2017年7月~9月

【きょうのクロスステッチ Vol. 394】 by 岡村恭子

VOL.394 さあ、長い夏休みの始まり始まり-!

torsdag den. 6 juli 2017

雨雲を眺めながら溜め息まじりの日が続いてかれこれ10日、
ようやく青空が広がり始めました。
外でボール遊びをする子供達の元気な声が聞こえて来ます。
そういえば学校はもう夏休み、来週から職場も夏期休暇に入ります。
都会の喧騒から逃れてサマーハウスで過ごす人、真夏の太陽を求めて
南へと旅する人など思い思いの夏やすみの始まりです。
おや?垣根越しに電動機械の唸り音が響いて来ましたよ。
どうやらお隣りのご主人が庭の大改造を始めた様子です。
お隣りさんに限らず、夏休みになったら ああしてこうして…と
寒くて暗い時期から計画して、待っていました!と、ばかり、
家のリフォームなど本格的なD.I.Y.に腕を振るう人も沢山います。
町内のパン屋さんのウィンドーにも “ 良い夏休みを! “ という
紙が張られて、しばらくの間美味しい焼きたてパンはお預け。
早くも街中がのんびりした雰囲気に包まれてきました。

そんな中で、7日(七夕ですね!)からジャズフェスティバルが始まります。
既にサマーセールもスタートして、ストロイエはセール目当ての地元っ子と
世界中から訪れている観光客で溢れかえり、様々な国の言葉が行き交って
います。そんな中で聞き慣れているせいでしょうか?北欧の言葉は
聞くともなしに耳に入って来るような気がします。
特にデンマーク、ノルウェー、スウェーデンの人はお互い自国語で会話しても
理解できると言いますから、方言というくらいの感じなのでしょう。
発音も似ていますから、簡単な会話ならこの私でさえ少しは理解可能です。
更にスカンジナビア半島と繋がる橋がかかって以来、南スウェーデンと
コペンハーゲンはひとつの新たな経済圏になった感があり、人もモノも
自由に往き来しています。お陰でブティックの店員さんがスウェーデン語で
話しかけて来るというのにもすっかり慣れました。
お店に入ると、必ず店員さんが声をかけてくれますが、
デンマーク語は Hej! (ハイ!=こんにちは)とHej hej! (ハイハイ!=又ね!)
スウェーデン語ならHej ! (ヘイ!)Hei då!(ヘイドー!)です。
似てるでしょう?夏休みに北欧旅行を計画している方は、お店に入る時に
言ってみて下さい。どちらで試してもきっと笑顔で返事が返って来ますよ。

さて、我が家にも学生時代からの友人が夏休みを過ごしに来ています。
猛暑の東京と中国を往ったり来たりの毎日を送っている彼は
到着するなり、いいねえ、涼しい。汗を欠かない!を連発、
そうです!何はなくとも、この涼しさが “ おもてなし “ と私はニンマリ。
彼とは私も含めて3人同窓生ですから、たちまち当時の気分に戻り、
お互い遠慮がない。『あの頃』の話に花が咲いて大いに笑いながら
たまには青春の思い出に浸るのも悪くないな、と思っています。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/












夏のコペンハーゲンから。
公園で綱引きをする子供達、絵本のような風景です。
ペーパーアイランドにて。 みんな日焼け自慢?
コペンハーゲンジャズフェスティバル(昨年)の様子。











今日の庭から。
次々と紫陽花が咲き始めています。
紫陽花とアストランティアを水に挿して。
タネから育てているタイム、パセリ、パプリカ。



【きょうのクロスステッチ Vol. 395】 by 岡村恭子

VOL.395 風通しの良い暮らし : 真夏のインテリア考

torsdag den. 6 juli 2017

暑中お見舞い申し上げます。

ポーン ポポーン!パパパーン!
夜空の向こうから聞こえて来るのはチボリで上げる花火の音。
時刻はPM11:30、そろそろ閉園時間です。
楽しかった一日が過ぎて家路につく人々のざわめきまでも
聞こえて来そうな夜、遠い昔の夏祭りの帰り道を思い出します。

私が幼かった頃というのはエアコンなどもちろん無く、
冷蔵庫とは名ばかりの “ 氷で冷やす木箱 “ という時代でした。 
 → VOL.251 夏が来ると思い出す。。。
人々はうちわを扇いで風を送り、夕方になれば蚊取り線香を焚いて過ごす。
暑かったはずなのに、思い出の中の夏はカラリとして過ごし易く
どの家もとても風通しが良かったような気がします。
そんな昔話しても始まらないと言わないで、確かに時代は変わりましたが、
身の回りの風通しを良くしたら=整理整頓をしたら、ひょっとして
体感気温が下がるかも知れません。やってみましょう.

…… 作業に取りかかる前に冷蔵庫にグラスを入れて … っと。
部屋をグルリと眺めれば、ちゃんと片付けているつもりなのに、
いつの間にか椅子の上に雑誌が、ソファには脱ぎ捨てたままのカーディガン、
テーブルは書類の山になっていて我ながら呆れてしまう。
手始めにテーブルの上の物を全部片付けてみると、それだけで広々、
早くも通気性が良くなったような気がします。
窓やベランダの出入り口は特に風通し良い雰囲気にしたい場所です。
今まで一年中同じカーテンで間に合わせていた人がいたら、この機会に
思い切って真っ白いコットンやブラインドに替えてみたらどうでしょう?
白いカーテン越しに差し込む外光は南欧のような雰囲気が期待出来そうです。
窓ガラスを拭いただけでもずいぶんスッキリすると思います。
デンマークは窓拭きグッズが充実していて色々有るけれど専用ゴムベラで
横に8の字を描く様に拭いてゆくのが一番簡単で効果的なようです。
愛用のゴムベラで手早く窓拭きが終わったら、プランターを配置し、
仕上げに庭の草花を水に挿して窓辺に置いて本日の片付け終了!です。

すっきり風通しよい空間になった所で、冷蔵庫からグラスを取り出します。
ガラスの表面が忽ち白く曇って見た目も涼しげなグラスに
よく冷えたビールを注げば、のど越しの清涼感ここに極まれり!です。

最後に、もう一つ忘れてはならない暑さ対策、
それは “ くたびれたら無理しない。”
スペイン人になった気分で午後のシエスタをたっぷりとるのも
良い事だと思います。これも、私は得意です。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




夏の庭より。プラムの木陰は一等席です。















夏の献立から
ヨーグルトたっぷりのチキンカレーやトマトたっぷりのパスタ、
夏野菜のサラダ.などどれも作るの簡単&美味しい。
簡単なリンゴケーキもこんな風にするとお洒落です。



【きょうのクロスステッチ Vol. 396】 by 岡村恭子

VOL.396 夏の庭 : 季節は巡り思い出は蘇る。

torsdag den. 20 juli 2017

夏至から早一ヶ月、今年は真夏日がなかなかやって来てくれません。
平均気温20℃。もう少し暑くてもいいのになあ…、
傍らから贅沢なつぶやきが聞こえて来ます。

草花にとっては “ 程よい雨のち晴れ “ という天気は最適で、
“ 雨後のタケノコ “ ではないけれど、ひと雨降った翌日は庭中の緑が
背伸びしたように成長目覚ましく、草花も次々と咲いてくれます。
バラ、あじさい、ラベンダー、etc. どれも植えた時のことなどを
案外こまごまと覚えているもので、手入れをしながら、
そういえば…と思い出すと、次々と芋づる式にその頃の思い出へと
繋がって行きます。
郊外の園芸センターで買った大物の植木や苗木等は別として、
大抵は買い物の途中で見かけた手軽なものばかり。
例えば、
Magasin デパートの花屋さんには、近所では見かけないちょっとお洒落な
花が手頃な値段で並んでいるので、つい欲しくなってしまう。
沢山持って帰りたいけれど今日はコレとコレだけね。
自分に言い聞かせて、サマーセールの買いものが入っている袋と一緒に
両手いっぱいに抱え込んで,落とさないように,転ばないようにと。
無事に家に辿りついた時にはヘトヘトです。
苦労した子ほど可愛いというけれど、そうやって持って帰った鉢植えなどは、
水をやりながら「良く来たねえ」と、思わず語りかけてしまいたいくらいです。
また、
スーパーマーケットの店先に春の花が並び始めると買わずにはいられない。
野菜の代わりに花の苗で自転車のカゴがいっぱいになってしまい、
おかげで夕食は冷蔵庫の有り合わせに変更という事も一度ならず、です。
そうして少しずつ自分たちの好みに彩られて来た庭は、
どれもその時々に良いなあ、欲しいなあ、と思って植えたものばかり、
季節が巡る毎に花をつけてくれると嬉しさもひと塩というものです。

今ちょうど見頃を迎えようとしている紫陽花も、ほとんどが
自転車のカゴに揺られて我が家に来たのものです。
年々増え続けて、気づけば大小合わせると10株以上になりました。
中でも特に愛着が有るのは白い額アジサイです。これは買ったのでなく、
家人の49才の誕生日プレゼントだったので “ ヨンクのアジサイ “ と
命名して別格扱い?!もらった時は両手に入る程の愛らしいひと鉢だったのが、
植えた場所が良かったのか?スクスク成長して、今では我が家のアジサイの
中で一番大きくて立派です。何と!今年で花齢19年の長寿を誇っています。
毎年、白い花が咲く度に19年前の当時を懐かしく思い出すというのも
ほのぼのと嬉しいことです。
他にも結婚記念日の椿や誕生日のバラなど、夏の庭にはたくさんの
楽しいエピソードが見え隠れしていて、花と思い出をシェアしている気分で、
それも悪くないな、と思っています。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/












街角スナップ。
眩しい夏の陽射しの中で思い思いに楽しむ人々。筏でパーティー?!
すっかり寛いでいますが、ライフジャケットなしで大丈夫?











今日の庭から。
今年も沢山花をつけてくれた “ ヨンクのアジサイ “
ラズベリーはヨーグルトに入れて、オレガノはサラダに飾って楽しみます。


【きょうのクロスステッチ Vol. 397】 by 岡村恭子

VOL.397 雨降りで思い出す。

       コペンハーゲンが水浸しになってしまった日。

torsdag den. 27 juli 2017

やっと晴れた!と言っている傍から早くも黒い雲が湧いて来ました。
油断大敵夏の空…です。
何しろ、この所連日雨の降らない日は無いというくらい、
すっきりとしないお天気が続き、肌寒いので長袖を着込んだりして
…ったく、もう… という毎日なのです。

先日は1時間に30㎜という結構な雨が降りました。
あの程度でも窓を打つ雨の音にいつもとは違う “ 怖さ “ を
感じたのですから、豪雨の直撃を受けた被災地の皆さまは
さぞかし恐ろしい思いをされた事だろうと思います。
6年前の夏、コペンハーゲンも140年ぶりという記録的な豪雨で
街全体が水に浸かってしまったことがありました。
デンマークは国土が平坦なので山崩れなどの土砂災害はないけれど、
すぐに浸水してしまう。コペンハーゲンは運河に囲まれた
デルタ地帯なので余計です。それなのに、何故だかほとんどの住宅には
地下室が有ります。旧市街地の古い建物などもトントンと階段を下りた
地下がカフェや店舗になっていたりして、それが街並を奥行き深く魅力的に
しているのだけれど、それがぜーんぶ!ことごとく貯水池になってしまった!
それはもう大変な騒ぎでした。

我が家の地下も例外ではありません。水浸しです。
実は、それ以前から集中豪雨の時など地下の奥深くでゴボゴボ…という
不穏な音が聞こえて来て、その度に雨水が逆流して来ないか?とハラハラして
いたのですが、それが現実となりました。160平米のスペースに万遍なく
水が溜まってしまった。広いのが幸いして?浸水は10㎝程ですんだものの、
ヘトヘトになりました。後始末の顛末は長くなるので省きますが、
教訓は 『床に直接モノを置くべからず!』です。

こういう時の保険会社の行動の素早さには感心しました。
乾燥除湿器のレンタル会社があるのを知ったのも保険会社のお知らせでした。
いやはや、両方とも繁盛したと思います。
我が家も大きめの乾燥機を一ヶ月レンタル、終日稼動させて完全乾燥。
もうひとつ、排水逆流ストッパーを設置して万全を期しました。
工事に手間取りましたが、例えば旅行で長期間家を留守にするとき等
ノズルを閉じておけば雨水の逆流を防げます。我が家でこの程度ですから
あの時はコペンハーゲン中が官民全てが洪水対策に夢中になっていたような
気がします。そして、今回の30㎜の雨では浸水ほとんどゼロ、
以前なら水の出てしまう海抜ゼロ地帯も被害報告ゼロ!!
もちろん、我が家の地下室もゴボゴボ…という音もしなければ、
逆流のしませんでした。
年がら年中道路に穴を掘って工事中の札が立っているけれど、
コレだったのね!と大いに納得したのです。
今も街のあちこちが穴だらけの工事中だけれど文句言いません。
きっといつか、ああ、コレだったのね!と納得できる日が来るでしょう。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/








水辺の街、コペンハーゲン。大雨には弱い!















今日の庭から。
紫陽花は雨が大好き!沢山花が咲きました。シュウメイ菊もチラホラ。
花壇のサルビア、ラベンダーは盛りを過ぎ、丸い朝顔のようなナスタチウムや
チョコレートブロムスタ、ミソハギなどが庭を彩っています。



【きょうのクロスステッチ Vol. 398】 by 岡村恭子

VOL.398 気にかけているものふたつ

      “ 金のなる木 ”と “ 愛用パソコン ”

torsdag den. 27 august 2017

8月になりました。
長い夏休みが終わり、街にいつもの活気が戻ってきました。
デンマークは夏休み明けが新学期です。本屋さんの店頭に文房具や
ランドセル(と言ってもリュックサックです)が、これだけは
世界共通らしく女の子用はピンク、男の子は青色系と、
色とりどりに並んでいます。
今から10年ほど前、家人の仕事場が引越しをした際に
捨ててしまうのは可哀想、と自宅に持って帰ってきた鉢植えがあります。
たまに水をあげるくらいで大して手入れもせずにいたのを、
先日、ふと思いついて土を入れ替えてあげました。葉の上から
雨のシャワーを浴びたのも良かったみたいで、丸くて分厚い葉っぱが
ツヤツヤしてきました。そういえば誰れかが “ 金のなる木 “ と
いうのだと教えてくれたっけ…。無骨な見かけによらず縁起の良い名前です。
これから もう少し気にかけてあげなくっちゃ!と思っていたら、
ここへ来て気にかけなくてはいけないものがもう一つ増えてしまった。
使用歴7年のパソコンです。

蛇口をひねると水が出てくるように、スイッチを入れれば電気がつくように、
パソコンを開けばスカイプにつながる…と思っていたら大間違いのようで、
突然接続不可になってしまいました。
スカイプというのは21世紀の国際電話です。デンマークに暮らしている
私にとって便利この上ない有り難いツール、家族との連絡を始め
諸事に活用しているので、いざ使えないとなると本当に困ります。
メールで間に合わせれば良いようなものですが、
例えばちょっと指先を切ってしまっただけでも不自由で家事をするのが
億劫になってしまうのと同様、パソコンに少し不都合が生じただけで
ものすごく浮かない気分です。
原因は基本ソフトのアップデートを怠っていたから、ということらしいけれど、
高度なテクニックを使おうとしたわけでもないのに、と腑に落ちません。
とにかく、我が家唯一の助っ人に来てもらいアップデートしたら、
今度は雑音を発して熱を持つ感じです。さてはキャパシティーオーバー?
パソコンの基本を理解していないから不安は募るばかり。
分けのわからないまま、壊れはしないか?とハラハラしています。
少し使ってはsleepタイム、冷まして再起動…、だましだましの毎日です。

そういえば、去年の秋帰国した際にも突然固まってしまったことがありました。
銀座のアップルストアに駆け込むと、いかにもその世界に詳しそうな青年が
メンテナンスしてながら、
「この子はデンマーク生まれですね。もう6年かあ。無理せず
大事にしてあげてください。」と、まるで年寄り扱いでした。
あれから一年経ってしまった。
たった7年、されど7年、 そろそろ買い替え時なのかもしれません。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




8月1日の空。早くも晩夏の気配が漂ってきました。



金のなる木 というのだそうです。花も咲くのだそうですが、
我が家のは一度も花をつけたことがありません。



8月1日の庭。 雨をたっぷり吸い込んで芝生は絨毯のようです。



【きょうのクロスステッチ Vol. 399】 by 岡村恭子

VOL.399 王様になりたかったプリンス

torsdag den. 10  august 2017

この夏は、寒暖計の針がどうにかこうにか20℃を超えて
くれただけでも喜ばなくてはならない、というような
盛り上がりに欠ける冷夏ですが、
巷ではマーガレーテ女王の夫君ヘンリック殿下の爆弾発言で
議論がヒートアップしています。
事の発端は、ヘンリック殿下が妻であるマーガレーテ女王と同じ
棺に入りたくない!と言い放ったことから始まりました。

デンマーク王室の歴代君主の墓所はロスキレ大聖堂と決まっています。
http://www.roskildedomkirke.dk/
女王夫妻用にも既に29million DK.(約5億円)かけて作られた
クリスタルのモニュメントが設置され、天国に召された後も夫婦仲良く
その下に安置される…と、国民の誰もが疑わずにいました。
それが、なんと!今頃になって ” 入り婿さん “ の造反です。
マーガレーテ女王とヘンリック殿下は国際結婚、今までも何かと駄々を
こねるフランス人の旦那さまに世間体を保つべく、笑顔で繕ってきた女王も
今回ばかりは心中穏やかではなさそうです。
ヘンリック殿下(83歳)の言い分はこうです。
自分はクィーンの夫である。さすれば対等にキング&クィーンと
並び称されるべきである。しかるにプリンスとは何事か、これは差別である。
もしも、一緒に葬られるのなら、私を “ 王 “ の称号にすべきである!と。
なんというアガママおじいちゃんなのでしょう。無茶な論法に
国民ならずとも女王様が気の毒になりますが、ここまで旦那さまの我儘を
許してきたのも彼女なのですから、夫婦の機微は他人には推し測れません。
折しもお隣イギリスではフィリップ殿下がエリザベス女王の側で
立派に脇役を演じきり、この度、円満退職されたと聞くにつれ、
それにひきかえ当方は、という女王様の嘆きが聞こえてきそうです。
デンマークでは歴代王家の第一子が王位を継承すると決まっています。
言うなれば、女王様との結婚を決意した時から決まっていた称号なのです。
以前から年俸のベースアップを要求して公務をボイコットしたり、
何かと勝手な振る舞いが多く、デンマーク王室のトラブルメーカーでしたが、
歳を重ねると共にそれが顕著になってきました。
昨年、一切の公職から離れて悠々自適の年金生活に入り、以来一年のほとんどを
フランスのシャットーで過ごしています。一方、女王様は淡々と国内外の公務を
こなしていらっしゃいます。そして、6月にはつつがなく金婚式を迎えた、
その矢先の今回の発言です。
平たく言えば、死んでまでも女房の尻に敷かれたくない、ということです。
それでは離婚か?と思うと、それはないらしい。
王室ファミリーはヘンリック殿下の我儘は今に始まったことではないので
驚きに値しない、と平静なコメントを発表しましたが、
国民感情は当然女王様に同情的です。
王室のホームページ http://kongehuset.dk/ にも早速ヘンリック殿下の
考えが報告され、ロスキレ大聖堂に安置されない場合の墓所は未定、と、
ちょっぴり皮肉も忘れずに?書き込まれていました。

誰にも訪れる人生最終的な幕引きの時だからこそ、
自分の思うようにしたいという気持ちもわからなくもない。
うう~ん、でもね、王様にはなれませんよ。ヘンリック殿下!

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




















12時に行われる衛兵の交代は観光アトラクション。
毎日たくさんの観光客で賑わっています。
広場の真ん中にはデンマーク建国の王クリスチャン4世の銅像。







今日の庭から。
紫陽花が少しずつサートな色に変化してきました。
芝刈りをした後の庭の様子。



【きょうのクロスステッチ Vol. 400】 by 岡村恭子

VOL.400 きょうのクロスステッチ

torsdag den. 17  august 2017

毎週一回、徒然なるままに書き綴ってきたこのページも
今回でVOL.400となりました。
これからも “ コペンハーゲンの気分 “ を文章に乗せて、
お伝えして行きたいと思っています。刺繍の合間にお楽しみください。

さて、ついこの間、春のオープンステッチハウスで盛り上がったばかり、と
思っていたのに、瞬く間に秋のオープンステッチハウスの頃となりました。
https://www.stitchhouse.jp 
開催まであと丁度ひと月、刺繍に相応しい季節の到来です。
春、Evaさんのワークショップに参加された方も、そうでない方も、
この機会をお見逃しなく是非お出かけください。
…と書きながら、それにしても…です。
一体全体、延江さんはいつ仕事をしているのだろう?
どうしたら半年に一度のイベントを企画、実行できるのだろう?と不思議です。
私の知っている彼女は、時間があれば海岸や森をサイクリングしたり、
公園で日向ぼっこしたり…いつものんびりと楽しそうにしている。
実際には日常の業務以外にデンマーク国内外の出張などで多忙なはず、
それに加えての年二回東京でのイベント企画です。
残業などとんでもない!納期遅れは当たり前、というデンマーク人との
仕事は何かと骨が折れるだろうに、合間にちゃんと南の島でバカンスを
楽しんでもいるのですから感心してしまいます。

そんな “ 見た目はのんびりだけど実は忙しい “ 延江さんと
仲良しの朋子さんも一緒に400回記念のBBQをすることになりました。
娘も参加、(文字通り母娘ほどの年齢差を忘れて)久しぶりの女子会です。
BBQは準備が楽しい。
肉と野菜は色どり良く串に刺して焼き鳥風に、
感謝を込めてギュギュッと握ったおにぎりは醤油を塗って香ばしく、
ステーキはさっと焼いてわさび醤油で、
デンマーク名物のソーセージは太いままコロコロこんがりと、
我が家のBBQマスターが手際よく焼いてゆく間、
おしゃべりに花が咲きます。
昼間の小雨も上がって青空が広がり、庭の緑が瑞々しく夕陽に映えています。
連載400回に乾杯して、しみじみと良い時間を過ごしながら、
最初の頃を懐かしく思い出しました。

K : 刺繍はできないけど、構わない?
N : はい! キョーコさんの好きに書いてください。
連載が決まった時の会話です。あれからもう8年…。
相変わらず刺繍のできない私は、これからも色糸を刺し込むように
四季の移り変わりを文章に織り交ぜてお送りしてゆこうと思います。
北欧の暮らしを少しでも身近に感じていただけたら幸いです。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/


バックナンバーもお楽しみください。

VOL.1 ごあいさつ
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/categories/89413.html

VOL.100 100針目のクロスステッチ
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/562.html

VOL.200 200回目のクロスステッチ
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/802.html

VOL.300 お陰さまで300回!
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1165.html














楽しいひと時から
我が家のBBQマスターが次々と焼いてゆきます。
チョコレートケーキにはラズベリークリームを挟んで。
400回記念に素敵なサプライズプレゼント。Mange TAK!







8月の庭から
ナスタチウムは元気一杯、ツルがどんどん伸びて行きます。
シュウメイギクが咲き始めると秋の気配を感じ始めます。



【きょうのクロスステッチ Vol. 401】 by 岡村恭子

VOL.401 PankoとEdamame

torsdag den. 24  august 2017

東向きのキッチンに朝日が眩しく差し込むようになりました。
白夜の頃、真上にいた太陽が少しずつ低く遠ざかって行きます。
ドアの向こうで秋が静かに出番を待っている気配です。
もう少しの間、ドアを開けずに待っていて!…
そんな気持ちでトーストを頬張りながら「夕飯の献立は何にしよう?…」
朝っぱらからあれこれ考えて、さっさと決まってしまえばスッキリ、
そのあとの家事がはかどると言うものです。

デンマークに暮らし始めた頃のことです。
遊びに来た親友がトランクから故郷の味覚を次々と出しながら、
何か不便はないの?醤油は買えるの?お米は?干物なんてないでしょう?
と心配するのを、創意工夫ね、と笑って答えたのを思い出します。
郷に入っては郷に従い、気分は ケ セ ラ セ ラ~♩ です。 
当時のコペンハーゲンにはチーズ屋さんやパン屋さん、いつも行列の
精肉店など個人商店がたくさんありました。
中でもお気に入りは古ぼけた八百屋さんでした。
入り口から奥へ路地のようになっていて山積みの野菜の向こうに
エプロン姿のおばさん達が元気に働く、女性だけで切り盛りするお店でした。
全て量り売りなので最初のうちはジャガイモ500gというだけでも
ちゃんと言えるか?と、ドキドキしたものです。
その内、顔見知りになると少しおまけしてくれたり、リンゴを味見させて
くれたり、下町気分の素朴で暖かい人情が通っていました。
紙袋にゴロゴロと玉ねぎを入れてもらい挨拶を交わす。たったそれだけでも
地元の人に混ざって生活しているという実感と満足感に浸れたものです。
そうして、手に入れた身近な材料で献立を工夫したのも楽しい思い出です。

あれから幾年月、最近はお醤油もソースもだしの素も!手軽に買えるように
なりました。そして、この度、ニューフェイスPankoの登場です。
デンマークにもRaspというパン粉があって、これを使うと洋風カツレツなどは
本格的な仕上がりになります。 “ とんかつ “ もRaspを代用していますが、
パン粉のように衣が立たないのがちょっと残念なのでした。
帰国の際にトランクに入れてくればいいだけの話だけれど、
そうまでしてまでも…と言う気持ちです。
お米はイタリア米、パン粉代わりのRaspだって十分美味しい。
が、しかし、ここに来て近所のスーパーの棚にPankoの登場です。
嬉しいじゃありませんか! 醤油=Soyasauce (ソーヤソース)、
大根=Kinaradise(キナラディーサ : Kina=中国) のように訳さず、
そのままストレートにPankoと名乗ったところが気に入りました。
そういえば、Edamameもすっかり馴染んでいます。
eda Ma--me とMにアクセントを置いて語尾を伸ばしたりしない。
普通にEdamame と言うのを聞くと、いいぞ!とニンマリ。
この調子ならパン粉を衣にして揚げた ”とんかつ “ が当たり前になる日も近い! 
お次は “とんかつソース “ ね!と密かに楽しみにしています。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/









Panko と Edamame どちらも近所のスーパーで手軽に買えるようなりました。



夏は明るい庭で夕食です。 Raspを使うとウインナシュニッチェルも本格的!?







週末、家のすぐそばの広場で小さなフリーマーケットが開かれます。
お花屋さんに並んだ花は季節を告げるメッセージ、色とりどりの
ダリアが夏もそろそろ終わりに近づいたことを知らせています。




庭のプラムが熟して来ました。

 

【きょうのクロスステッチ Vol. 402】 by 岡村恭子

VOL.402 9月最初のコペンハーゲン便り
      無花果のジャムと秋の運動会

torsdag den. 31 august 2017

秋のオープンステッチハウスまで3週間足らずとなりました。
今回のワークショップは二日間で6つのコースという充実ぶりです。
どの回もそれぞれとても魅力的! でも、すぐにいっぱいになってしまう
のが玉にキズ?!の少人数制です。希望のコースは早めの予約をお勧めします。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1796.html

さて、今日から9月、暦の上にも秋が巡ってきました。
芝生の間からキノコが顔を出し、リンゴが赤くなってきました。
今年もお隣さんから無花果のおすそ分けが届いたので早速ジャムにして
保存です。スーパーにもジャムやピクルス作りの材料が並び始めて、
そんなところにも秋の訪れを感じる今日この頃です。
デンマークでは昔から長い冬に備えて保存食品を作るのが盛んで、
野菜や果実のピクルス以外にも、ニシンの燻製や酢漬けは知る人ぞ知る
デンマークの特産品です。どちらも黒パンに乗せて食べるのが一般的ですが、
燻製はルッコラなどと一緒にサラダにしても美味しい…。
などと書いているうちにお腹が空いてきた!まさに“ 食欲の秋 “ です。

そして秋といえば…もう一つの慣用句 “スポーツの秋 “ というわけで、
新学期が始まった学校では子供達の運動会、運河ではボートやカヤックの
競技会など、初秋の陽光の中で体をう動かそう!と、野外スポーツの
イベントが目白押しです。
先日は企業対抗のリレー大会 : Stafetten Copenhagen が開催されました。
https://sparta.dk/dhl-stafetten-2017/
キャッチフレーズは “ 仲間と走ろう & 歩こう、健康バンザイ! “。
ウィークデーの火曜日~金曜日の4日間に渡り、仕事そっちのけで連日
企業対抗運動会です。銀行や保険会社など大手企業から小さな個人会社まで
計3000社が参加、お揃いのT-シャツでやる気満々のチームもあれば、
やっつけばやのグループもいる。一着には『おめでとう!』の言葉が
ご褒美という、メダルが欲しい人には不向きなところが却って人気の
所以と言えそうです。
1組5名X各人5㎞=25㎞のリレーを完走した後にはBBQが待っています。
一汗かいた肌に初秋の風が気持ちよく吹き抜けてゆくことでしょう。

このイベント、企業間や職場内のコミュニケーションを図り、働く意欲を
かき立てるというのが狙いの一つだそうですが、聞くところによると
翌、水曜日はみんなヘトヘト、ひたすらノルマをこなすべくデスクに
向かっていたそうです。しかし、週末にはフライデースバーで再び
盛り上がる。どうやらデンマーク人のライフワークバランスは
ライフ8 : ワーク2 くらいで保たれている様子です。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/

✳『きょうのクロスステッチ』連載400回記念の感想文を
 お送りくださった皆様ありがとうございました。
 カレンダープレゼントは延江さんからの発表をどうぞお楽しみに!!




夏休みが明けて新学期がスタートしました。
先生に引率されてどこへゆくのでしょう?







今年のStafetten から。
普段走らない人も頑張って走る走る!
一汗かいた後には美味しいBBQが待っています。







お隣りの庭で熟したイチジク。
ジャムにして旬のフルーツを楽しんでいます。



八百屋さんの店先にて。いびつなりんごが秋の訪れを告げています。



【きょうのクロスステッチ Vol. 403】 by 岡村恭子

VOL.403 コペンハーゲン生誕850周年 : Golden Days に思うこと。

torsdag den. 8 september 2017

9月2日はコペンハーゲンが誕生して、ちょうど850年の記念日でした。
17日までの2週間はお祝いムード、街中が “ Golden Days “ です。
https://goldendays.dk
連日、数え切れないくらい沢山のイベントが繰り広げられます。

ひと言で850年というけれど、さて当時の日本はどんな時代だったのか?と、
俄か歴史研究家の気分になって調べてみると、
丁度その年(1167年)には平清盛が太政大臣になっていますよ。
…なーるほど。その後間もなく平家は “ 盛者必衰のことわりをあらわす “
ことになるとは知らずに平清盛 云々… という年だったわけです。
歴史は面白い。

それから約500年の年を経て登場するのがデンマークの黄金時代を築いた
クリスチャン4世(1577-1648)です。
北方ルネッサンス華やかなりし時代にあって、大航海時代の繁栄を背景に、
建築好きの王様は次々と壮大な建造物を建てまくります。
アマリエンボー城を始めとする数々の城をはじめ、国会議事堂周辺の
歴史的建造物など、そのほとんどがクリスチャン4世の時代に築かれたものです。
例えば、ラウンドタワーは、当時ヨーロッパの王侯貴族の間で流行った
天体観測にハマってしまったクリスチャン4世が無い物ねだりで作った
天文台だそうですが、星を見るために石畳のスロープを馬車で駆け上がって
行く姿を想像するのは物語のようなロマンがる有るし、
21世紀になった今も観光名所として沢山の人を楽しませていることを思うと、
王様の贅沢はそのまま後世への贈り物だったとも言えそうです。

そして、さらに時が過ぎて、今から150年前の1867年、
この北欧の小さな島国は遠い東洋の島国=日本と通商条約を結ぶのです。
実は、その年は日本にとって歴史的に大きな転換期を迎えていた年でした。
大政奉還です。
徳川幕府が江戸城を明け渡し、徳川300年の幕を閉じ、まさに新しい時代が
始まろうとしていた、そんな大忙しの時に徳川慶喜はデンマークとの通商条約を
交わしたのです。
その時の誓約書のオリジナルがデンマークで大切に保管されています。
残念ながら日本側の書類は焼失してしまったのだそうですが、
150周年記念行事の一環としてデンマーク政府が復元した誓約書を
日本に贈呈したというのは、とても嬉しいエピソードでした。
そして現在、一番身近なところではみなさんの大好きな刺繍も
“ ステッチハウス “ を通じて文化交流の一端を担っていると思います。
こうして身近なところから歴史を紐解くと見えて来るものが
たくさんあるような気がしてきました。
将軍職を辞する前にデンマークと友好条約を結んだ徳川慶喜は
ある意味とても勇気のある政治家だったと言えるのかも知れません。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




王宮、アマリエンボー城の広場。
クリスチャン4世が馬上から人々を見守ります。











Golden Days風景。
主だった公共施設を無料開放、通りは歩行者天国になって人々が集い
昼は子どたちが歴史を学びながら宝探し、夜は若者たちがDJで盛り上がります。




観光客には運河巡りでコペンハーゲンの歴史的建造物を見るのも人気です。







デザインミュージアム : 友好150周年記念 Learning from Japan 展
写真は刀の鍔。引き出しの中に膨大な刀の鍔が整然と並んでいます。
https://designmuseum.dk/udstilling/



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