2010年7月~9月

【きょうのクロスステッチ Vol. 65】 by 岡村恭子

VOL.65 小さな港町 Dragoer

torsdag den. 30 september2010


コペンハーゲンの語源は「商人の港町」です。
普段は港町に住んでいるという事を忘れているけれど、
頭上をカモメが飛んでいるのを見かけた時などに、ああ、そういえば
海が近いんだ、とあらためて気づいたりしています。

「 久しぶりに海にでも行こうか。」
家人がめずらしくドライブに誘ってくれました。
我が家から南の方角に市街地を抜け、広々とした庭に大きな家が並ぶ
郊外型の住宅地域の並木道を抜けて、更にしばらく行くと
車の往来も少なくなり、やがて小さなロータリーに出ます。
そのロータリーをクルリ!と抜けた途端、回転ステージが裏表になったように、
周囲の景色が一変。まったく唐突に「町」から「田舎」に変身です。
道路の左右に野原が広がり、馬が草を食み、ヤギが寝そべる突然の田園風景に、
初めて来た人は皆ビックリしてしまいます。
我が家からまだ数十分しか走っていないのにどこか遠くに来たみたいです。
更に森を抜け林を抜け、地平線まで続く畑の中を縫うように走っているうちに、
住宅がちらほらして来ます。町らしくなって来たなあ、と思う間もなく
緩いカーブを右に曲がると…どうでしょう!今度は急に眼前が開け、
前方に海が広がって、またまた初めての人はビックリ!です。
海岸線の葦の原にススキの穂が揺れています。
対岸にかすんで見えるのは南スウェーデンです。

小さな港町*Dragoer(ドラゥヨ)は1600年代にオランダからの
移住者たちが開拓した町です。保存地区に指定されているので当時の面影が
今もそのままに残されています。黄色の壁に赤い屋根、庭には季節の花が咲き、
どの家も手入れが行き 届いています。
窓辺に陶器の狛犬が2匹向かい合うように飾られているのが目につきますが、
それは、かつて漁に出た者が無事に帰ってくるように、というお守りだった
そうです。冷たい荒海に漕ぎだしていった男達の無事を祈りながら、
留守を守る女達は静かに刺繍の針を進めていたのかもしれません。
そんな昔を想像しながら、歩いているだけでも充分楽しめます。
曲がりくねった石畳の小道を散策していたら、黄緑色のカサカサっとした
可愛らしい実を発見!これはもしかして…誰かさんの大好きな飲み物の
原料の一つではないかしら?
帰宅してからWikipediaで調べたら、まさしくホップの実でした。
まさか何百年も前からそこに植わっていたはずはありませんが、
ビール好きなオランダ人の村だったのですから、当時もホップを育てて
自家製ビールで乾杯していたような気がします。

羽を休めている海鳥に混ざって私たちも一休み。
のんびりとした秋の昼下がり。小さな港町での心和むひと時でした。
* http://www.dragoer.dk/

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

家々の外回りも花や小物で演出、通行人の目を楽しませてくれます。


これがホップ!蔦の絡まる葉陰で小さな穂のような実が可愛らしい。

曲がりくねった石畳。400年前の昔に迷い込んだみたいです。

カモメも日向ぼっこ。

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