きょうのクロスステッチ
【きょうのクロスステッチ Vol. 758】 by 岡村恭子
VOL.758 夏休み明けの日々雑記 デンマークの義務教育から学んだ事
lørdag den. 9 august 2025
8月に入って1週間、長い夏休みから目覚めた街に日常の活気が戻り、
来週から新学期、通学路には「僕たち新一年生!」と書かれたパネルが
ドライバーに安全運転を呼びかけています。
デンマークの義務教育は9年間一貫です。
希望者はプレスクールから始めることもできるし、
9年生終了後、更にもう一年学校に留まるという選択肢もあるので
最長で11年間同じ学校に通える計算です。
入学から卒業までずっと同じクラスで基本的に担任も変わらない。
娘は新しい環境になれるためにプレスクールクラスから入学しました。
学校内の幼稚園部といった感じです。
一貫教育の良い点は本人の学力や進路希望などに沿ってゆっくりと考える時間があり、
個人差を認めながら一人一人に丁寧な指導が可能なことです。
娘を通じて知ったこの国の人々の教育に対する考え方やその中での学校の役割など
日本の義務教育を受けて育った私にとって様々な意味で学びの連続でした。
デンマークでは職場の同僚はもちろん上司に対してもファースネームで
呼び合うのが普通です。苗字じゃなくて名前で呼び合う。
名前が重なる場合はどちらかをフルネームにして区別する。
これは慣れるとすごく便利です。
当然のように学校で子供達が担任の先生を呼ぶ時もファーストネーム。
娘の担任はギター大好きなニールス・カーステン先生でした。
(他にもニールス先生がいたので、ミドルネームのカーステンを加えていた)
子供達が明るい声で「ニールス・カーステ〜ン!」と呼ぶ声に遠くから手を振って答える。
まるで歌好きな近所のお兄さんという感じです。
日本人的にはかなりラフな印象ですが、ひょっとして幼い頃から固有名詞の
個人対個人という環境で成長してゆくことが、自己の確立に役立っているのかも
知れないとも思ったものです。
難しい規律を守ったり、一糸乱れぬ整列などは苦手だけれど、
みんな元気よく手を上げて先生に当ててもらいたがる。
誰もが積極的で物おじしないという印象でした。
卒業する頃には自分なりの意見をまとめられるまでに成長し、
長年同じクラスで過ごしたクラスメートは気心の知れた姉妹兄弟のようになる。
義務教育期間は学力よりも人間性と社会性を育てる場所なのだということを
娘の通っていた学校の教育現場を垣間見て実感できました。
進学した娘の「自分なりの進路が決まって目標をクリアするとその先の扉が
スーッと開いてゆく感じ。」という感想を思い出します。
自分自身も一度はこの国の社会に飛び出してみたかったなあ。
デンマークに暮らしてきて、唯一後悔しているとしたらそんな事です。
そうしたら、今頃もっと実感できたことがあっただろうに…と
今更のように思っていますが、まあ、それも含めて私の人生
ということにしておきましょう。
…今夜は満月。
雲の合間から明るい月光が静かに庭を照らします。
真夏の賑やかだった頃を思い出しながら
短い夏の名残りをもうしばらくの間味わいたいと思っています。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/



夜は様々なスポットが虹色にラトアップされるという事です。




庭のプラムと林檎。今年の林檎はたった2個!無事に赤くなってくれますように。
PM7:30 夕日が隣家の壁を照らします。
洛陽が日増しに早まっているのを感じる今日この頃。




