2011年7月~9月

【きょうのクロスステッチ Vol. 108】 by 岡村恭子

VOL.108 ポカポカ陽気!

torsdag den. 29 septembar 2011

毎年今頃になると暖房を入れようかどうしようか?と悩みます。
スイッチを入れれば簡単に地域暖房が起動して、家中がポカポカに
なるのですから悩む事はないのですが、そうした途端に冬が身近に迫り来る
ような、そんな気がしてしまう。それに我が家もこれからは
出来る限り省エネを実践してゆこうと決めたのですから、少々寒くても
じっとせずに運動して、それから、えーっと…そうだ、暖炉を活用しよう!
というわけで、朝晩冷え込むようになったある日、今シーズン初の暖炉を
焚きました。

我が家には2つも暖炉が有ります。
両方とも家の隅っこにあるので目立たず、普段はすっかり忘れていますから、
いざ、久しぶりの暖炉だというだけで何だか忙しい。
まず地下で乾燥させている薪を暖炉まで運んで来なくてはなりません。
階段を往ったり来たりしているだけで一汗かき、省エネ実践の第一歩としては
なかなか良いスタートです。
薪の材料はすべて庭木です。良く乾燥したものから順に使って行きます。
ここでも環境問題クリアです。
室内全体がゆっくりと暖められて、火の側にいるだけでヌクヌク、心身ともに
ほぐれて行きます。家族が火の周りに集い薪の爆ぜる音を聞きながらのんびりと
ひとときを過ごすのも良いものです。
こんなに良い事ずくめの暖炉にも実は欠点があります。火を落とすタイミングと
空気孔を閉めるタイミングが難しいのです。

当然のことながら薪は火が無いと燃えないし、火は酸素が無いと燃えないので
暖炉を焚く時は煙突への空気孔を開きます。そして薪が燃え尽きそうになった
頃を見計らって閉じなければなりません。さもないとせっかく暖まった空気が
逃げてしまいます。簡単なようですがこれが難しい。
薪をくべるタイミングを間違えるといつまでも赤々と燃えて、まるで夜中に
ぐずる赤ちゃんのようです。
熾き火になって静かに灰になる頃まで暖炉の側から離れられなくなってしまう。
映画なら主人がロッキングチェアで寛ぐ側で火の番をする執事がいますが、
さしずめ我が家では私がその執事役という感じです。

結局、その翌日には地域暖房のスイッチを入れてしまったのですが、
するとどうでしょう?その途端にまるで初夏のようポカポカ陽気になったのです。
もうすぐ10月になるというのに日中の気温が20℃近くに跳ね上がりました。
寒かった暑かったりと、このところお天気に振り回されていますが、
こんな良いお天気なら大歓迎です。
私は暖炉どころか地域暖房のスイッチを再び切り、窓を開け放ちました。
週末は今年最後の日光浴日和になりそうです。

岡村 恭子
http://copensmile.exblog.jp/

暖炉の右上のツマミが空気孔です。


リンゴも赤く色づいて、庭は秋の色に染まり始めました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 107】 by 岡村恭子

VOL.107 秋のコペンハーゲンは自転車で

torsdag den. 22 septembar 2011

日中の気温が15℃、デンマークは 一足先に本格的な秋を迎えています。

木漏れ日に紅葉した葉が舞う、そんな秋たけなわの先週木曜日、
総選挙の投票が行われ、中道左派の党首Helle Schmidt女史が首相に就任、
デンマーク初の女性首相の誕生となりました。男女平等先進国なのに今迄女性の
首相が出なかったのは意外な気がします。女性国会議員が40%を占めていると
聞けば尚更、ようやく…という印象です。今回の選挙で選ばれた議員の平均年齢は
44、3才、最年少は何と20才です。若い!
選挙の際の運動資金は一律で配分され、予算内で活動しなければならないので、
候補者のプラカードを作った残りで風船を配るくらいしか出来ないのですが、
考えてみるとそれで充分ですね。
政治家だからといって特別扱いは無く、自転車で国会に出勤する議員も
珍しく有りません。国会議員は国民の意見をまとめ、実行して行く担当者という
感じでしょうか。政治が身近なので自分の投じた一票の意味を実感できる。
有権者にとって『選挙も愉し!』なのでしょう。選挙の度に政治が身近で本当に
羨ましいなあ、と思います。

大盛り上がりの選挙戦がようやく終わってホッとしたところで、
さて今度はコペンハーゲンで国際自転車ロードレース開催だそうです。
今の所、選挙戦のような盛り上がりは見えないものの、主催者側は
気分”ツールドフランス”です。 とにもかくにも交通規制というわけで、
一般車両は旧市街地を通り抜けるのに一苦労。路面バスもコースが変更になったり、
今週いっぱいは不自由を強いられそうです。
週末の市庁舎前広場はレース観戦の人で賑わいそうですが、
レースの他にも自転車に関するイベントが開かれる、というので調べたら、
自転車部品の蚤の市や自転車リペア教室など、いかにもデンマークらしい
微笑ましい内容です。私にはレースよりもそちらの方が楽しそうなので
お天気がよかったら出かけてみようかな?と思っています。

2年前のCOP15世界環境サミットの主催国になって以来、
国政としてもこれ迄以上に自転車社会を推進中で、自転車専用道路、
駐輪所などのインフラ整備はもちろん、レンタサイクルシステムも充実しています。
大きな荷物を運ぶ時には荷台付きの自転車を借りれるし、観光に訪れた人々も
シティーバイクを気軽に利用出来るよう工夫されています。
目指すは”車社会”ならぬ”自転車社会”。一国の大臣が自転車で風を切って
国会議事堂に出勤するデンマークならではの環境対策ですね。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


近所の公園は秋たけなわです。
桃色、赤、黄…直径2センチほどの可愛らしい木の実が鈴なりです。

街路樹にも橙色の実が撓わになっています。

【きょうのクロスステッチ Vol. 106】 by 岡村恭子

VOL.106 ボン マルシェ

torsdag den. 15 septembar 2011

ダウンタウンの中心Nørreport 駅にほど近いところに
イスラエル広場という、ちょっとエキゾチックな名前の広場が有ります。
春から秋にかけて毎週土曜日にここで開かれる蚤の市は 観光スポット、
自称 ” 掘り出し物を探す名人”の私もよく足を運びます。そして
その時に必ず立寄るのが広場の脇に軒を連ね青空市場です。
新鮮な果物や野菜に季節の花が無造作に山積みされた風景は如何にも
北欧の下町情緒たっぷりで、通りかかったら手ぶらでは帰れません。
ただ屋外のため冬は寒い、暗い、お店番は辛い、の3拍子です。
そんな中、コペンハーゲンの地域開発の一環としてイスラエル広場が
リニューアルされることになり、この度メインの市場が一新、
インドアマルシェになってグランドオープンしました。
これからは暖かい屋内で一年中美味しい食材が買えるというわけです。
どんな様子かな?興味津々…さっそく出かけてみました。

ガラス張りのパビリオンが2棟、広場を挟むように建っています。
今までの素朴な広場から想像出来ないモダンな姿に大変身です。
お天気に恵まれた週末という事も手伝って大変な人出でした。
一体どこからこんなにたくさんの人が集まったて来たの?と
物見高い我が身をすっかり棚に上げ、建物から溢れる人人人…に
ビックリしながら、あれこれ見て回りました。
簡単な食事を楽しめるカウンターや、地ビールの試飲コーナーもあり、
そういう所に行列ができているところなどは東京のデパートの
物産展に来たようなノリです。
どのお店もお洒落な雰囲気で如何にも美味しそうに演出していますが、
日本のデパートの壮観とも言える食料品売り場を知っている身には感動も薄く、
素朴な青空市場の方が良かったなあ…、と私は早くも懐古的な気分です。

いつでも色とりどりの野菜や果物が山盛りの市場では
たった一つのリンゴでも笑顔で景気よく紙袋に入れてくれます。
気のせいかそんなお店で買ったものはスーパーマーケットで求めたのとは
ひと味もふた味も違い、とても美味しく感じられるのです。
やっぱりあの雰囲気は捨てがたい魅力です。青空市場を愛していた地元の
人達も私と同じように思っているのではないかしら?
そんなことを思いながら人込みをかき分けるようにガラスの建物から出て、
裏の公園沿いに並ぶ蚤の市を散策することにしました。
マーケットのにぎわいが嘘のように静かでのんびりとしています。
どれどれ、掘り出し物は有るかしら?…

石畳に枯れ葉が舞い始めています。この蚤の市ももうすぐシーズンオフ、
これから少しずつ室内で過ごす時間が長くなってゆきます。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

オーガニックな食材が目を引きます。


魚屋さんが2軒迎え合わせで店開き。賑やかに競り合っていました。

疲れたので一休み。ちょっぴりスペインのタパ気分です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 105】 by 岡村恭子

VOL.105 ドラえもんの『ほんやくこんにゃく』

torsdag den. 8 septembar 2011

この度の紀伊半島を襲った大型雨台風で被災された地域の皆様に心から
お見舞い申し上げます。

ここデンマークも記録的な多雨の夏となりました。9月に入ってからも
ほとんど毎日雨が降ります。久しぶりに晴れたと思ったそばから
黒い雲がわき上がりザーッとスコールです。こんなに雨ばかりの夏は
長年デンマークに暮らして始めての事です。
庭は充分過ぎる程の水分を含み、芝生の間からはキノコと苔が生え放題、
雑草ばかりが元気よく成長しています。草むしりをしなければいけないのですが、
今年はどうも気が進まない。湿度が高いせいでヤブ蚊が多く、ほんのちょっと
庭に出ただけで刺されてしまうのです。
でもね、文句を言っても始まりません。こんな夏もあるさ!と元気を出した所で、
さあ気持ちを切り替え、秋の庭仕事スタートです。

大きな木を一本伐採することになりました。
お勝手口のすぐ脇にある屋根より高い樅の木です。
その樅の木と家の壁の間に電気の引き込み線が配線されているのですが、
木が大きくなるに連れ枝が邪魔し始め、数年前から気にしていた所に
この天候不順です。万が一、大雨で木が倒れ送電線が切断されてからでは
遅すぎます。業者に頼んで根元からバッサリ切ってもらう事になりました。
そうと決まったら手配をしなければなりません。
まず安全のため作業中電源を一時ストップするよう電力会社に依頼する。
次に市役所のゴミ処理課に廃材用の大型コンテナを予約する。
そして伐採業者さんの手配。以上3者の都合の良い日をコーディネートし、
時間帯を予約する。作業時間が長くなると冷蔵庫の温度が上がってしまうので 、
出来るだけロスタイムが無いように作業して欲しいし…。
そんなことを気にしながら、上手にデンマーク語で、それも電話で約束を
取り付けなければなりません。
歯医者の予約ですら日時を間違えてしまう私に間違いなく出来るだろうか?
甚だ不安です。こういう時にデンマーク語は実に難しいと痛感します。
何年経っても苦手です。間違いの無いようにとあれこれ頭の中で考えていても
らちがあかないので、結局娘に頼んでしまいました。

彼女はいとも簡単にE-mailと電話で連絡依頼完了。ニッコリ笑って
「E-mailならデーターが残るから電話の口約束より確実」と言うけれど、
でも…私にとってデンマーク語を書くのは会話より難しいということは
火を見るよりも明らかです。こんな時にドラえもんが現れて、ポケットから
「ほんやくこんにゃく」を出してくれたらな、と半分本気で思います。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

秋です。リンゴが色づいてきました。

枯れて庭に放置していた観葉植物から新芽が…なんと健気な。

雨上がりのPM 8:00 夕焼けがきれいだったので通りに出てパチリ。

【きょうのクロスステッチ Vol. 104】 by 岡村恭子

VOL.104 地球丸見え?!Google Earth

torsdag den. 1 septembar 2011

あまりにも急速なテクノロジーの進歩について行けない!と思う事が
多い中、とても重宝しているPCのコミュニケーションツールがあります。
21世紀版「テレビ電話」とも言えそうなスカイプです。
この便利なツールの登場で一気に日本との距離が縮まりました。
相手の笑顔を見ながらおしゃべりをしていると、遠く離れていることを
一瞬忘れてしまいます。

突然ですが、星新一のSFショートショートをご存知でしょうか?
1960年代から1970年代にかけて数多くの作品を発表しましたが、
ユーモアとアイロニーに溢れたお話は時代を超えて楽しく、
大人だけでなく子供に聞かせるのにもお薦めです。
その彼の作品に添えられた近未来都市のイラストが、例えば動く歩道にELカー、
超高層ビルに透明のエレベーター、そして、大きなガラス張りの部屋に
テレビ電話など、今日の私達を取り囲む環境にそっくりなのです。
私達はかつてのSF的世界に生きていると言えそうです。
ほんの数十年前まで人々にとって遠い夢だった事が次々と現実となり、
扉を開いて行くように不可能が可能になって来ている。
素晴らしい反面ついて行けない我が身を不安に思うこともしばしばですが、
あまり深く考えずに素直にテクノロジーの恩恵を受けとめれば良いの
かも知れません。

最近ではPC上で世界中を散策出来るようになりました。
誰かさんの住所を検索するとその家の玄関まで行けてしまいます。
上空から街の様子を眺め、ストリートに入り、交差点を曲がると、
ほらっ!○○邸に到着です。居ながらにしての散歩は楽しい反面、
立場を変えると常に何者かに見られているような感じもしてきます。
勝手なものでそう思うとあまり嬉しくない。
あくまでも道具として必要に応じて上手に活用することが肝心ですね。

先日、ステッチハウスの延江さんに会った時の事です。
彼女が嬉しそうにバッグから出してみせてくれたのが、今話題のiPad2でした。
指先でサッサと画面を動かして縦横自由自在、デジタル文庫でいつでも手軽に
読書出来るのだそうです。
でも、一番のご自慢は可愛らしい猫ちゃんのアルバムでした。
子猫ちゃん自慢の延江さんが微笑ましく、彼女のようにツールを活用出来れば、
さぞかし毎日の暮らしが楽しくなるだろうと思った次第です。

今年のカレンダーも9枚目になりました。そろそろ秋の庭仕事の季節到来です。
落ち葉掃きが待っています。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

初秋のコペンハーゲン。
Google Earthで観光気分を味わってみては如何でしょう?

【きょうのクロスステッチ Vol. 103】 by 岡村恭子

VOL.103 頭上注意!のコペンハーゲン

torsdag den. 25 august 2011

地下鉄工事に歩道の整備、インフラ整備に洪水の後始末。
只今コペンハーゲンの旧市街地は何処もかしこも工事中で凸凹の穴だらです。
穴だらけの割には工事現場で働く人の姿は少なく、夏の観光シーズンだと
いうのに焦る様子も有りません。
工事中で道幅が狭くなった所をバスが通り、その脇を通り抜けようとする
車と自転車で渋滞し、それでなくても狭い道路が更に狭く感じられます。
歩いている時には凸凹をよけて転ばぬように、つまずかないように、と忙しい。
そんな時に人は空を見上げたりなどしません。

つい先日のことでした。
友人と連れ立って散歩がてら美術館に行こうと、Design Museumに
向かっている時のことです。
高級家具屋さんの並ぶ通りのウインドウショッピングを楽しんでいた私達の
正に眼前に突然何か物体が落下してきたのです。
…と同時にガッシャン!とつぶれされたような破壊音。
ビックリしてその場に立ち尽くしました。
初老の紳士が「危ないじゃないか!」と見上げて腕を振り上げ一喝すると、
私達の方に向かって申し訳無さそうに「もう何も大丈夫。」と英語で言い、
( 私達を観光客と思ったのでしょう。)その場を去ってしまいました。
落下物は直径20センチ程の植木鉢でした。
道路には割れた植木鉢と白い花と茶色の土が散乱して、何だか怖い現場を
目撃したような気持ちになってしまいました。あと一歩のところで私達の
頭上に落ちて来たのだと思ったら、たかが植木鉢とは言え良い気持ちはしません。
住人が降りて来て詫びるべきだと思いましたが、アパートを見上げても
どの窓も固く閉まっています。
クワバラクワバラ…これからは上を向いて歩こう!…早々にその場を後にし
たのでした。

家人はとても心配性です。
車の運転が嫌いなのも不可抗力で起こりうる事故を想定して、
くたびれてしまうのだそうです。考え過ぎだと思っていましたが、
今回の植木鉢落下ハプニングで彼の言う事も一理あるな、と思いました。
帰宅早々事の次第を報告すると無事で良かった、と言いながら笑っています。
頭に包帯をぐるぐる巻いた私の姿を想像したら可笑しくなったのでしょう。

笑い話で済んだことに感謝したところで、キッチンのカレンダーに目をやれば
夏のクライマックス8月もあと数日。
芝生に落ち葉が目立つようになりました。北欧の暦は秋へ舵を切ろうとしています。


岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


今年3月に撮影したストロエの舗装改修工事お知らせパネル。
舗装の完成まではまだまだ時間がかかりそうです。

散歩の際にはくれぐれも頭上注意!怠り無く。

ミステリー。植木鉢落下犯人は窓から見ていた?!
(写真はDesign Museumのインスタレーション。)


芝生には紅葉し始めた桜の葉が…。

【きょうのクロスステッチ Vol. 102】 by 岡村恭子

VOL.102 新学期に思うこと

torsdag den. 18 august 2011

デンマークは夏休み明けて新学期がスタートしました。

ロイヤルファミリーの王位継承プリンス フレデリック皇太子夫妻の長男
プリンス クリスチャン君もピカピカの一年生です。
ご両親に手を引かれて初登校の日、王宮前で沢山の記者のインタビューに
上手に答えていましたが、「お弁当箱の中身はなあに?」と聞かれて
「ヒ ミ ツ!」と返す当たり、可愛らしい顔をして今から将来の王様の
貫禄充分という感じです。

ところで、皇太子夫妻は我が子が学ぶ環境として、皇太子自身も通った
王室御用達のプライベートスクールではなく、ごく普通の公立小学校を
選ばれました。長男の教育方針でも開かれた王室のイメージを国民に
大いにアピールしたようです。
受け入れる学校側もプリンスだからといってあまり特別扱いしないだろうし、
メディアも騒ぎ立てません。プライバシーを尊重する個人主義の精神が
浸透している、そういう意味でこの国は大人の国だなあ、と感心します。
ところで、この「個人主義」という言葉ですが、
私がデンマークに暮らし始めた頃「デンマークは個人主義の国だから」と
いうフレーズを耳にする度に、みんなが無干渉で自分勝手に生きているような
イメージで捉えがちでした。でも実はむしろその逆で、まずお互いの違いを
認め合い、尊重し合う精神を言うのだと理解した時に、目の前がパーッと
明るく開けたような気がしたのを覚えています。
「君のパパは皇太子、僕のお父さんはバスの運転手さん。」
そう言い合えるのはステキな事ですね。 プリンス クリスチャン君は
様々な環境で育つクラスメートと一緒に楽しい学校生活を送る事でしょう。
子供時代から「お互いを認め合う」ことを学び、自由平等の精神を自然に
養う環境が整っている国だと言えそうです。

娘が小学校に通い始めた頃のことでした。
「我が子は大丈夫か?」という、母親としてのまことに漠然とした不安を
クラス担任の先生に打ち明けたところ、微笑みながらこう答えてくれたのです。
「もしも、A-ちゃんが突然校庭の木に登り始めたりしたら、すぐに貴女に
知らせます。なぜならそれはとても彼女らしくないから」
…これ以上何を望みましょう?
個性を尊重する教育者の考えをニコニコしながら簡単に言ってのける先生に、
私は心からの信頼を寄せたのでした。
子供を取り巻く環境も時代とともに変わって行きますが、どんな時代になっても
お互いを尊重し合う精神だけは失ってはいけないと思います。

庭はうっすら秋色に模様替えの気配です。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


シュウメイ菊がきれいです。

雨が多いせいか芝生の間からキノコが顔を出しました。

ヒイラギもうっすら赤みを帯び、カプリフォリには真っ赤な実が…秋近しです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 101】 by 岡村恭子

VOL.101 不要なモノたちの行く末は?

torsdag den. 11 august 2011

K.K さんの『デンマーク刺繍三昧の旅』を楽しく拝読しています。

ゆっくりと時間をかけて丹念に見て回られたK.Kさんの刺繍に寄せる思い
までが伝わってきて、良質のガイドブックを手にしたような気がします。
それにしても、大好きな刺繍を見るためだけに計画した北欧の旅だなんて、
なんと贅沢なことでしょう。
もしかしたら、お膝元デンマークの人が忘れかけている伝統手工芸の魅力を
一番理解しているのは、K.Kさんをはじめステッチハウスで繋がる
刺繍愛好家の皆さまなのかも知れません。… そんな気がします。
地元のAmagermuseetにさえ、未だに行かずじまいの私はちょっと反省。
大好きな海辺の街(Vol.65)のすぐ近くなので、次回は立ち寄ろうと思います。

さて日常に目を転じると、 美しい刺繍の世界から急転直下、
ここ数日の私は分別ゴミに大わらわの毎日です。
洪水騒動を機に地下の大掃除をしたら、出てきた出てきた不要のモノたち!!
もしかしたら又使うかも知れない、もしかしたら又着るかも知れない、
もしかしたら誰かさんが欲がるかも知れない、もしかしたら…もしかしたら…。
冷静に見たら二度と使わないようなモノばかりです。
折しも今週は3ヶ月に一度の*分別ゴミ回収週間、今回を逃すとまた3ヶ月先に
なってしまうのですからここは怠り無いように分別し、アイテム別に
指定曜日に家の外の塀沿いに並べて行きます。こうしておけば、
回収車が勝手に運び去ってくれるという、とても便利なシステムです。
前日の夜に出しておくと通りかかった人が持って行ってくれることも
良く有ります。今回も古いソファと自転車、オーディオセットと
ラジカセなどがその夜のうちに無くなっていました。
またどこかで役立ってくれそうで嬉しいものですし、こうなるとゴミ出しも
楽しくなってきます。
明日、金曜日は建材とPVC製品の日です。娘の幼かった頃の玩具も出します。
なるべくきれいに見えるように工夫して塀の脇に並べておこうと思います。

*デンマークの分別ゴミは毎日出るゴミを除き以下の10種類に分けられています。
グラス、再生紙、段ボール、乾電池薬品等トリートメントが必要なもの、
家具など粗大ゴミ、家電製品、大型家電製品、庭のゴミ、PVC製品、建材。
このうち庭のゴミのみ毎月回収。

好天気で幕を開けた8月なのに、このところまた雨振りが続いています。
日中の気温18℃。紫陽花が色あせてきました。シュウメイ菊が花盛りです。
北欧の秋が足音を忍ばせて近づいて来ています。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


夏の花 向日葵に元気をもらって。

たまには夕食後にカフェ気分です。

日没が早くなってきました。ソーラー充電のライトがきれいです。

晩夏の庭に佇むノラ猫カナちゃん。。。

【きょうのクロスステッチ Vol. 100】 by 岡村恭子

VOL.100 100針目のクロスステッチ

torsdag den. 4 august 2011

いつまで続けられるかな?…
たくさんの”ワクワク”とちょっぴりの”ハラハラ”でスタートした
このページも今回で100回目となりました。
バックナンバーを最初から繙きながら、そういえばこんなこともあった、
あんな日もあった…と懐かしく思い出しています。
そして、週に一回文章を纏める度に自分の身辺を観察したり、
庭の草花を丹念に見て回ったり…、そういうことの一つ一つが
私のささやかな日常をより愉しいものにしてくれていることに、
あらためて気づき感謝しています。
日頃から「指先がグーになっている」とからかわれるほど
手先の不器用な私が、刺繍愛好家のなみなさまに読んで頂くページです。
連載をすると決まった時から、せめて文章で丁寧にステッチをして行きたいと
毎回心を込めて楽しみながら文章を綴ってきました。
これからもさりげない毎日をお伝えして行きたいと思っていますので、
どうぞ刺繍の合間に少し手を休めてお楽しみください。

さて、8月になりました。
夏至から既に一ヶ月以上が経ち、気がつけば白夜の頃は過ぎ去って、
夜が夜らしくなって来ています。(それでも、まだ 日没はPM:9:00です。)
長かった職場の夏期休暇も終わり、街にも日常の活気が戻ってきました。
長雨にたたられた7月とは打って変わって、ここ数日はカラリと晴れた
まさに洗濯日和。新しい洗濯機もやってきて(VOL.98)
私は朝から洗濯三昧です。お日様の良く当たる裏庭に干すと、
シャボンの香りが風に乗って… 嗚呼 ほんとうに気持ち良いこと!

今朝もシーツやタオルをパンパン!と叩いて、ささっと干した後は
大慌てで出かける支度です。
ステッチハウスの延江さん&朋子さんとブランチのお約束なのです。
お目当てはPost&Tele Museum Cafeです。
テラスに陣取ると吹き抜ける風に…あららっ!メニューカードも飛んでしまう。
室内に変更希望して眺めの良い窓際に案内されたら、今度は…おお、眩しい!
ガラス越しに直射日光が直撃です。すると、徐に店内を見回した延江さん、
「あそこにしましょう!」テラスの横の風通し良い席を見つけてくれました。
3度目の正直。今度は大正解でした。
娘ほども若い彼女は、可愛い顔をして実は頼りになる年下の女友達という
感じなのです。
デザートのアイスクリームが、どういうわけか?肘にくっついてしまって
慌てて拭き取っている最中に、突然二人から「100回記念おめでとう!」と
プレゼントを差し出されて、私は年甲斐も無くもっと慌ててしまったのでした。
「ありがとう!」
たくさんの感謝の気持ちを込めて、これからもどうぞよろしく!

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


Købmagergadeにあるポストミュージアムのホール天井を見上げて。

ミュージアムカフェからはラウンドタワーがすぐ目の前です。

広場のカフェの賑わい。いかにも夏のコペンハーゲンらしい風景です。

100回記念に頂いたプレゼントです。カードには心のこもったメッセージが。。。

【きょうのクロスステッチ Vol. 99】 by 岡村恭子

VOL.99 「雨にも負けず」なパーティー上手

torsdag den. 21 juli 2011


例の大雨以来、梅雨のようなお天気が続いていました。
先日などは、家人が庭の椅子をひっくり返しているので、
何をしているのか?と覗きに行ったら、とうとうキノコが生えてしまい
シャベルの先で除去作業をしているのでした。

夏至が過ぎた時点から日照時間が短くなり始めているのですから、
少々の雨などは気にしていられません。
駆け足で過ぎようとする夏を惜しむように戸外で過ごします。
そんな風ですから、ようやくお日様が顔を出してくれた昨日は、
公園も運河沿いのベンチも日光浴にいそしむ人、人、人、でいっぱい!
我が家も親しいお客さまを迎えてさっそく庭でバーベキューパーティーです。
炭火で焦げた香ばしい匂いにカナ猫もやってきて、
久しぶりに夏らしいひと時となりました。

デンマークの人は実にパーティー好きのパーティー上手です。
誕生日だと言っては集い、記念日だと言っては招集がかかります。
特に誕生日は当人自らが主催し、親しい人を招いてその日一日を楽しみます。
通りかかった家の玄関先に小さなデンマークの国旗を見かけたら、
その家の誰かさんの誕生日なのです。
こうして幼い頃からホームパーティーになれているせいか、
誰もがその場の雰囲気を盛り上げ、楽しむのが上手です。
そういう場所での新しい出会いも有り、社交の場としても大いに
役立っているようです。

集合住宅には必ず住民専用の多目的共有スペースがあり、
結婚披露宴などにも利用出来るよう工夫されています。
そういう場合はお料理も持ち寄りですから、メニュー作成から
仕上げのテーブルセッティングまで、本番までのプロセスも楽しみのひとつ。
そして、準備万端整ったところで、あとはお客様を迎えるばかりに…。
私もそういう時のワクワク感を何度も味わってきました。

先日招ばれたパーティーもとてもアットホームな雰囲気でした。
庭のコーナーにはアイスクリーム屋さんが出店、子供達にまざって
ネクタイ姿の紳士もフレーバーの品定めをしていました。
久しぶりに会った知人友人達とのおしゃべりが弾みます。
その日は心配していた雨も降らず、Jazzyな旋律にほろ酔い気分も上々、
大人にまざって子供達も楽しいひと時を一緒に過ごす…、如何にも
北欧の夏の宴らしい一コマでした。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


大きなテントで雨が降っても大丈夫!

シモーヌちゃん11ヶ月、曲に合わせて腰をクネクネ、首もユラユラ。

赤い車は生ビール屋さんです。

おやっ?スイングしている脇から女の子が顔を出していますよ。

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