は長い歴史の中で焼失、再興の歴史を
辿ってきているのです。今回も最新テクノロジーを駆使して
立派に蘇ってくれる事を期待したいと思います。

そんなことがあっての1週間でしたが、我が家では家人の誕生日という
ささやかなイベントがありました。
相棒エリックとはたった9日違いの同い年です。
二人ともめでたく75歳になりました。
他人事で思うと後期高齢者ですが、当人たちはいたって呑気で
まだまだ現役と威張って?います。何はともあれ健康で過ごせることが
第一目標になってきました。
ウィスキーのボトル片手にご機嫌でやってきたエリックと
庭で寛ぐ様子に、改めて人生の不思議な巡り合わせを思います。

人生の大半を北欧のデンマークという小さな国で過ごし、
エリックとデザインオフィスを共同運営してきて
半世紀以上の年月が流れました。
もし、デンマークに来ていなかったら…どうしていたかなあ?
夫婦でたまにそんなことを想像して話します。
ひょっとしてもっと多くの可能性があったかもしれない。でも、
それ以上にこの国で得られた経験は宝物に思えてくるのでした。
多分、私たちにとってはこの国が、コペンハーゲンが、そして
この家が生涯の居場所となることでしょう。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/










周辺にはクリスチャンスボー城やナショナル銀行などがある。
デンマークの中枢的な一角。
煙の向こうにマーガレテ前女王の誕生日を祝う国旗が。。。
貴重品を運び出す様子。
以上、dr.dk より






庭は刻一刻と華やいで、春爛漫です。



健康な一年でありますように🎉



【きょうのクロスステッチ Vol. 703】 by 岡村恭子

VOL.703 デンマークの暮らし ぎっくり腰にご用心の巻

fridag den. 12 april 2024

庭の藪が萌葱色のドット柄になってきた、と思う間もなく若葉が広がって
刻一刻と色を変え、庭は新鮮な緑色のグラデーションに彩れています。
眺めてばかりいないで、あれもこれもしなくてはと気ばかりが焦っていますが、
どうにも動きが取れません。

数日前のこと、放置したままのラズベリーの植え込みに入って
剪定をしたり、伸び放題のツタを手当たり次第切り落としたり、
目につく雑草を根こそぎ除去したり、春の庭仕事に張り切った
ひと時が過ぎて、やれやれ…ここらで一休み…座ろうとしたら、
イタッ!思わず声が出ました。
ひょっとしてこれが噂に聞く「ぎっくり腰」?
以来、いつも気にならない立ち仕事が辛い。お米を研ぐだけでも腰のあたりが
重たくイライラする。こんなことは初めてです。
インターネットで調べたら安静にしないで動け、と書いてあります。
そんなわけで、主婦恭子はソロリソロリとスローモーションで
家の中を徘徊中。こんな動物が森の中にいた、その名もナマケモノ。
私は我が家のナマケモノ。
それにしても歳を重ねるとはこういうことかと情けない。
もう一つ、
アレルギー体質ではなかったはずなのに、どうやら私は
胡桃、ピーナッツのアレルギーらしいのです。
両方とも大好きなのに、ある日、食べたら うむっ?!
耳の奥の方が痒いような、そのうちに心臓がバクバクし出した。
アレルギーの症状なのか?定かではありませんが、以来、
絶対に口にしないようにしています。
胡桃入りのパン、ピーナッツスナック、食べたいのに食べられないのが
残念無念ですが、改めて周辺を見回すと身近な人の中にも結構アレルギー体質の
人がいると判明し、そんな折にグルテンアレルギーの人のためのレシピで
スポンジを焼いてみたら、超がつく程簡単で小麦粉を使うより
軽くて美味しいスポンジになりました。

⚫︎グルテンフリーのスポンジケーキ
直径15㎝のスポンジ型
米粉   90g
卵    3個
粉砂糖  80g
牛乳   大さじ1,5
サラダ油 大さじ1,5

作り方
1 )ボールを2個用意し、卵白と黄身を分け入れる。
2)卵白をツノが立つくらいしっかりメレンゲ状に泡立てる。
3)2に粉砂糖を振り入れ、さらにツヤツヤになるまで泡だてる。
4)しっかり泡だったら黄身を加えさらに撹拌。
5)4に米粉を加えヘラで大きくゆっくりよく混ぜ合わせる。
6)サラダ油と牛乳を混ぜたものを5に振りかけるようにして
   さらに全体に馴染むように混ぜ込む。
7)型に流し込み、180℃に予熱したオーブンで30分。
8)焼き上がったら、素早く型から外し網に乗せ冷ます。

コツは遠慮せずしっかり泡立てる。簡単で失敗なし。お試しください。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/







背丈50㎝のミニ桜と水仙が春を彩る。



種も蒔きたい!



掃除もしたい!



芍薬の目も出てきて…。
ああ、花壇をキレイにしたい!



米粉で作ったスポンジケーキの台。



【きょうのクロスステッチ Vol. 702】 by 岡村恭子

VOL.702 デンマークの暮らし 4月最初の日々雑記

fredag den. 5 april 2024

先週から今週明けまでイースターホリデーでした。
そして夏時間になりました。
冬眠から目覚めたように活動期に突入です。
明るい季節の到来ですが、休暇明けから雪混じりの冷たい雨降り、
庭先の桜も凍えているようです。

⚫︎デンマーク語はややこしい。
イースターのご挨拶は God Påske !ゴーポースケ!
そう言う度にちょっと頬が緩みます。
デンマーク語はなかなか厄介な言語なのですが、
たまにとても簡単ですぐに覚えてしまうフレーズに出逢います。
今回はそんなちょっと愉快なデンマーク語のご紹介。
以前にも書きましたが、室内履きはHjemsko イエムスコー。
「家息子」と覚えると簡単だし、他にも日記はDagbog ダオボー、
「○○棒」というお菓子みたいです。
小さな国なのに自国語にこだわる頑固なところもあって、
ゴーポースケ!同様、XmasもメリーXmasでは無くGod Jul ゴーユール!です。
挨拶も簡単です。こんにちは=Hej=ハイ!  またね=Hej Hej =ハイハイ!
というわけで、人の集まるところでは沢山の “ ハイ!“ が行き交います。
ドイツ語やフランス語からの影響を受けた単語も多く、
例えば働くこと、arbejde=アーバイダはドイツ語のarbeit とそっくりだし、
それが日本のアルバイトになっていると思うと面白いですね。
そうかと思うと、傘=paraply= パラピリュでフランス語のParapluieと
発音もほぼ同じです。マッシュルームでは無くてシャンピニオン。
他の野菜類はデニッシュ訛りが濃厚なのに、シャンピニオンだけはフレンチで
ちょっぴりおすまししています。

数字に関しては全く理解不可能な独自のカウント方式で、未だに困難がつきまといます。
50以上100までを20で区切るため、50は20×3の最後の20に半分不足。
Halvtredsと言います。(Halvは半分。treds=60 )
50=60の半分、70=80の半分、90=100の半分という実に面倒臭い数え方です。
おまけに20以上の二桁数字は一桁数字からカウントする。
例えば23=3と20という具合で、ややこしいこと甚だしい。
電話番号などは左から順に二桁区切りで読み上げるのですが、
235687 は 3と20、 6と50、7と80 となって私の頭は混乱状態。
小さな子供達がスラスラと読み上げている様子にほとほと感心してしまいます。
この際、デンマーク語をマスターしようなどと大それた考えは捨てて、
せめて母国語の日本語を正しく使うよう心がけようと思います。

ここまで書いてきて、なんだか急に小腹が空きました。
そうだ、お餅を焼こう!
時は春、お花見シーズンです。餡をまぶしてあんころ餅風にしよう!
嬉しいことにアジアン食材店で切り餅も日本製の缶入り餡も
買えるようになったのです。他にも様々な食材や調味料が輸入されて、
手軽に日本の味覚を味わえるようになりました。
焼きたてのお餅に餡をまぶせば、ほらね、即席あんころ餅の完成です。

熱いお茶を淹れて、窓越しに雨のお花見。
明日天気になあれ〜。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




庭のレンギョウを水に挿して。イースターエッグでおめかし。









Påskeの庭から。庭先の四季咲き桜が美しい。
愛らしい春の小花。真っ白い小梅の花が清楚です。






さあ、お餅が焼けました。
あんころ餅と家人の好物チーズ海苔餅でおやつにしましょう。



【きょうのクロスステッチ Vol. 701】 by 岡村恭子

VOL.701 延江さんと行くIrma デザイン回顧展     

onsdag den. 20 marts 2024

日増しに日照時間が長くなって来ました。
早朝から小鳥が囀って春を告げています。
私は冬を越した庭に立って、どこから手をつけてゆこうか?と、
イメージトレーニング中です。

⚫︎Irmaデザイン展(於: https://designmuseum.dk
Vol.653でもお伝えした通り↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2480.html
デンマークのスーパーマーケットIrmaが昨年惜しまれつつ
137年という長い歴史に幕を下ろしました。
(Irmaと書いてイアマと発音します。)
その回顧展がデザインミュージアムで開催されていると
いう耳寄り情報を教えてくれたのは他ならぬ延江さんでした。
Kg.Nytorv広場で待ち合わせ、王宮に繋がる道をおしゃべりしながら散策、
アンティックショップやカフェが立ち並ぶ通りを観光客気分で
歩くのも楽しいし、以前、家人のオフィスも同じ通りに有ったので
当時を思い出して懐かしい。
マーブルチャーチを通りぬけて反対側の通りに出れば、程なくミュージアムに到着です。

会場はたくさんのIrmaファンで賑わっていました。
“ たかがスーパーマーケット されどIrma “ なのです。
デザイン回顧展を開催するほどデザイン重視の経営が成り立ったのも
デンマークだからこそ、だったかも知れません。

⚫︎IrmaブルーとIrmaちゃん
シンボルカラーはIrmaブルーという呼称にもなったコバルトブルー。
トレードマークは青いドレスに大きなリボンをつけた女の子。
首都圏のみでの展開というのも大きな特徴で、
コペンハーゲンから地方へのお土産はIrma珈琲や、期限限定販売の
Irmaグッズなどが人気だったというブランド力もありました。

会場の壁面に整然と展示されたペーパーバッグやプラスティックバッグの前で
多くの人が指をさし、持ってる、知ってる。持ってた、買った。というような
会話が飛び交っていました。御多聞に洩れず私もそんな観衆の一人です。
Irmaの袋には環境問題や食品の安全基準など、一つ一つに意味のある
メッセージが込められているのです。
実際、環境問題にもいち早く取り組み、商品包装を再生可能素材に切り替え、
オリジナルのエコロジカル商品の開発にも熱心に取り組んでいました。
当時から、一歩どころか何歩も先をゆくSDGs企業だったということがわかります。

Irmaのブランドが高まる一方で、イメージを保つためのコストも
年々跳ね返り、最終的に他との価格競争には勝てなかったという
よくあるお話で終わってしまったのですが、
これがもし日本だったら…。
そしたらきっと、IrmaブルーとIrmaちゃんを蘇らせて 
人気ブランドに育て上げたのではないかなあ? 
そんな想像しながら会場を巡りました。
私以外にもIrmaブランドがこのまま消えてゆくのを惜しむ人で
いっぱい!の回顧展でした。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













写真:全てIrmaデザイン回顧展より。
Irmaちゃん誕生の歴史やショッピングバッグに込められた
メッセージなどIrmaの優れたデザインポリシーと
トータルコンセプトが見て取れる内容。



統一感のあるフォントとカラーリング。
パッケージにも神経が行き届いていた。
Irmaちゃんのマークが可愛い。



キャッチコピーは
「より良い地球のために。」
再生プラスティックバッグ。
何度も使用して最後は土に帰る。


【きょうのクロスステッチ Vol. 700】 by 岡村恭子

VOL.700 ふたつの “ 奇跡的な巡り合わせ “
     連載700回目 & 二人三脚で50周年

onsdag den. 13 marts 2024

なんと、700回目の更新です。
一体誰がこんなに長く続くと予想したでしょう?
全ては多忙な仕事の合間にアップして下さる延江さんの
おかげです。ありがとう、延江さん。
そして、これからもささやかな日常を読者の皆さまに届けたい。
そんなことを思いながら、一回目のページを開いてみました↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/46.html
…と、書いてあるように、
不器用な私はステッチのように文章を紡いでゆこうと思ったのでした。
四季折々の庭の様子やお料理にお菓子作りなど、
ごく平凡な暮らしの毎日を綴り、内容に沿った写真を添えるという、
そんな些細な課題が次第に私の毎日を張り合いのあるものにし、
日々を見直す機会にもなって来ました。
継続は力なり と友人が言ってくれましたが、いえいえ、私などよりも
その言葉が相応しい御仁が二人、私のすぐそばに居ます。
家人とその相棒のエリックです。

昨年9月、彼らのデザインオフィスが設立50周年を迎えたことは
既に書きましたが、詳細はこちらから↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2538.html
この度は、デンマークの全国紙:POLOITIKENで彼らの半世紀の歩みが
大きく取り上げられました。
北欧家具の本場ということもあって多くの家具デザイナーが活躍する
お国柄ですが、何十年も活動し続けるのは簡単ではありません。
日本人とのデュオなのですから尚更です。
あの時あの学校で意気投合したことは “ 奇跡的な巡り合わせ“ だった。
彼らにとって将来を決定づける出会いだったわけです。
記事では
デンマークの青年と日本からはるばる北欧デザインに憧れて
やってきた青年がデザインスクールで巡り合い、意気投合して
オフィスを立ち上げたことや、言葉の壁や文化の違いを家具デザインという
言葉を超えた共通の世界で、お互いの信頼と理解を深め今日に至った経緯が、
とても好感を持って紹介されています。

今では阿吽の呼吸の彼らですが、
ここに至るまでにはお互いに内面の葛藤もあったはずです。
外国に来て仕事をしてゆくのだから何事も「六分四分」で「五分五分」の
精神と忍耐力。これは家人が若い頃よく口にしていた言葉です。
彼がデンマークで仕事をして行くと決心した時から肝に銘じてきたこと
だそうです。そうして仕事を積み重ねて来て半世紀です。
「継続は力だ」と言っても差し支えなさそうです。
一方、
家人との結婚という全くもって主体性のない理由で始まった
私のデンマーク暮らしも、ステッチハウスの延江さんに巡り合った
ことで ブログを開設、日々を綴って来て連載700回目を迎えることが
できたのです。これを“ 奇跡的な巡りわせ“ と言わずしてなんでしょう?

これからも自分らしくをモットーに連載を続けてゆけたら幸せです。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




新聞記事より。
O&M DESIGN の半世紀の歩み












50周年記念パーティーより



延江さんと一緒に楽しいひと時より


【きょうのクロスステッチ Vol. 699】 by 岡村恭子

VOL.699 デンマークの暮らし 3月最初の日々雑記

onsdag den. 6 marts 2024

三寒四温とはよく言ったものです。
濃い霧に包まれた肌寒い日は気持ちも沈んで何もする気ならない。
晴れて青空が広がれば、春が来た!と喜び勇んで庭に出る。
その翌日にはまた重たい雲が垂れ込めて意気消沈、
そんな日を繰り返しているうちに少しずつ空気も緩んできました。

⚫︎あれから一年。
丁度一年前の今日(3月6日)は3年半ぶりの日本へと出発した日です。
コロナ禍で帰れなくなってしまった数年間は、気が遠くなるほど長く
感じましたが、実際には2020年春、(日本では)横浜港に停泊した客船から
感染者が出たのを皮切りに未知のウィルスとの戦いが始まって以来、
ほぼ終息するまで3年しか経っていなかったのです。
喉元過ぎれば何とやら…。そして、今、日常を取り戻したと同時に
コロナパンデミックという言葉さえも忘却の彼方に消え去りそうです。
人の記憶なんていい加減なものですね。
それでも昨年春の帰国の際には、入国時にVisit JAPANというアプリで
ワクチン接種回数と陰性証明を提示する必要があったし、
戦争でロシア上空を飛べなくなり、北極圏、または中近東付近の
迂回ルートを飛行、以前より長時間のフライトを余儀なくされました。
そんなこんなで出発前からアタフタしましたが、何はともあれ
春爛漫の日本を満喫。今、アルバムを開き、満開の桜の下で満足げに
笑っている自分の姿を見ながら、思い出は時間が経つほど楽しく蘇ると、
しみじみ思ったりしています。

⚫︎歯が疼く
昨日あたりから、右の奥歯が疼く。
幾つになっても歯医者さんは苦手ですが行かねばなるまい。
デンマークの医療費は基本的に国費=税金で賄われていますが、
歯医者さんに限って成人は自己負担です。(18歳までは無料)
私は半年に一度定期検診に通っています。
基本料金は約600kr.(1kr=約22円)ほどですが、治療が加わると
内容に合わせて加算されます。
それにしても、前回の検診の時にも問題なしだったし、固いものを
無理やり噛んだ覚えも無いのに、どうしたことか?
普段その存在すら忘れている右の奥歯が私の中で大クローズアップです。
食べ物をどうやって咀嚼しているか?なんて普段は考えもしないけれど、
今はすごく考えて、問題の歯に当たらないよう左側で噛むようにしたら
何だか食べずらい。それで、はじめて、そうなんだ、私はいつも右側の歯を
使っているのだ…と判明、長年酷使して摩耗してしまったのかもしれません。
歯医者さんに予約を入れました。来週診てもらいます。

朝から垂れ込めていた重たい雲が、とうとう耐えきれなくなって
細かい雨になりました。昨年来の多雨に乾く間もない庭は水分過多で
元気がありません。庭仕事もお預けです。
明日は良いお天気なってくれますように。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




2023年3月 美しい日本の春を満喫しました。
写真は千鳥ヶ淵の桜











小春日和の一日。
お花屋さんの店先も、広場のベンチで憩う人々も、
芽吹きを待つ街路樹も、
柔らかい春の空気に包まれ始めています。



バス通に設置された背高ノッポのベンチ。
遊具ではありません。
地球温暖化を阻止しなければ、ここまで水が来る、
という警告。



雨降りの日は自家製ピザで和む。



【きょうのクロスステッチ Vol. 698】 by 岡村恭子

VOL.698 デンマークの暮らし 路線バスでゆく早春散歩

tirsdag den. 27 februar 2024

瞬く間に2月も過ぎようとしています。
朝、小鳥の囀りで目覚めました。
キッチンの窓から暖かな陽が差し込んできます。
古から北欧の人々は季節の移り変わりを陽光の陰影で感じ取って
いたのでしょう。ちょうど、今の私のように。

今日は久しぶりに晴れて気分も上々です。バスに乗って買い物に出かけよう。
我が家は旧市街地とコペンハーゲン空港を繋ぐ路線バスの丁度中間地点で、
中央駅もチボリも、ストロイエだって乗ってしまえば15分ほど、
反対方向の空港へ行く時にも便利です。
ほぼ5分間隔で次々とやってきて、おまけに利用するバス停始発が頻繁にある。
本当に至れり尽くせりなのです。
目的地(=アジア食材店の有る通り)まで乗り換え無しで行けますが、
せっかくだから途中下車して早春の散策を楽しもうと思います。

始発が来ました。バスはわずか数名を乗せてすぐ発車。
しばらくして、運河沿いにブラックダイアモンド(=王立図書館)を
望みつつ橋を渡ればもう旧市街地です。
今回はコペンハーゲン中央駅とチボリ公園を横目に市庁舎前広場で下車して、
そこからストロイエを通ってJorcks Passage( ヨークス通り)にオープンした
セレクトショップを覗いたり、大学図書館通りの石畳をNørreportまで、
途中あれこれお店を見ながら最終目的地のアジアン食料品店で買い物を
しようと思います。
見慣れた街並みですが、それでも至る所に春の気配が感じられ、
とても良い気晴らしになりました。

帰宅後、買ってきた食料品を広げながら便利な世の中になったと
感慨深い気持ちになりました。私がデンマークに来た当時は
思うように和食材料が整わず不自由していたものです。
実家から届く定期便がどんなに楽しみだったことか。
その中に必ず入っていたのが手作り豆腐の素とコンニャクの素でした。
お豆腐を食べたくなったら専用のステンレス製の四角い抜き型を使って、
粉末から作るのです。コンニャクはお鍋で作るのですがニガリを入れて
固める時のあの独特の匂いを今でも思い出します。
どちらも母がデパートの自然食品コーナーの隅っこに並んでいたのを見つけて
せっせと送ってくれたのですが、やがてコペンハーゲンのお店の冷蔵ケースに
お豆腐が並ぶようになり、今では群馬県産のコンニャクも売られているのですから
こんな時代が来るなんて…当時のことを思ったら夢のようです。

平和で長閑な早春散歩でしたが、街を歩いているとウクライナの国旗を
至る所で目にします。
2月23日でロシアのウクライナ侵攻から丸2年が経ちました。
青空の下、今日も市庁舎広場はもちろん、ビルの屋上やオフィスの窓に
2年間途絶えることなくこれからも平和が訪れるまで…。
青と黄色のウクライナ国旗が掲げられ続けるであろうことに、
デンマーク国民がウクライナに寄り添っているという意思表示を強く感じ、
そんな国民性をとても羨ましく思いました。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




運河の橋からブラックダイアモンドを望む。
運河を渡れば旧市街地です。。






Jorcks Passage 。
古いヨーロッパの趣ある一角、
ストロイエから大学図書館通りへの抜け道です。



ベンチの横の植え込み。
水仙とムスカリが春を呼ぶ。



ウクライナに平和が戻るよう願う。



今回の買い物は計420kr.(約9,000円)でした。



【きょうのクロスステッチ Vol. 697】 by 岡村恭子

VOL.697 デンマークの暮らし お雛様と気候変動対策のお話し

tirsdag den. 20 februar 2024

早春を告げる白い花スノウドロップに続いて黄色いエランティスの
花が蕾を膨らませています。
庭に春の兆しを感じる時ほど嬉しいことはありません。
寒いとか、雨ばかりとか、文句ばかりの私を横目に、
ほら大丈夫ですよ、春は来ますよ、と告げている。
気を取り直して春を迎える準備をしましょう。
そして出してあげましょう。お雛さま。

毎年娘の雛人形を飾ってきました。
その度に、当時赤ん坊だった娘と雛人形のどちらも落とさないよう
日本から我が家まで大事に抱えてきた時の事を、可笑しくも懐かしく
思い出します。詳しくはvol.609にて↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2381.html
実は今だけですが、もう一対お雛さまが手元にあります。
娘が頂いたものを彼女達が引っ越しする間だけ安全確保のため
一時的に預かっているのを勝手に箱から出してみました。
手の中にすっぽりと収まるくらい小さな陶製のお雛さま。
稚児のようにふっくらした頬と目を伏せている様子がなんとも愛らしい。
朱や藍など九谷焼ならではの色付けが施されています。
手の平に乗せてみたら…ほんわかとした優しい気持ちになりました。
というわけで、本日は特別に二組並べてひと足早いひな祭り気分です。

それにしても、
大雨でバイキング時代の遺跡の石積みが崩れてきたり、
堆積してあった廃棄物の土砂が崩れてしまったりと、
水による被害のニュースばかり。さすがに今までのんびりと構えていた
地方自治体も対策に乗り出している様子です。
主に堤防や護岸などを中心にした洪水対策ですが、
元々海抜0メートル的な場所も多く抜本的解決策までは程遠い様子です。
首都コペンハーゲンは2011年に旧市街地のほとんどが冠水してしまうという
洪水を経験した後、気候変動対策の専門部門を設置、今後100年を見越した
水に強い街づくりを推進実行し現在も継続中です。
新しいところでは、コペンハーゲンの西地区Vesterbroの公園を気候変動に
対応できる公園として整備完成し話題になっています。
20000㎥〜の地下貯水地を構築、貯めた雨水を循環させて使用する。
歩道には雨水を吸収する特殊タイル石を使用し、地下のパイプに連結、
貯水してリサイクルするなど、とにかくすべての雨水をリサイクルするのだ!と宣言。
一見突飛なアイデアも最新技術で現実に結びつけてしまう開発など夢があるし、
将来的には国際ビジネスに結びつけてゆこうとする辺り、
いかにもデンマークらしいなあ、と感心します。
年がら年中、道路を掘り起こして工事ばかりしているコペンハーゲンですが、
気候変動に対処すべく最新プロジェクトが進行しているのかも知れないと
思うと急に頼もしく感じられます。
気候変動公園の詳細はこちら↓
https://www.tredjenatur.dk/portfolio/enghaveparken-klimapark/
日本語での参考記事はこちら↓
https://adaptation-platform.nies.go.jp/db/measures/report_179.html

そうこうしているうちに、もやっていた空が晴れてきました。
窓の外の寒暖計は7℃、暖かそうです。
午後は今年最初の庭掃除しようかな?

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




手の平に乗るほどの小さな九谷焼のお雛様。
今回の地震でもどうぞ無事でありますようにと願う。



我が家のお雛さま。
相変わらずのおすまし顔です。






今日の庭から。
スノードロップとエランティスが咲き始め、
殺風景だった庭が春めいてきました。



大根と冷凍の材料を見かけた時の贅沢「おでん」



【きょうのクロスステッチ Vol. 696】 by 岡村恭子

VOL.695 デンマークの暮らし 2月・如月・日々雑記

tirsdag den. 13 februar 2024

毎日鬱陶しい雨雲が垂れ込めています。
昨年来の長雨でコペンハーゲン郊外の原っぱが湿地帯になり、
いつもは見られない水鳥たちが飛来しているとか、
それほど雨が多いと言うことです。

⚫︎樽を割って冬を追い出そう!
そんな毎日ですが学校は冬休み、そしてこの週末は
子供達の冬のイベントFastelavn=ファストゥラウンでした。
(ファストゥラウンについて詳しくはこちら↓)
https://stptrans.com/fastelavn-the-nordic-tradition-youve-probably-never-heard-of/
♪僕の名前はファストゥラウン♪
♪欲しいのはお砂糖たっぷりのボールパン♪
♪もしもくれなきゃ大暴れしちゃうよ♪
寒空の下、仮装した子供達の可愛い歌声が響きます。
北欧では古くから猫は魔女の化身だという言い伝えがあり、
一種の魔除けとして、実際に猫を樽に閉じ込めてみんなで叩き割り、
その年の魔女祓いとしたのだそうです。
そういえば、夏至祭には魔女の人形を焚き火で燃やしてしまうし、
北欧の魔女伝説を深掘りしたら、なかなか怖そうな気がしてきました。
話を戻して、時代は変わり今では猫はみんなのお友達です。
黒猫の絵が描かれた樽にお菓子をたくさん入れて、子供たちが順番に叩き、
温かいカカオとケーキで賑やかなひと時を楽しみます。
私には樽を割って冬を追い出すようにも見える冬休みのイベントです。

⚫︎身近な人に感謝する日。
そういえば、14日はバレンタインデーだとうことを
混雑するチョコレート売り場が映し出されたインターネットニュースを
見て気づきました。東京のデパートのの盛況ぶりとは打って変わって、
デンマークは静かなものです。
以前にも書きましたが、どうやらバレンタインデーに女性から男性に
チョコレートを贈ると言うのは日本だけのようです。
でも、それをきっかけに恋が芽生えることだってあるかも知れない。
そう思うと夢のあるイベントで大いに結構なことだと思います。
因みに、デンマークでは年齢性別関係なく身近な愛する人に感謝する日
ということで、彼から彼女へ花束を贈るというのが一般的です。

⚫︎郷愁を呼ぶ味覚
そぼふる雨模様の日曜日です。
昼下がりのお茶を淹れて、徐に干し柿を一つ手に取りました。
柔らかい果肉からジンワリと甘みが広がります。
先日遊びに来たお友達の自家製です。
熟した柿を一つずつ丁寧に皮を剥いて、
秋の陽の下に吊るしてゆっくりと余分の水分を抜き取った。
その後に残った果実の凝縮した滋味なんだなあ…。
何事も時間の経過分だけ美味しくなる。
大切なことを干し柿に教えてもらった日曜日となりました。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













Fastelavnの日には町内のあちこちで
可愛らしく仮装した子供たちが樽を割って楽しく過ごします。






郷愁を呼ぶ味覚。
干し柿と朴葉焼き。



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