2013年4月~6月

【きょうのクロスステッチ Vol. 183】 by 岡村恭子


VOL.183 学校がロックアウト?!

torsdag den. 4 april 2013


今年のイースターホリデー、前半は小雪がちらついていたものの、
後半は好天に恵まれ、明るい陽射しの下で春を満喫することが出来ました。

そんな長閑なイースター明けの朝、『全国の学校がロックアウト』という
何やら不穏なニュースです。学校がロックアウトだなんて、一体どういうことなの?
と、半信半疑の私に答えるかのように、首相のHelle Shcmidt女氏が
記者会見に臨みました。
「我が国では労働者はストライキをする権利、雇用側にはロックアウトをする
権利が有ります。今回は雇用側が権利を実行した結果、休校になりますが
全ては国の将来を担う子供達の為のステップなのです。」と、胸を張って
コメントしていました。デニッシュデモクラシーが健全に機能している証しだと、
笑みさえ浮かべて余裕です。
そもそもの発端は教育委員会と教員組合の意見の食い違い。
大雑把に言えばお役所的な理想主義と、現場の先生との考え方のギャップが
原因のようです。
ここ数年続いている子供達の学力低下問題の解決案として、教育省が
提案した新しい教育方針(=授業時間延長案)に教員組合が合意せず、
話し合いはお決まりの平行線を辿って結論が出ず終い。このままでは教員が
ストライキを決行する…という絶妙のタイミングで行政側が先手を打って
ロックアウトに踏み切った、という図式のようです。
学校から閉め出された先生達は負けじとさっそくデモ行進ですが、
それが結構楽しそうだったりするのです。

そういえば…と、娘の小学校時代を思い出しました。授業時間は短いし、
時には自由すぎるようでハラハラすることもありましたが、子供の個性を
尊ぶ教育の現場を垣間見て、目が覚めるような思いをした事が何度も有りました。
その辺の事は、拙著『ヤコブセンの家-桜日記』(プチグラパブリッシング刊)に
詳しいので、興味の有る方はどうぞお読み下さい。

今回も既に先生と生徒の間で問題が討論がされているんだろうな、と
想像がつきます。教育という最もライブで重要なテーマについて自分なりに考え、
クラスで話し合う。意見を交換する。先生も生徒もお互いの立場で主張して
さぞかし議論が白熱していそうだな…、そう思うと、
ロックアウト騒動も広い意味で教育の一環のような気がして来ました。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





イースターの青空のもと、証券取引所の建物から国会議事堂を望む。



POLITIKEN 2013/ 04.02 インターネット配信ニュースより。



庭の隅にはまだ雪が残っています。桜の木もご覧の通り、お花見までまだまだ先です。




のら猫カナちゃんも元気に冬を越してくれました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 184】 by 岡村恭子


VOL.184 北欧の春、明るい季節のプロローグ

torsdag den. 11 april 2013


春です!
夜7時を過ぎても明るく、小鳥がさえずっています。
今度の日曜日は晴れ◎最高気温14℃!という天気予報に
自然と口元がほころびます。

スーパーマーケットにはBBQ用品やガーデン用品が所狭しと並び、
品定めをする人で賑わいを見せはじめました。
デンマークの人はBBQのことをバーベキューと言わずにグリルと言います。
これからの季節は人が集まると“ Skal vi Grill ? “ =「グリルしない?」が
合言葉のようになり、お天気の良い日は何処からとも無くソーセージの
焦げるイイ匂いが漂って来たり、海岸や運河沿いでは若者達が集い、
お肉を焼いたり、ビールで乾杯していたり…。とにかく戸外で憩いたい!
おまけに火も焚きたい!? 冬は煖炉、夏はグリルと、どうやら
バイキングの末裔達は火を焚くのが大好きなようです。
我が家でも約一名、地下からグリルの道具を引っ張りだしている気の早い
人がいます。この週末は我が家も今年初のグリルデーになりそうです。

庭も春めいて来ました。春一番の花、エランティスはすっかり終わり、
只今クロッカスが花盛りです。ムスカリもあちこちから顔を出し始めました。
毎年春の草花達が咲き始める度に感動してしまいます。
私も葉っぱ達の手入れをしてあげなくて!ということで、まずは肥料を買いに
プランターセンターに行きました。
冬の間ガレージで眠っていた家人の愛車に向かって「一緒に行く?」と
散歩に連れ出すように声をかけていざ出発、先日クラシックカー専門の
メカニックでメンテナンスしたお陰で、エンジンも軽く快適ドライブでした。
(何しろ1963年型ワーゲン、お年寄りなので大切しなければなりません。)

プランターセンターは郊外の広い敷地に、それこそ鉢植えの花から
大きな観葉植物まで多種多様の植物で埋め尽くされ、さながら植物園に
来たようです。眺めているだけで癒されます。園芸用品も種類が豊富で
眺めているうちに全部欲しくなってしまいます。でも、ここはぐっとこらえて
肥料と肥沃土購入です。(これだけで合計67kg!)
さあ、太陽の下で身体を動かす毎日が始まります。今年もがんばります。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





プランターセンターの様子。
一面パンジーの花畑のようです。



プロバンス風の小物コーナーが可愛い。



花や野菜の種も豊富です。



肥料と土の他に真っ赤なゼラニウムを買いました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 185】 by 岡村恭子


VOL.185 軽い機敏な子猫何匹いるか?

torsdag den. 18 april 2013


4月16日は女王様の73才のバースデーでした。
デンマークの人は『女王様の誕生日はいつも快晴!』と胸を張ります。
なる程、朝のうち靄でお隣の屋根も見えないくらいミルク色に霞んでいたのに、
陽が高くなるにつれて、明るく晴れ渡って気温も急上昇。
今年は女王様の誕生日を期に本格的な春を迎えた様子です。
北欧の四季の移り変わりはいつも極端で、日曜日に今年初のBBQの時には
ダウンジャケット姿だった家人が、翌日にはT-シャツ姿ですから、
毎年の事ながら少々面食らってしまいます。

ここ数日の好天気で、庭の草花が至る所から顔を出し始めました。
チューリップの葉は午前と午後では目に見えて長く成長しています。
私も冬の間室内で越冬させていた鉢植えをベランダに出したり、
紫陽花やラベンダーの剪定をしたり、庭を出たり入ったりの大忙し。
そして、ひと汗かいた後は お茶を運んで ベンチでしばしの休息です。
そういう時にいつも「次回のこのページに何を書こう?」と思案します。

糸井重里さんは自ら主宰する新聞に毎日欠かさず15年間、コラムを掲載して
今も続いています。その事だけでも尊敬に値します。私も見習おう!と改めて
思いつつカメラ片手に庭を散策です。レンギョウも山吹もまだ色づいていません。
ましてや桜が咲くのにはまだ時間がかかりそう…あれこれと観察の最中に
『軽い機敏な子猫何匹いるか?』…ふと口からついて出て来た覚えたての
愉快な文章。実はこれ、上から読んでも下から読んでも同じ文章なのです。
こういうのを回文というのだそうです。有名なのに『竹薮焼けた』が有ります。
もうひとつお教えしましょう。 『酢豚作りもりもり食ったブス』=すぶたつくりもりもりくったぶす。
面白いでしょう? ここに書いた「猫」と「酢豚」の回文は 『ほぼ日刊イトイ新聞』(糸井重里主宰)
に連載された、名コピーライター 故.土屋耕一さんのオリジナル作品です。
よくこんな文章を作れるものだと感心します。試しに作ってみようと思っても、
頭の中がこんがらがってしまい、もちろん!ひとつも出来ませんでした。


ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





女王様の誕生日、バスも赤い国旗を付けてお祝いです。



今年初のBBQ。カナ猫もご馳走が焼けるのを待っています。







庭の様子です。プラムの木の下は花盛り。花壇のチューリップも元気に育っています。

【きょうのクロスステッチ Vol. 186】 by 岡村恭子


VOL.186 日本の伝統文化に学んだデニッシュデザイン

torsdag den. 25 april 2013


PCの中に保存されている桜の写真を見ると、去年は4月24日に
既に5分咲きという感じです。それに引き換え今年は未だに小さな蕾状態。
それだけ冬の寒さが厳しかったということかな?
そう言えば毎日「さむい!」とぼやいていたような気もしますが、
暖かくなった途端にそんな事はすっかり忘れて、カラリと晴れた午後などは
「夏みたい!」とはしゃいでいるのですから、喉元過ぎれば何とやら…です。
花壇のチューリップがようやく咲き始めました。どの花もきれいだけれど、
やっぱり桜の開花が一番の楽しみです。

日本のような特別な『お花見』は無いものの、デンマークの人も季節の花を
身近に感じる暮らしが大好きです。日本とデンマークは距離こそ遠いけれど
自然を愛する穏やかな国民性や、人に親切なところ、素朴で飾らないところなど、
似ている部分がたくさん有るような気がします。
家具や食器など暮らしの中のデザインにも共通の美意識を感じる事が
度々有りますし、シンプルで機能的なデニッシュデザインのファンは
日本にたくさんいます。ところが、 その憧れの “ デニッシュデザイン “ の
多くが、実は日本文化の影響から生まれたというのは余り知られていないようです。
それも昨日今日に始まった話ではなく、かれこれ150年前からというから
半端ではありません。日本の木造建築、陶芸、着物に代表されるテキスタイル、
竹細工などの手工芸品に至るまで、日本の伝統工芸の世界が遠い北欧の、
それもデンマークという小さな国の人々の心に共鳴し、影響を与えてきたと思うと、
あらためて感動します。

この度、デンマークのアートとデザインが如何に日本文化の影響を受けて
来たかを学術的な観点から検証した本が出版されました。
その立派な本に娘、彩が企画プロデュースしたラグ “ SÆSON “ も選ばれて
写真が掲載さているのです。デンマークを代表するテキスタイルデザイナー
Krestine Kjærholmさんの作品のひとつとして取り上げられたのですが、
日本とデンマークを繋いで行こうと始めたayanomimi社の記念すべき最初の
オリジナル作品が、このような本に採用されたことは、とても意味のある事だと
思います。これからも大好きな二つの国を結ぶ仕事をして行くようにと願っています。

http://www.ayanomimi.com/
http://www.ayanomimi.blogspot.dk/

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





今年最初の芝刈りをしました。画面上の方で山になっているのが見えますか?



庭先も少しずつ彩りが賑やかになって来ました。



24㎝×27㎝のハードカバー。どっしりとした一冊です。



向かって左のラグがSÆSONです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 187】 by 岡村恭子


VOL.187 北欧のお米事情

torsdag den. 2 may 2013


5月になりました。
緯度が高い北欧は夏と冬とでは日照時間の差が極端です。
冬に向かう季節は悲しいくらい急降下で暗いトンネルに潜って行く
感じがしますが、夏に向かう今頃は日増しに強くなる太陽のエネルギーを
受けて元気になります。人々は冬の分まで取り返そうと日光浴に勤しみます。
そんなですから日本では暑くてあまり好まれない西陽の射す部屋 も、
ここ北欧では明くて良い部屋。我が家も南西側に庭が配置され、ダイニングルームの
窓はその庭に面して西向きにあります。西陽が射し込むpm6:30、夕食を囲む
テーブルに照明は不要です。もう少し暖かくなったら庭のテーブルで食事が出来る!
…そんなことが話題になるのも今頃の事。こうして日増しに戸外志向になってゆきます。
出来る事ならお料理中も日光浴をしていたい!という北欧の人たちにグリル(BBQ)が
人気なわけです。

我が家でも日本から来た友人達とグリルを楽しんだ時の事です。
焼きおにぎりを頬張りながら、何処のお米か?と言う質問に
ああ、やっぱり不味いのかなあと思ったら、さに有らず、粘りがあって美味しい
との感想にホッと胸をなでおろしました。実はコペンハーゲンでも
特別のお店に行けば高価な日本のブランド米が買えるのですが、
私は目をつぶって見ない事にしています。特別なことをしていたら切りがない。
何事も『郷に言っては郷に従い』です。
件の友人が美味しいと褒めてくれたお米も近所のスーパー御用達の
イタリア米だったのです。
スーパーマーケットには長いの、丸みのあるの、 黒いワイルドライスなど
数種類のお米が並んでいますし、お寿司がすっかり定着した最近ではお寿司用の
お米も売られています。(主にカリフォルニア米)お米をミルで炊いたり、
生クリームで和えたりするデザートも昔からの定番です。
私はもっぱらそのデザート用のお米を使っています。
粘り気があり、日本のお米に近い仕上がりになるような気がしています。
お米の状態は購入した時でまちまち、精製状態も大雑把…、それでも
何とかなるものです。

帰国した時に頂く炊きたてのご飯が格別美味しく感じられるのも、
普段デンマークでイタリアのお米を食べているお陰?と感謝しています。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





普段食べているイタリアのお米。



大勢で食べるお寿司も、たった一個のおにぎりも美味しい!







花壇も賑わって来ました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 188】 by 岡村恭子


VOL.188 Louisiana美術館へ。 その1

torsdag den. 9 may 2013


ステッチハウスのお二人を誘って、ルイジアナ美術館に行きました。
是非とも見たかったアメリカのアーティストTara Donovan 展とPop Art展、
両方一緒に見られる絶好のチャンスです。
当日は朝からカラリと晴れて、さい先よいスタートとなりました。
ブナの新緑が眩しい車窓の景色を眺めながらおしゃべりしているうちに、
最寄りの駅に到着、そこから目的地ルイジアナ美術館まで徒歩10分程、
道路沿いの住宅や草花を眺めながらの散策でアッという間です。

ルイジアナ美術館はコペンハーゲンの北、Humlebaekという小さな
海辺の町の、静かな住宅街を抜けたところにあります。
北欧最大のモダンアートの殿堂と聞くと、如何にも威厳のある大きな建物を
想像してしまいそうですが、ここルイジアナは、そんな人々の先入観を
軽く覆してしまう程さり気なく、こじんまりとした佇まいです。
緩やかに起伏した海岸沿いの丘の上、うっかりしたら見過ごしてしまいそうな
小さなエントランスが人々を迎えてくれます。
近代的な美術館建築にありがちな、格式張ったところなど微塵も無い建物は
周囲の自然にとけ込み、木々と共に静かに息づいているかのような印象です。

回廊伝いに奥の方へと進んで行きます。両側ガラス張りの廊下の外には
手入れの行き届いた植え込み、 豊かに広がる芝生の庭園、そして、
その向こうには海が広がっています。これだけでも充分鑑賞の価値があります。
創設者の「芸術は一人でも多くの人々の身近に存在すべきものである。」という
信念が現在も受け継がれ、単なる絵画や美術品の展示に留まる事無く、
年間を通して多くのイベント、コンサート、セッションなど多彩な内容です。

Tara Donovanの作品を見たい!Pop Art展は何処かしらね?…、
そんな私達ですが、入り口からブティックを挟んで左右に翼を広げたように
繋がっている美術館の、まずはブティックに寄り道してしまうのでした。
右に左に曲がりながら景色を見たり、壁の絵画を見たり、途中にある子供教室を
覗いたりしながら、やがて見覚えのある細いオブジェが私達を迎えてくれました。
かの有名なジャコメッティの作品です。この先には何が待っているのでしょう?
訪れる度に新鮮な驚きと魅力に溢れた “ Louisiana “。
目的の特別展にたどり着くのはもう少し先のようです。(2に続く)


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





美しい芝生の向こうには海が広がっています。



この白い建物がルイジアナの始まり



カフェの前庭にはカルダーのモビール。同美術館のランドマーク的存在です。



回廊は両面ガラス張りで周囲の庭と溶け込んでいます。木製の天井が日本の住宅にも通じる空間を演出。

【きょうのクロスステッチ Vol. 189】 by 岡村恭子


VOL.189 Lousisiana美術館へ。その2

torsdag den. 16 may 2013


高低差のある立地を利用して建てられたルイジアナ美術館は、
単なる美術館というだけでなく、北欧建築の好例としても高く評されています。
また、ヘンリームーアやカルダーをはじめ、イサムノグチなど世界的彫刻家の作品が
配置されている庭は彫刻美術館の趣があります。
そんな見所満載のルイジアナでのTara Donovan展、一体どんなかな?
さっそく覗いてみる事にしましょう。

温室のようなガラスの小部屋、その螺旋階段を下りると…、
唐突にフロアからニョキニョキと何本か柱のようなものがお出迎えです。
いよいよ “ Tara ワールド “ の始まりです。
ニョキニョキしていたのは直径2㎝程のボタンを積み重ねた作品で、
後から思えばこれはほんの小品なのですが、テッペンを突いたら崩れてしまい
そうな感じが、薄ぼんやりと桃色がかった白い不透明なボタンの色と
相まって、危うい存在感とでもいうのでしょうか。見ているとちょっと不安で
不思議な気持ちにさせられます。
お次は、爪楊枝、割れたガラス板、小さな釘で出来た大きな立方体が3個。
いずれも、ギュッとした重量感を感じさせます。
容器に詰められたかのようですが、実際には周囲にフレームも何も無し。
ボタンと同様にちょっとでも触ったら崩壊してしまいそうな危うさを秘めています。
更に進むと、今度は白い壁一面が何やら歪な感じに見えます。
近づくと、自分の立ち位置で微妙にその歪みが変化します。更に目を凝らして
見ると無数の白いストローの穴がこちらを向いているではありませんか!
一体どうやって壁面に設置したのかな?…と、首を傾げていると、
「キョーコさん、スゴイですよ!」という声です。急いで声のする方に行くと…?!
「わー!」大小さまざまな黒くてキラキラするボールが ムクムク…という感じです。
ホールの天井まで届く勢いで積み重ねられています。
周囲の人間が小さく見える。一瞬ミクロの世界に迷い込んだような、
摩訶不思議な感覚になります。
どの作品も 文章では伝えきれないほどの パワーと緊張感が漂い、
見るものに様々なイマジネーションを誘発します。
普段引き出しの中に転がっていたり、使い捨てている日常の小さなモノ達が、
彼女の手によって様々な想像力をかき立てるアートに変身です。
私には “ マテリアルの再生 “ というメッセージとも受け取れました。

Tara Donovanの世界を満喫したところで、さあ、もう一つの特別展、
Pop Art Design展に行きましょう。
私達はスタート地点のミュージアムショップを挟んで反対側の新館まで
新緑の美しい木立の中、彫刻を鑑賞しつつ芝生の庭を転がって遊ぶ子供達に
微笑み返しながら、五月晴れの庭をPop Artの会場に向かいました。
(3に続く)
Tara Donovan
http://www.louisiana.dk/dk/Menu/Udstillinger/Tara+Donovan


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





手前から爪楊枝、釘、ガラスの立方体。楊枝が一本ぽろりと落ちているのを発見!



壁一面の白いストローで微妙なニュアンスを表現しています。







" 黒いキラキラのムクムク " 作品。黒いボールはアルミのフォイル製。

【きょうのクロスステッチ Vol. 190】 by 岡村恭子


VOL.190 Louisiana美術館へ その3

torsdag den. 23 maj 2013


今年は春の訪れが遅かったせいで、いつまでも蕾のままだった我が家の桜は
ようやく咲いた!と思ったら瞬く間に散って、そして葉桜になってしまいました。
日ごとに緑も深まって、北欧は初夏の装いに衣替えです。

Louisiana美術館に行った日から3週間が過ぎました。
PopArt Design展の事をたくさん書こう!と思っていたのですが、
時間の経過と共に気分も一段落。改めて思うのは1950年代〜1970年代
アメリカを中心にして起こったポップカルチャーが、 半世紀以上の時を越えて
今も人々に新鮮な感覚を呼び覚まさせる魅力に溢れていると言う事です。
自由な発想と奇抜なアイデア、そして当時の世相を反映したユーモアと
風刺に彩られたアートの世界は、眉間にシワを寄せずに楽しめます。
おなじみアンディー ウォーホールをはじめ、ジョージ ネルソン、チャールズ & レイ.
イームズ、そしてお膝元デンマークのベアナ パントン等々、アートとデザインが
一つになってポップカルチャーというエポックを作った “ あの時代 “ 
私にもちょっぴり懐かしい” あの頃 “ を思い出させてくれました。

それからもう一つ、今回は、草間彌生のインスタレーションを体感するという
思いがけないチャンスに恵まれました。
白いボックスの入り口には『一度に2名まで』と書かれています。
順番を待ちながら、草間彌生と言えばやっぱり “水玉ワールド “ かな?と
思いつつドアを開けると、そこには水玉ならぬ暗闇に輝く“ キラキラの世界 “ が
広がっていました。
四方をミラーで囲まれた小部屋は数秒毎に鮮やかに色彩が変化する光の海。
一瞬宇宙の真ん中で浮遊したような気分になります。が…、オッ!と危ない。
床には水が張ってあります。うっかり細い足場を踏み外したら大変なので、
気をしっかりと引き締めて現実の世界に戻ったのでした。

思えばTara Donovan展の会場からずっと歩きづめです。お腹も空いて来ました。
私達は午後の陽射しが眩しい芝生の庭を散策しながらカフェに向かいました。
本格的に寝そべって日光浴をする人、芝生の上を転げ回り、声を上げて駆け回る
子供達、自由な雰囲気に美術館の庭だと言う事を忘れます。
芸術は人々の身近にこそ有るべきだ、という創設者 Knud W. Jensenの言葉
通りです。
カフェでおしゃべりしながら、ふと外のテラスに目をやると、
静かにスケッチをしているカップルがいました。とても良い風景でした。


http://www.louisiana.dk/dk
http://www.louisiana.dk/dk/Menu/Udstillinger/Pop+Art+Design


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





デンマークの画家 Asger Jornの絵の説明を熱心に聞く子供達。



芝生の上からヘンリームーアの彫刻が子供達を見守っているようです。



草間彌生のインスタレーション「Gleaming Lights of The Soul」



PopArt Dsign展から。イームズチェア。



カフェにて。楽しいおしゃべりに花が咲きます。

【きょうのクロスステッチ Vol. 191】 by 岡村恭子


VOL.191 初夏のDragør散策

torsdag den. 30 maj 2013


毎年今頃になると家人がいそいそと愛車の手入れを始めます。そして、
「行くぞ!」と声が掛かった時がチャンスです。大急ぎでバスケットに
サンドイッチを詰めたらバタバタと出かける準備をして、さあ出発です。

コペンハーゲンはどちらを向いても運河と海ですから、行き当たりばったりに
出かけても気持ち良い景色に出会えますが、今頃ならば海辺の街Dragørが
一番です。(バックナンバー https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/648.html
我が家から南に街を抜けて行くと、やがて大きな森の中に入ります。
身体まで明るい緑色に染まってしまいそうな森を抜けると、今度は視界が
広々と開けます。野原で草を食む馬達、遠くに茅葺きの農家、 時々すれ違う
サイクリスト…。平坦な地形なので、一面新緑に彩られた地平線の向こうは
初夏の青空が広がるばかりです。やがて道が大きくカーブしたなと思ったら、
ほうら… ね!海岸通りに出ました。
南スウェーデンとを結ぶ橋を遠くに眺めている内に目的地に到着です。

小さな港を前にして、黄色い壁と赤いレンガや藁葺きの屋根の小さな家々が
ちょっと窮屈そうにギュッとひと塊になって建ち並び、その間を縫うように
曲がりくねった狭い路地が続きます。 そんな小径を気の向くままに散歩です。
手入れの行き届いた庭を愛でたり、美しく飾った窓辺を鑑賞したり…。
どの家も表札やドアノブなどの細かい所まで気配りしている、そのセンスの良さ
には感心するばかりです。
曲がりくねった小径を散策しているうちに、偶然それまで知らなかった小さな
広場に出て、そこでたまたまやっていた蚤の市で掘り出し物を見つけたりする… 
そんな楽しい出会いの予感がする街でもあります。

私達が出かけた日は五月晴れの休日ということも手伝って、一体何処から
こんなに沢山の人が集まって来たのだろう?と思うほど賑わっていました。
カフェもレストランも満員。小さなブティックも試着する人が行列を
作っていました。デンマーク語はもちろんですが、スウェーデン語や
ノルウェー語に混ざってその日は何故かスペイン語圏の観光客、そこに私達
日本人のおしゃべりが加わって、聞こえて来る会話の何とインターナショナルな事!
どうやらこの小さな街も誰も知らない穴場的スポットでは無くなってしまった様子に、
地元民としては嬉しいような残念なような…ちょっぴり複雑な心境です。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





新緑が美しい森の入り口で。



カフェは大賑わい。



何が釣れるかな?子供はしっかりライフベスト着用して感心です。



さすが。銀行も町並みにとけ込んでいます。

【きょうのクロスステッチ Vol. 192】 by 岡村恭子


VOL.192 さあ、今のうち...!

torsdag den. 6 juni 2013


6月になりました。夏至まであと20日足らずです。
ストックホルムの友達から「明るくて嬉しいです。さあ、今のうち!」と
いうメールです。本当に私もその通りの気分です。
人々は「今のうちに…」と、戸外で過ごします。実際には夏至を
過ぎてからが本格的な夏到来なのですが、一方で夏至を境に日照時間が
また短くなって行くのだ、という強迫観念にも似た気持ちが
北欧の人々には有るのです。
庭も初夏の様子です。ルピナスが咲き始めています。
かすみ草が白いレースの様に風に揺れています。
ラベンダーやバラも育っています。育っていると言えば
小さな苗から育てているプチトマトが随分大きくなりました。
只今青い小さな実が全部で15個。赤くなるのを楽しみにしているところです。

PM 10:00、西の空に沈みかけた夕日が輝いています。もうすぐ日没…でも、
真夜中になっても深碧色に塗られたまま暗くならず、少しするとまた東から
朝の太陽が顔を出します。地球が23、5℃傾いてくれているお陰です。
私は夏至の頃になると不思議なくらい漆黒の宇宙にポカリと浮かんだ地球という
星を想像します。それは小さいけれどしっかりと重量感のある宝石のようです。
『 好きなもの、イチゴ 珈琲 花 美人 懐手して宇宙見物 』(寺田寅彦)
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/318.html
いいなあ、好きだなあ、この感じ…と思いながら、暮れようとして暮れそうもない
6月の空を眺めたりします。先日もそんな気持ちの良い一日、庭で夕食の
テーブルを囲んでいたら、何処からとも無くテナーサックスの音が流れて来ました。
今までも時々聞こえて来ることはあったのですが、今回はドラムも加わり本格的に
セッションをしているようです。家人と一緒に音のする方に庭を横切って行くと、
裏通りで人声がします。何だか楽しそうです。散歩がてら様子を見に行く事にしました。
初夏の夕暮れ時、家々の植え込みは緑を一層濃くして、草花が呼吸しながら放つ
何とも気持ち芳い香りが辺を包み込んでいます。
こっちかな?あの家かな?鬱蒼とした植え込みの奥が賑やかそうです。
多分何かのお祝いパーティーなのでしょう。ちょっと幸せのお裾分けを
もらった気分になりました。そうして、その夜は遅くまで賑やかなのでした。

ミッドナイトサマーの北欧は人も風景も明るく輝くようです。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





初夏の庭の様子。



日向ですくすく育っている我が家のプチトマト。



毎日庭で過ごしています。夕暮れとともにランタンを灯します。



庭のスズラン、地下茎で増えて時々間引きするほどです。
可愛らしい白い花から甘い香りがします。

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