2014年4月~6月

【きょうのクロスステッチ Vol. 233】 by 岡村恭子


VOL.233 祈無事 : のら猫カナちゃん

torsdag den. 3 april 2014


のら猫カナちゃんが姿を見せてくれません。

お正月に挨拶に来たあとしばらく来なくて心配したけれど、2週間程したら
ひょっこりやって来て一安心。気まぐれだと笑っていたのですが、
それを最後にパッタリと来なくなって早2ヶ月が過ぎました。
最後に来た時も真冬にも関わらず元気そうで、キャットフードを平らげ、
いつもの場所で身繕いし、いつものように薮の向こうに帰って行きました。
別に変わった様子は無かったけれど、ただその日、久しぶりのカナ猫は
気のせいかいつもよりツヤツヤの毛でふんわりと包まれて、とてもきれいな
印象でした。もしかしたら何処かで可愛がられているのかも知れない、
そうだと良いのにね。… 薮に潜り込む後ろ姿を見送りながら家人と二人、
とにかく元気で良かった良かった。と安心したのでした。
それから、毎日、庭先に現れるのを楽しみにして、気がつけば冬は過ぎ、
春の陽射しが眩しい頃となりました。またフラリと変わらぬ姿を見せてくれる
と思いたいけれど、今回はインターバルが長すぎるような気がします。
所詮、飼い猫ではないのだから何処に行こうとカナ猫の自由。
我が家に来ていた頃だって私達の知らない所に “ ねぐら “ が有ったのですから。
今も何処かで気ままな野良猫暮らしをしているに違いないのです。と、そう思いたい。

カナ猫が我が家にやってくる様になったのは2008年の春ですから、
かれこれ6年の付き合いでした。
それまで猫などに関心の無かった私が「可愛い」と思った、最初で最後の猫
かも知れません。塀に飛び乗ったり獲物を追いかけたり…という、およそ猫らしい
俊敏な動作は皆無で、そっと植え込みからやって来て、私が振り向くと少し
離れた所に静止ポーズでいる、という風でした。 “だるまさんがころんだ “ で
遊んでいるみたい!と皆で笑ったものです。
ミャーと猫声を一度も発すること無く、少し離れた場所から人間達のする事を
静かに眺めている…きっと老猫だったのだ、と言ってしまえばそれまでですが、
もの静かな様子はただの野良猫ではない、上品な雰囲気が漂っていた…と
いうのはひいき目でしょうか?

ポカポカ陽気の春の庭で日向ぼっこをするカナ猫の姿を懐かしく思い出しています。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




のら猫カナちゃんのスナップ特集です。何処かで元気にしていますように…。













【きょうのクロスステッチ Vol. 234】 by 岡村恭子


VOL.234 D.I.Y.のデンマークの暮らし

torsdag den. 11 april 2014


夏時間になって10日が過ぎました。
北欧は春の真っ盛り、小鳥が鳴き、花が咲き、野原も新緑で彩られます。
そして、来週はいよいよイースターホリデーです。
この連休を利用して、日光浴がてら冬の間出来なかったメンテナンスに
張り切る人達の姿も多く見られます。
まるで、明るい陽射しを受けて冬眠から目覚めた動物のように、人間も
活動期に入ったみたいです。夏に向かってサマーハウスやボートの手入れ、
庭や温室のメンテナンス等々、我が家も庭や家の内外壁修繕材料を
仕入れに週末のホームセンターに出かけました。折からの小春日和に
沢山の人で賑わい、家人も工具売り場でウキウキ「がんばるぞ!」モード満点です。
ここ数年、デンマークでもこうした大型量販店が増えました。
何でも揃って便利ですが、その一方で従来の小売り専門店も健在です。

人件費の高いデンマークでは出来る限りD.I.Y.が常識です。
私がいつも買い物をする町内の大通りにもペンキ屋さんや日曜大工道具店などが
並んでいます。中でも水回り製品なら水道の蛇口からトイレまで何でも揃うと
いう専門店があり、これがなかなか面白い。特に浴室、キッチンアイテムは
見飽きません。 デパートなどに置いてない小さなキャップや、ちょっとした
部品まで揃っていて便利です。工務店も兼ねているので普段見慣れない
上下水道管の材料まで所狭しと置いて有ったりします。数年前にキッチンの
ミニリフォームと浴室の水回りを修繕した時は、近所のお店に何度も通い、
じっくりと自分たちの気に入ったモノを選ぶことが出来ました。お店の人も
工事人の資格を持つ水回りのプロ!愛想はないけれど、質問すると実に
的確なアドバイスをしてくれます。

我が家に限らず古い住居を住み継ぐのが一般的なデンマークでは家のメンテナンス
は必至。賃貸アパートの住人は引っ越しをする際に、室内を入居時の状態に
する義務が有りますから、ペンキ塗りはほぼ最低条件です。そんな時には
ホームセンターより近所のペンキ屋さんが便利です。大変だけれどその代わり、
引っ越し先はピカピカのペンキ塗り立てになっているという訳です。
お陰で近所のペンキ屋さんや日曜大工道具屋さんはいつも商売繁盛!
郊外のホームセンターと小売店が共存できる良い方法とも言えそうです。


岡村 恭子
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倉庫のように広いホームセンターでは芝刈り機や材木から小さなネジまで売られています。







店の外には花壇用の花が並んでいます。
ワゴンに肥沃土を沢山ばかり積んでいる人もいました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 235】 by 岡村恭子


VOL.235 桜三昧の春

torsdag den. 17 april 2014


10日間程お花見を兼ねて東京に行ってきました。
ほんのりピンク色の花びらは刻一刻と表情を変え、儚気に艶やかに咲き誇り、
そして一陣の風に惜しげも無く花びらを散らして行く…。
桜の魅力は咲き始めて散る迄の一瞬一瞬に込められているようです。
世界広しといえども花の開花予報に盛り上がるという国は日本だけ。
それくらい私達の心に響く” 何か “ を桜の花は持っているのだと思います。
満開の桜の下で春の日本を満喫して戻ったら、丁度コペンハーゲンの桜が
開花時期となりました。今年はダブルでお花見三昧という、とても贅沢な春
になりました。
そして、今日(17日)からイースターホリデーです。
お店が閉まってしまうその前に!…と駆け込みショッピング。ついでに
お気に入り散策コース、植物園に寄り道しました。 ” コペンハーゲンのお花見 “
です。同園のシンボルとも言える樹齢100年の大きな桜の木が今まさに
花の見頃を迎えているのです。桜の木の下にベンチが一つ。家族連れなどが静かに
座って花を見上げている…賑やかだった日本から戻ると、そんなおっとりとした
風景がとても好ましく感じられます。

この植物園には我が家の桜の事でも相談に来ています。結局自然現象という
ことで、弱ってしまった半分を伐採して様子を見ることになったのです。
以来、どうか残り半分には花が咲きます様に…という切なる思いが通じたのか?
どうやら無事に蕾が膨らみ始めています。お花見まであと10日くらいかな?
足元に目を移すと、ヒヤシンスにチューリップ、水仙、ムスカリ、アネモネ、
そしてシバザクラも薄紫色の小花を沢山咲かせています。
北欧の春は一度にやって来ます。ひと月程前に根元近くまで短く切り揃えたバラも
一斉に濃葡萄色の新芽を出しました。葉っぱが成長して緑色になった頃には
沢山蕾をつけてくれます様に…。嗚呼、それよりも芝生のあちこちからデージーや
タンポポが顔をのぞかせ始めました。可愛い顔に似ず曲者です。放っておくと
繁殖して大変な事になる。目についたのから取り除いて行かなくっちゃ!
…こうして今年も エンドレス作業の開始です。私はいつだってバケツをぶら下げて
庭のあちらからこちらへ忙しい。バケツには手袋、ハサミ、雑草取り、シャベルが
放り込んであります。庭をひと回りして戻って来た時には空っぽだったバケツが
雑草や切った枝葉でいっぱいになっているという寸法です。
東京のお花見を懐かしく思い出しながら私は今日もせっせと庭仕事です。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/









満開の桜の木、札に1914年植樹と明記されています。







池のコイもカメもうららかな春の日を喜んでいるようです。

園内の草花ブティックの前に置いてある花置きもお洒落です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 236】 by 岡村恭子


VOL.236 新緑の季節、春野菜の季節。

torsdag den. 24 april 2014


庭の木々が盛んに光合成をしながら新緑の衣をまとい始めています。
一瞬、一瞬、葉っぱが大きくなって行く…まるで高速度フィルムを見て
いるような勢いで新緑色に変身の最中です。庭でプッチン、パッチン…という
音を立てているのは?…そう、松ぼっくりの弾ける音です。
例の “ 半分になってしまった “ 我が家の桜も、この所の暖かい陽気で一気に
満開となりました。健気に咲く花を見上げながら、半分になってしまった…と
一抹の寂しさは否めませんが、今まで毎年春には美しい花を、夏には真っ赤な
さくらんぼを実らせて私達を楽しませてくれたのです。「毎年花を咲かせるのも
これで案外大変なんだよ。」と老木が呟いているような気がして、
「これからは無理しないでいいからね。」と心の中で呟きました。

さて、草木が芽吹くと同時に春野菜の美味しい季節到来です。
これからのシーズンはスーパーよりも近所の八百屋さんや週末の青空市場に
足が向きます。色とりどりの春野菜は元気の源=ビタミンの宝庫。中でも
アスパラガスはまさに今が旬の春野菜の代表格です。
新鮮な野菜はなるべくシンプルに素材の味を生かすのが一番!
例えばアスパラガスだったらサッと茹で上げ、マヨネーズをちょっとつけて、
頭の方から「カプッ」と齧ってしまう。それが最高の食べ方と心得ます。
新ジャガも並び始めました。今頃店頭に並ぶのは国内産に先駆けて、暖かい
地中海はマヨルカ島産です。柔らかい皮をまとった小粒のジャガ芋は、
皮も剥かずに丸ごと茹でて粗塩をパパッと振りかけアウン!と頬張る。
もしくは熱したフライパンにオリーブオイルを敷き、茹で上がったばかりのを
ゴロゴロと転がして、そこに粗塩ひと振り、パセリをパラパラ…これだけで実に
美味しい一品の完成です。カラリと晴れた昼下がり、冷えたビールと一緒に
頬張れば言うことなし!です。もう一つ、初夏にほんの一瞬だけ八百屋さんに
並ぶ新キャベツも楽しみです。いつもは分厚い葉がどっしりと持ち重みのする
キャベツが、束の間、柔らかい葉をふうわりとまとった姿で登場します。
店の隅に置かれているのを見かけたら2、3個まとめ買いをします。
そうして、今が旬!とばかりに毎日キャベツの千切りが食卓に登場するのです。
うう?ん美味しい!しゃきしゃきキャベツ。まだかな?もうすぐかな?…と、
八百屋さんの店先が気になる今日この頃です。


岡村 恭子
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市場はカラフルな野菜が山積み!
私はグリーンアスパラガスとマッシュルームを購入。



今年の我が家の桜です。小規模になってしまったけれど、やっぱりきれい!



庭の椅子にオイルを塗ってメンテナンス。



花壇はチューリップやムスカリなどで賑わっています。

【きょうのクロスステッチ Vol. 237】 by 岡村恭子


VOL.237 コペンハーゲン 桜フェスティバル

torsdag den. 1 mai 2014


コペンハーゲンの観光スポット” 人魚の像 “ のある海岸公園の一角に
桜の名所があります…というと、驚く方もいると思いますが、
デニッシュペストリーで有名な日本の製パン会社のオーナーが日伝の
文化交流の記念樹として寄贈したもので、苗木だったのが立派に育ち、
今では地元の人々の散歩コースとしても親しまれているのです。

その” 桜の広場 “ で毎年春『桜フェスティバル』が開催されるようになって
今年で8回目、デンマーク在住の有志の方々が 日本舞踊や、和太鼓や、
合気道など様々なアトラクションを披露したり…年を追う毎に盛んになって
いるとは聞いていましたが、たった一日だけのお祭りということもあって、
なかなか行くチャンスが無く、今まで行かずじまいでした。今回は近くに用事が
あるという家人と、彼の仕事のパートナーであるエリックを伴って散策がてら
フェスティバルの会場に出かけてみることになりました。

デンマークの人もちゃんとお花見しているかしら?……という、
我々の心配をよそに、いやー、想像以上の盛り上がりに圧倒されました。
この春、東京でお花見をして来たばかりの私達ですが、なんだか東京よりも
盛り上がっているのです。
今年はお天気に恵まれたことも手伝って沢山の人で大賑わい、
テントが連なる屋台では折り詰めのお寿司などを販売し、何処も長蛇の列です。
桜の木の下ではみんな思い思いに車座になりお弁当を広げて楽しそうです。
武道を披露しているステージの脇を子供達が走り回り、誰も彼もが
「花より団子」状態。正に日本のお花見そのものです。お祭り気分満点。
ここがデンマークだという事を忘れてしまいそうです。桜の木の下に陣取って
車座になって、という日本のお花見スタイルがすっかり定着している様子に
驚くやら感心するやら…です。
もともと、お天気さえ良ければ何もせずに日光浴に勤しむこの国の人に、
桜の木の下でのんびり過ごすお花見が気分的にもピッタリ!なのでしょう。
世界各地で盛んになって来ている「お花見」ですが、コペンハーゲンの
『桜フェスティバル』は、その中でもかなり本格的のような気がします。
コスプレの女の子達が日本のアニメのヒロインになりきっている様子は
原宿は竹下通りと見まがうばかり。
ただし、ブロンドの髪の毛はヘアウィッグでは無さそうでした。


岡村 恭子
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新緑が眩しい季節です。木漏れ日まで緑色にそまっているみたい…。



桜フェスティバルでお花見を楽しむ人々。



観光スポット 人魚の像は相変わらずの人だかりです。



今朝の庭から。チューリップの間からラベンダーやサルビの葉が出て来ています。

【きょうのクロスステッチ Vol. 238】 by 岡村恭子


VOL.238 悪戦苦闘の30年

torsdag den. 8 mai 2014


デンマークに暮らして何年?という質問をされる度、一瞬答えるのを
ためらってしまいます。何故かというと大抵の場合30年という数字に驚き、
次に、それならもちろんデンマーク語が達者だろうということになるからです。
ところが現実は悲しいかな全然上達しないまま今日に至ってしまいました。
我ながら今迄何をやっていたんだろう?と思いますが、とにかく、
日常会話は相手の理解力を頼みに何とかなるものの、読み書きの方は
未だに“ 読む “ は雑誌の記事くらいなら…という程度、“ 書く “ に至っては
一生越えられない高いハードルだと痛感する毎日です。

以前にも書きましたが、デンマークでは加速度的に書類の手続きがデジタル化して、
市役所や銀行などの窓口に足を運ぶ必要がなくなった分、メールで事を運ばな
ければならなくなりました。…という事は?そうです。要するに文章を作成
しなければならいということです。最近は職人さんにもメールでやり取りする事が
増えています。用件だけ簡単に書けば良いのだけれど、その簡単な作文が実に
難しいのです。書面となると急に身構えてしまいます。テストを控えた生徒の
ような心境です。
英語⇆デンマーク語の辞書、時には日本語⇆英語の辞書も引っ張りだし、
頭の中の日本語をまず英訳し、更にデンマーク語に置き換える。
そうして苦労の末に出来た継ぎはぎだらけのデンマーク語の文章を、
娘にチェックしてもらいます。スペルの間違い、言い回しの間違いなど、
毎回沢山の赤ペンが入ります。笑いながら 冗談半分で点数を付けてくれることも
あります。40点だとガッカリするけれど、たまに高得点だと小躍りしてしまう。
まったく小学生のようです。
そんなですから、外国の人が流暢な日本語を話している現場に遭遇すると、
すごい!と感動してしまいます。そして、未だに言葉で苦労している我が身を
振り返り、結局、語学が上達するには本人の語学センスが絶対不可欠なのだと
納得。残念ながら私にはそのセンスが無かったのだ、と諦めることにしました。
これからも辞書片手に悪戦奮闘…がんばる以外に道は無さそうです。

庭はいつの間にか初夏の装いに衣替えです。ライラックが良い香りを放っています。
新緑も日増しにその緑の色を濃く深くして、木漏れ日が木の葉の模様を描いています。
ところで、
庭の草花の手入れをしている時も…葉っぱ達との心の会話はやっぱり日本語です。
…果たしてデンマークの花に私の言葉は通じているのでしょうか?


岡村 恭子
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明るい季節は外回りのメンテナンスで忙しくなります。







雨上がりの庭から。初夏の花に水滴がパールのようです。
庭はライラックの甘い香りに包まれています。



友人お手製の手編み籠にライラックを生けてみました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 239】 by 岡村恭子


VOL.239 キッシュ&マカロン : フレンチな昼下がり

torsdag den. 15 mai 2014


このところ雨の降らない日は無い、というくらい毎日一度はスコールが降ります。
外出時には傘が必需品、自転車に乗る時は空の雲行きを見て晴れ間を縫って
出かけます。梅雨のようなお天気にみんなうんざりしているけれど、
止まない雨は無いのです。低い雲の上には初夏の太陽が輝いているのだから…。
週末はお天気になるという予報を信じることにして出かける支度です。
小さな傘も忘れずにバッグに入れました。
久しぶりにステッチハウスのお二人とおしゃべり&ランチのひと時をご一緒する
ことになったのです。最後に会ったのは何時だったでしょう?
あれは確か…去年の11月の終わり頃だったかな?あれからもう半年以上の
月日が流れているなんて…。本当に時の経つのは早いこと。

今回待ち合わせたのは“ Frenchy “ という、その名の通りフレンチテイストの
カジュアルなカフェです。小じんまりとして明るい店内、気さくなギャルソン、
美味しいキッシュ&クロックムッシュ。デザートは3人別々ね!…という訳で、
私はコロコロッと小さくて可愛い3色のマカロンを選びました。
パーフェクトなフレンチランチにおしゃべりが弾みます。そもそも、延江さんが
ステッチハウスをスタートした時に毎日ブログを更新したい!でも実際には
忙しくてちょっと無理、という悩みの解決案として「きょうのクロスステッチ」
の連載が始まったのです。それが縁で今では気軽におしゃべりを楽しめる
数少ない私よりずっと若い女友達になってくれたのですから、こんなに嬉しいことは
有りません。瞬く間に楽しい時間が過ぎてお店を出る頃には ほらネっ?!!
案の定、歩道の石畳が雨に濡れています。バッグに入れて来た小さい傘を広げて
得意な私を軽く笑い流して?延江さんは雨など気にしていない様子です。
そして「あそこのお店よー!」と小走りで向かって行ったのは、オープンしたばかり
の小さなインテリア雑貨のお店でした。北欧テイストのシンプルな小物に混ざって、
額に入ったデンマーク刺繍の作品がさり気なく置かれています。
多分店のオーナーがセレクトしたのでしょう。丁寧な手作りならではの深い味わいを
額に閉じ込めた刺繍作品は、モダンなインテリアのアクセントとして新鮮なイメージを
演出出来そうです。暮らしを彩るアイテムとしてもっと取り入れられたらステキだな、
と思いながら、窓の外に目をやると…どうやら雨は小やみなって来たようです。
「今度は我が家でBBQ ね!」と、指切りげんまんの約束をしてお別れしました。

帰りがけ、お花屋さんでゼラニウムを3鉢購入。週末は花壇を夏向きに
植え替え予定です。


岡村 恭子
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美味しいカジュアルフレンチにおしゃべりが弾みます。



色とりどりの花で溢れるようなお花屋さんの店先。このお店で鉢植えのゼラニウムを購入。



新緑が雨に洗われて一層鮮やかです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 240】 by 岡村恭子


VOL.240 皐月晴れの日に…。

torsdag den. 22 mai 2014


雨上がりの朝、庭に出ると一気に植物が成長しているのに驚きます。
水分を沢山含んだ柔らかい土のお布団から雑草がグングン伸びています。
特に庭木の植え込み周辺は雑草の天国。家人が刈り込んでくれるまで
今しばらくは伸び放題です。
サラダに使えそうな大きなタンポポをはじめ、ナズナのような名も無い
小さな白い花、どこまで伸びようか?と思案気に蔓の先を空に泳がせている
豆科の草、いつの間にこんなに大きくなったのかしら?…手の平のように葉を
広げたルピナスも塔のように長くきれいな花をつけ始めました。芍薬も日増しに
蕾を大きくしています。そんな植え込みの間からオレンジ色のポピー、白いかすみ草、
鈴蘭も可愛らしい花を風に揺らしています。西洋オダマキもあちらこちらに
群生して釣り鐘のような花を沢山咲かせています。
藪の中は鬱蒼としてトトロの散歩道のようだし…。そんな庭の様子を眺めれば
雑草だって風にそよいでキレイです。本当に今頃の庭は野原みたい…
それもまた良し!です。

そして、今年も夏至まであと一ヶ月になりました。
北欧は明るく輝く季節のクライマックスに向けてまっしぐらです。
梅雨の時期がない北欧では今頃からもう夏は始まっているのです。緯度が高いので
真上から照りつける陽射しはジリジリと痛い程、カラリと晴れた日には人だろうが
モノだろうが何でも良く乾きます。まさに甲羅干し日和、虫干し日和です。
庭仕事をしていてもたちまちち陽に焼けてしまいます。ああ、でもそれが幸せ。
気持ち良いついでに、明かり取りの窓を全部開け放して地下の大掃除を始めて
しまいました。清々したのに気を良くして衣類の整理整頓をはじめたら、もう
止まらない。玄関わきのクロゼットに山積みの家族の靴一掃を始めてしまった。
こうして、先週一週間は我が家の大掃除ウィークとなったのでした。
目に見えない場所をすっきりさせたら、家が軽くなったような気がします。

一段落した夕食後、庭先で寛いでいると裏通りから子供達の声が響いて来ました。
時計の針はpm 8:00を指しているけれどまだまだ明るい!外で元気に遊ぶ子供達の
声に、現代っ子も鬼ゴッコで夢中になれるんだ!と妙に安心したり、遠くから
聞こえて来るサキソフォンの音色に今年もジャズフェスティバルが近づいて来たことを
知ったり…、夕暮れの庭で何気ない日常の気配に耳を澄まし、グラスを傾けて
のんびりとするひと時も今頃ならではの楽しみです。


岡村 恭子
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かすみ草、パンジー、ポピーにアザミetc.5月の庭は野原のようです。



ご近所の庭先にたわわに咲き誇るGulregn。私は色違いのBluregnを購入しましたが、
何故か未だに花を咲かせてくれません。咲いたらお知らせしますね!

【きょうのクロスステッチ Vol. 241】 by 岡村恭子


VOL.241 モノを包むということ。

torsdag den. 29 mai 2014


先日、延江さんに美味しい紅茶を頂きました。
普段行列などしないコペンハーゲンで、ここだけは何時行っても
お店の外まで人が並んでいるという人気店の紅茶です。
中身よりもパッケージに力が入りがちな昨今、紅茶をギュッと詰めた袋を
輪ゴムで止めただけのシンプルなパッケージがかえって新鮮です。

パッケージ=「モノを包む」という事で思いつくのが「風呂敷」です。
一枚の布でどんなカタチでも自由自在に包める“ FURO-SHIKI “は
シンプルな包装の決定版と言えそうです。が一方で、実はこの風呂敷が
過重包装の元かもしれない、と思える時があります。
例えば、これからの季節ならお中元のコマーシャルなどで見かける場面…
綺麗な風呂敷包みがはらりと開いて、中から化粧箱入りの結構な品が出て来る。
あたかも風呂敷というカーテンの中から主人公が現れたように。
そうすると次第にその主人公をもっと着飾ってあげたくなるのが人情で、
リボンを掛けて、中箱も作り、その箱の中にもう一枚薄紙で包んで…と際限が
無くなります。結果、本当の中身は何だったっけ?というような事にもなりかねない。

それに比べるとデンマークは素朴です。最近はお洒落なパッケージがもてはやされて
きてはいますが、今でも基本的には紙袋に入れるだけ。その中に直接品物が入って
います。身近な所ではパン屋さん。ガサがサッと無造作に紙袋に入れてくれる、
たまに甘いお菓子を買うと簡単な紙の箱に入れて輪ゴムで止めてくれる。綺麗な
包装紙やリボンなど望めません。でも、その白い箱を持った時はちょっと嬉しい…
そんな感じです。
卵のケースも私が来た30年前からずっと変わらず再生紙製です。私はこのケースを
春先の花のタネを育てる時に使っています。発芽したらケースごと土に植えられて
便利です。今がシーズンの苺も素朴な再生紙の器に入っているのが山積みだと
つい買いたくなります。透明なプラスティック容器入りよりずっとずーっと美味しそう
に見えるからです。素朴な自然素材の持つ力を感じます。

紅茶の包みを眺めているうちにモノを包む事からリサイクルまで、思いついたことを
書いてしまいました。結局のところ何事も凝り過ぎは禁物で、日頃から
さり気なく心を配る…苺の容器のように中身を傷つける事無く優しく…。
そんな人になれたら理想的ですが、現実は気づかぬうちに過重包装になっているような
気もしています。


岡村 恭子
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美味しい紅茶のお店 A.C. Perchのファサード、老舗の風格が有ります。



金色の袋に輪ゴムというところがステキです






苺も卵も再生紙の容器に入って居心地良さそうです。
ピンク色の卵ケースはニューフェイス。



今朝の庭から。

【きょうのクロスステッチ Vol. 242】 by 岡村恭子


VOL.242 知らない国を地図旅行

torsdag den. 5 juni 2014


キッチンのベンチに世界&日本の地図帳を置き、朝食のヨーグルトを
スプーンで掬いながら、興味の向くままにページを開いて楽しんでいます。
今の世の中、グーグルマップで調べれば素早く正確な情報を得られますが、
山の標高や海の深さ、都市の規模などが書き込まれた地図帳はひと味違う
地理案内のアイテムとして重宝です。
読書中の紀行文をなぞりながら地図の上を辿っていると、人の息づかいや街の
賑わいや野山の風景が浮かび上がってくるようです。作者の気分にもなって
想像の羽根が広がります。そして世界は広い!知らない国がいっぱい!と
改めて思います。

何事も知ったつもりで、実ははっきりとは分からないという事があるものです。
地理で言えば、例えばデンマークがどの辺りに位置するか?ということだって
知らない人の方が多いし、他ならぬ私も知らない国や場所だらけ…と、
改めて思ったのは他でもない、私の姪でアーティストのSayaka Ganz
(http://www.sayakaganz.com/)が聞き慣れない国に行っていると聞いたからでした。
その国の名前はアゼルバイジャン。
アゼルバイジャン?!と遠い目になりながらさっそく地図帳を広げました。
そこはカスピ海に面した、トルコやイランと国境を接しているヨーロッパとアジアの
接点とも言える場所。更にインターネットで調べると美しいイスラム建築、古い石畳、
ペルシャ絨毯、咲き誇る草花、美味しいワインに温和な人々。そして、唐突に姿を
現す超近代建築と石油コンビナート…。奥が深そうです。
そんな同国がサスティナブルな提案をしているアーティストの作品展を開催、
その一人として姪も招待されたということです。
説明が長くなりましたが、そんな訳で、只今我が家でアゼルバイジャンは
ホットスポット。今朝もヨーグルトを食べながら地図帳を眺めています。

さて、庭は日照り続きの後に一雨降って草花もホッと一息、しっとりとした空気に
包まれています。朝摘みタイムをグラスに生け、キッチンの窓辺に飾りました。
葉のカタチも小さな花もシソに似ているレモンバームは冷たい水に浮かせて食卓に
添えるだけで清涼感が生まれます。
半分になってしまった桜の木にもどうやら小さなサクランボがチラホラと…。
こうして、北欧の6月は緑に包まれ、草花も今が盛りと成長のクライマックスを
迎えています。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/








鉄やプラスティックなどの廃材で製作されたSayaka Ganzの作品例。
(2012年 新宿伊勢丹ショーウィンドウ 撮影:林 英理子)









今朝の庭から。タイムの小さな花、鉢植えの苺やラベンダー。
去年から大切にして来た鉢植え(=アーチ状の葉)も元気です。花が咲きますように…。

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