2016年4月~6月

【きょうのクロスステッチ Vol. 334】 by 岡村恭子

VOL.334 ヤコブセンの家の庭

torsdag den. 14 april 2016

先週はインターネットの接続不備で予定外の休載となってしまいました。

蛇口をひねればいつでも水が出ると思い込んでいるごとく、
いつでもインターネットで繋がっていると思っていたら大間違いなのでした。
PCの前で首を傾げている間に延江さんが東京入りして、
気がつけばオープンステッチハウスまで一週間になりました。
作品展もワークショップもますます華やかで楽しそうですね。
午後のワインというのもとても魅力的! そそられます。
毎回この時を楽しみにしていらっしゃる皆さまはもちろん、
初めての方もどうぞこの機会に延江さんの笑顔に会いにお出かけ下さい。
カジュアルで和やかな北欧ワールドが広がっていること受け合います。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1480.html

私がインターネットのトラブルでハラハラしている時に、
ご近所の並木の桜もハラハラと散り始めて…今はもう葉桜になリ始めています。
刻一刻と緑を増している母の庭を眺めやりながら、
デンマークの我が家の老桜は今頃どんなかな?つぼみは膨らんで来たかな?
水仙は?チューリップは?ムスカリは?…みんな咲き始めているかな?…
と、気にかかります。コペンハーゲンに暮らして30数年、
当初は広すぎて手をこまねくばかりだった庭にもようやく馴染んで、
こうして遠くにいても庭の隅々まで、薮の奥の方まで手に取るように
その様子が浮かんできます。試行錯誤しながら辿り着いた自己流の手入れも
それなりです。そこそこ広いから雑草も元気いっぱいですが、
それも良しとしましょう。大雑把な感じが如何にも『私の庭』らしいでは
ないか、と一人納得しています。
草花を育てる愉しみを知ったのは 古くて広くてメンテナンス大変な
我が家のお陰。そして、結局の所、人生は巡り会いの連続なのだと
改めて思います。
この家と出会ったのも何気なく広げた新聞の隅っこの小さな不動産広告を
目にしたのが切っ掛けなのです。あの時、あの新聞を手にしていなかったら
一生暮らすことの無かった “ ヤコブセンの家 “※ その庭に立てる幸せ。
彼が植栽した木々を守りながらも少しずつ我が家風にアレンジ出来たかな?
皮肉屋さんのアルネが生きていたらなんと言ったでしょう?
ちょっと聞いてみたいような気がします。

…ということで、今回は我が家の今頃の写真をピックアップしました。


※ http://ja.wikipedia.org/wiki/アルネ•ヤコブセン




岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/









4月の中旬の庭は春の陽射しに明るく輝くようです。







シバザクラやパンジーなど、日本でもおなじみの春の花が庭先を彩ります。

【きょうのクロスステッチ Vol. 335】 by 岡村恭子

VOL.335 ヤコブセンの家のキッチン

torsdag den. 21 april 2016


この度の地震で被災された地域の皆様に心からお見舞い申し上げます。
___________________________

いよいよオープンステッチハウスが始まりました。
色糸が描く美しい作品の数々に囲まれながら、
楽しいおしゃべりの時間が広がっている事でしょう。

春よ来い!と指折り数えていたのがウソのように、
日一日と陽射しが強くなり、その途端『日焼けに注意!』の季節到来です。
暗いと言っては文句を良い、明るいと言ってはシミが増えると愚痴を言う。
誠にもって身勝手な話ですが、日照時間の短い北欧では少々のシミや
ソバカスなんて気にしない!そんな気持ちが人々の暮らしの中にも
見え隠れしています。
例えば住宅。日本で敬遠されがちな西向きの部屋もここ北欧では大歓迎です。
午後からの陽射しが差し込む南西にリビングやベランダなどを設けます。
我が家の庭も南西に広がっていて、その庭を望む様にL字に居間や食堂が
続いています。反対にキッチンや子供部屋などは爽やかな一日のスタートを
切れるように朝日が差し込む東向きにレイアウトします。
私も朝の珈琲を沸かすことから始まって夕食の片付けが終わるまで
一日の大半を過ごしているのが東向きに大きな窓があるキッチンです。
暗い冬でもお天気さえ良ければ午前中は家中で一番明るい。その代わり
夏の午後など太陽燦々の庭から来ると急に日陰に入ったようにひんやりとした
空気に包まれています。そのコントラストも北欧ならではかもしれません。

機能主義をモットーとするアルネ ヤコブセンが設計したキッチンだから、
さぞかし便利でしょう?!と、よく言われるけれど、やっぱりそこは
“ 80年前の機能 “ で、21世紀の暮らしに適しているとは言えないけれど、
でも田舎の台所のようなゆったりと長閑な雰囲気が好ましいかな…と思っています。
今頃なら窓越しにレンギョウのが眩しく目に飛び込んできます。
ロビンと私が勝手に呼んでいるシジュウカラのつがいがエサを啄みにきたり、
たまに、隣りとの塀沿いをノラ猫が綱渡りのように歩いていたり…。
そんな裏庭の様子を眺めながらジャガ芋を茹でたり、粉を捏ねたり、合間に
珈琲ブレイク… そうして私の毎日が過ぎて行きます。

リビング雑誌のモダンなキッチンに溜め息まじりですが、
当時弱冠34歳だった新鋭建築家アルネ ヤコブセン(VOL.334参照)が
知恵を絞って設計した我が家のキッチン、これからも不便を承知で楽しんで
使って行こうと思います。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/









これからの季節には西側に広がる庭に面した窓から明るい外光が差し込んで
夕食時にも照明は不要です!











朝日の差し込むキッチン。(ハッチの向こうにもサブキッチンが有ります。)
野菜嫌いの家人用にオレンジ絞りは結婚以来欠かさず毎朝の日課。
窓辺のハーブは摘んだそばから新芽を出してくれます。

【きょうのクロスステッチ Vol. 336】 by 岡村恭子

VOL.336 北欧よりも北欧らしく…。
       春のオープンステッチハウス

torsdag den. 29 april 2016

一度は覗いてみたかったオープンステッチハウス。
今迄あいにくスケジュールが合わず実現しませんでしたが、
今回は諸事情で急遽滞在が延期になって、おっ!行けるかもしれない!
「 延江さんをビックリさせよう!」
朝からカラリと晴れ渡ったイベント2日目、いそいそと出かけることに
したのでした。

高輪台を望む大通り、赤に白十字のデンマークの旗が目に飛び込んで
きました。遠目にも分かり易い目印だけれど、それよりも分かり易いのは
そこだけ人が溢れている!この日を楽しみにしていた刺繍愛好家のみなさま、
色とりどりのクッションや今回の為に制作されたオリジナルバードが
ディスプレイされたウィンドウに魅入る通りがかりの人…そして、
ギャラリーの中はさらに沢山のお客様でいっぱいでした。
所狭しと展示されている作品を拝見しつつ探し人…あっ!いましたよ。
「の?ぶ?え?さん!」…と、後ろから肩を叩いて、振り返った彼女の驚いた顔。
ビックリ作戦は大成功でした。

北欧で発展した伝統クラフト、クロスステッチの世界が日本で
こんなに盛んになっているなんて!デンマークの人が知ったらどんなに
驚く事でしょう。時代を超えて北欧刺繍が多く日本女性に愛され親しまれて
来たと知ったら感激するに違いありません。
何百年も前から受け継がれて来た手法を守りつつ新しいテクニックや
モチーフを取り込ンだ魅力溢れる世界。展示作品の一つ一つから制作者の
刺繍に対する思いが伝わって来ます。
日本の人は指先が器用だからね、と簡単に片付けられたは困ります。
布を広げて、何十色もの色糸を並べて、さて、どんなモチーフを
描いて行こうか?と “ 想像力 “ の羽根を広げる。
キャンバスに向かう画家のように…。
いつの日か、ステッチハウスを通じて日本の皆様の作品展が
デンマークで開催されたらどんなにステキでしょう。

“ Learning from Scandinavian “ 

これからも延江さんのキャラクターそのままに明るくカジュアルな
刺繍の世界が広がって行きます様に。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/



写真 オープンステッチハウスより。
コンパクトなスペースの壁面いっぱいに飾られた北欧刺繍の作品。
どれも作者の作品にかけた愛情と丁寧な仕事のあとが見えます。そして…東京でも延江スマイルは健在でした ^_^





















スウェーデンフォルクロアなワーキングシーンが楽しい!!



こちらはアンティークのようなクラシックな雰囲気のコレクション
この他のも、展示された作品はいずれも刺繍の魅力満載!見応えのある力作揃いでした!

【きょうのクロスステッチ Vol. 338】 by 岡村恭子

VOL.338 記憶のカメラに納めよう!

torsdag den. 20 maj 2016

ようやく時差ボケも取れて主婦業に勤しもうと張り切っていたある日…。
月曜日だというのにやけにのんびりしている家人をせき立てるようにして
オフィスに行かせ、窓を開け放して家中の大掃除…と思っている所に、
あらっ?もう帰って来てしまった。そして一言「今日は休日だった!」
私の「いってらっしゃい!」という言葉に乗せられて家を出たものの、
お店は閉まっているし、公園は家族連れで賑わっているし…、それで
ハタと気付いたのだそうです。うっかりその気になった自分も自分だが、
追い出す方も追い出す方だとお互いに呆れ返ってしまいました。

そんな具合で相変わらずのんびりとした我が家ですが、
それなりに5月の庭は忙しい。
春先に長期間留守にしたのも手伝って手入れの不行き届きが目について
仕方が有りません。 暇を見つけてはバケツにシャベルとハサミを放り込んで
庭の彼方から此方へ往ったり来たり…。 植え込みに潜り込んで花が終わった
ムスカリ、チューリップ、ヒヤシンス等の葉や茎をそっと捻るように
しながら取り除き、球根だけ残してその周辺に肥料を撒いておきます。
花壇の雑草を取りながら土を掘り起こし空気を入れてあげます。
辺りは鈴蘭や野いちごの白い花盛り。折から満開のライラックの甘い香りが
風に乗って鼻先をくすぐります。
洗濯ものを裏庭に干したついでに薮の手入れを始めてしまったり、
家人が芝刈り機を出したまま庭先で家具の模型を作り始めたり、
お天気の良い日は家の中も外も無く、サンダルがその辺に脱ぎ捨てられている。
庭に咲いていた花が水に挿してある。そういうとても普通の様子が
印象派の絵のように思えたりもして。
感じたままを上手く描けたら良いけれど、それはどうやら無理だから、
せめて記憶のカメラに納めておこう。カシャ!…などと思います。

夜というにはまだ明るすぎる北欧のPM9:00。
西の空はようやく沈もうとする夕日の照り返しでほのかなピンクに染まり、
振り返ると水彩画のように薄青色を流した東の空に白い月が浮かんでいます。
これも忘れずに記憶のカメラにおさめておこう!と、そんな風に夕暮れ時を
楽しむのも今頃ならではです。
実際には夜風が冷たいものだからグルグル巻きにスカーフして、
セーター羽織って完全防寒スタイルですが、それでもガンバって庭で過ごすのが
北欧スタイル。グラスを傾けながらおしゃべりが弾めばそれこそデンマーク人の
大好きな “ Hvor er det hyggelig! “  =  なんて心地よいひと時!となるのです。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













今日の庭から。鈴蘭、イチゴの花、ポピーをピックアップ。




庭には大きなライラックの木が4-5本。薄紫の花が甘い香りを放っています。



PM9:00の空に浮かんだお月さま。今週末には満月かな?という感じです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 339】 by 岡村恭子

VOL.339 一足早い夏日和

torsdag den. 26 maj 2016

毎週末毎にアウトドアイベント目白押しのコペンハーゲン、
サンバカーニバルもコペンハーゲンマラソンも無事終了して、
さて今週末は … “ COPENHELL “と街中に横断幕です。
楽しいイベントかな?と思いきやヘビメタフェスティバルだそうで、
ヨーロッパ中から例のブラックなファッション連中が集合して
盛り上がるらしい。私には遠い世界ですが、明るい季節に弾けたい
若者達のために、まあ、それも良いでしょう。

この所カラリとした晴天が続いて、 このチャンスを逃してなるものか!と
誰もが外で過ごしています。庭や公園など手近な場所で日光浴、
子供達が水遊びに興じる声が響き、夕方になると何処からともなく
BBQの香ばしい匂いが漂ってきます。我が家も庭先のテーブルが食卓に
早変わり、この時期ならではのひと時を楽しんでいます。
北欧の夏はお天気次第、一度崩れたらたちまち寒くなってしまう。
だからお天気の良い今の内! と、みんな心得ているのです。

小鳥たちも早朝からさえずって賑やかです。
真っ黒なボディーに黄色いくちばしがポップなブラックバードは日本名で
クロウタドリ、その名の通り澄んだ美しい声で日の出から日没まで
飽きずにおしゃべりしています。お隣の国スウェーデンの国鳥だそうです。
杉の木に架けた巣箱には今年もシジュウカラのヒナが孵り、親鳥がエサ運びに
余念が有りません。エサ運びに夢中で気づかないのか?時折私の直前を
ササーッとかすめて飛んでゆきます。小さな羽根で風を切り超高速です。
夜も更けてようやく小鳥たちの活動も終わった頃、そーっと巣箱の傍まで
行き耳を澄ませました。昼の間賑やかにさえずっていたヒナたちも眠っているの
でしょう。静かな夜気を透かして平和な寝息が漏れ出てくるような気がします。
ふうわりと親鳥の懐に守られて眠るヒナ達の姿が見えるようです。

さて、庭の至る所から次々と顔を出す草花達。正式な名前を知らないものは
勝手にムラサキボンボリとかジャンボ鈴蘭などと命名しているけれど…
「本当はなんて言う名前なの?」なんて、葉っぱに聞いても埒があかない。
そういう時に便利な場所が植物園です。
コペンハーゲンの植物園は都会のオアシス、豊かな緑と草花の香りに包まれています。
庭に有るのと同じ種類の植物のネームプレートをカメラに収めて帰宅しましたが、
ラテン語表記です。これをそのままカタカナ読みして良いのかどうか?
“ デウチア グラシリス “ に “ エピメディウム ピンナツム “ ???
首を傾げている所です。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













植物園から
ゆったりと葉を茂らせた大きな木立に囲まれて…ここでは人も水鳥もの~んびり…。



庭に有るのと同じ種類の草花を数種類見つけましたがラテン語表示なのでピンと来ません。







我が家の庭から 
サクランボが日増しに大きくなって来ました。
バラの花壇はルピナスが見頃を迎えています。

【きょうのクロスステッチ Vol. 340】 by 岡村恭子

VOL.340 夏至まで3週間
      ピークに向かってラストスパート!

torsdag den. 2 juni 2016

6月になった途端に真夏の陽気となりました。
頭上から照りつける日光は眩しいのを通り越して痛いくらいです。
南スペインから戻った娘がスペインより暑い!と驚いていますが、
お天気次第で一喜一憂するデンマークの人々にとって(今の所)
今年はウレシイ当たり年!当然のことながら暑過ぎると文句を言う人
なんて一人もいません。
さあ、そして、いよいよこれから夏至までの3週間 “ 明るい季節 “ の
ピークに向かってラストスパートです。
日々…刻々…と太陽の位置が高くなって行くのを実感しながら
私も一年中で一番輝かしい季節を楽しみたいと思います。

庭仕事はなるべく午前中の涼しいうちに済ませてしまいます。
草花に水をやり、目についた雑草取り、ついでにサラダに使えそうな
葉っぱを切って水に挿しておきます。
オレガノ、タイム、レモンバームにローズマリー、チャイブや
ローリエなど、いつの間にかずいぶん増えました。
ハーブは食べられる雑草と位置づけている私としては手入れもせず、
植えっぱなし、増えすぎる度に邪険にして根こそぎ掘り起こしてしまうの
ですが、それが反って良いのか?みんな本当に丈夫で元気です。

午後、プラムの木陰に陣取ってのんびり読書…なんて出来たら素敵だけれど、
実際にはバタバタしていてゆっくりしている暇などありません。
一日で一番気温が上がる頃になって、ようやく家事が一段落し、
暑い最中に自転車で買い物に出かけたりしています。

そして、いつもなら夕食の献立に頭を悩ます夕暮れ時、
有り合わせの材料でBBQが始まります。
主婦としては材料を切っておけば良いBBQは手間入らずの大助かりですが
火をおこす人は暑いし煙を被ってしまうという割の合わない役回りです。
それでもこの季節ならではのお楽しみ、という訳で、我が家に限らず
デンマークのお父さん連中はBBQというと俄然張り切って仕切りたがる。
そここで “ お父さん大活躍の図 “ が展開されます。

夕食後、少しずつ暮れて行く空を眺めながらのんびりとしたひとときを
過ごします。
特別なことなど何もないのに…もしかしたらこんな普通のひと時を
懐かしく思い出す時が来るのかもしれない、と思えるのも
白夜の頃のマジックなのかも知れません。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





ブラックバード(クロウタドリ)は高い所が大好き。
庭の杉の木のテッペンで高らかにさえずっています。







我が家のBBQから。庭で囲む食事は夏の楽しみの一つです。







日の庭から。 プラムの木の下は私の指定席。涼しい風が吹き抜けます。
朝積みハーブです。サラダやパスタにトッピングして食卓を彩ります。

【きょうのクロスステッチ Vol. 341】 by 岡村恭子

VOL.341 ~自由な風が吹き渡る街~
      夏のChristianhavn散策

torsdag den. 10 juni 2016

開け放した窓からそよ風がカーテンを揺らす昼下がり、
「明日、Christianshavn(クリスチャンスハウン)の
 *Lagkagehuset(ラオケーャフース)の前で午後1時にね!」
延江さんと会う約束をしました。(*Lagkagehuset(ラオケーャフース)
= 美味しくて有名なパン屋さんの名前。)
 
当日も朝から抜けるような青空が広がる最高の散策日和です。
クリスチャンスハウンは運河に囲まれた中州で、対岸には旧市街地が一望でき、
運河沿いにはレンガ造りの建物とカフェやブティックが軒を連ねている。
何処を切り取っても絵ハガキのような風景が広がる観光スポット。
少し早めに着いたので、私も “ 絵ハガキのような風景 “ の中を散歩して
にわか観光客です。ブティックを覗いたり、橋のたもとから運河巡りの
ボートに手を振ったり、写真を撮ったり…ここが自宅から僅か20分の場所と
いうことを忘れてしまう。いつもは街に行く通過地点なのに、
わざわざ遠くから来たような新鮮な気持ちで街の様子を撮っていると、
カメラ越しに明るいサマードレスの延江さんが見えました。
私に気付いて笑っています。すかさず笑顔をパチリ …上手く撮れたかな?

まずは、おしゃべりが出来る場所探しからです。
日向で日光浴をするか?それとも日陰の涼しい方が良いか?
カフェを覗きながら散々悩んで二人同時に「やっぱりあそこね!」… 
去年の夏の*オペラボートの帰り道に寄ったカフェに決まりです。
 → VOL.301 波に揺られて船上オペラ 
涼しい運河沿いの席に落ち着いて、道行く人を眺めながらおしゃべりが弾みます。
春のオープンステッチハウスのこと、そこで感じた新たな刺繍の魅力、
日本の北欧刺繍ファンのみなさまのこと、そして時々ハラハラさせられる
デンマークのメーカーさんとの苦労話など、どんなこともポジティブに
取り組んでいて感心します。ステッチハウスが誕生して早7年、
これからも延江さんらしく活躍してね、と思いつつ、口から出るのは
他愛も無いことばかりなのでした。

お腹も一杯になったところで散策を続けましょう。
住宅のバルコニーや中庭に咲き乱れる草花、日光浴に余念のない人、
運河の縁に座ってギターを弾く若者達、ボートハウスのデッキでは洗濯物が
風になびいています。観光客もそこに暮らす地域住民も分け隔てなく
街全体に自由の風が吹き抜けているような気がします。
散歩の途中でフラリと入ったカフェは丁度休憩時間だったらしく、
スタッフがワイングラスを手に中庭でペタンクに夢中です。
私達が席を立つ頃になってもペタンクの勝負はつかない様子で、
カフェを後にする私達にスタッフみんなが笑って手を振ってくれました。

難しいことなんて何も無いさ、幸せは何処にでも転がっている。
そんな気分にさせてくれた今回のクリスチャンスハウン散策でしたが、
しかし、何事もお天気次第のこの国のこと、油断はなりません。
次回は雨降りに行ってみましょうか?ねえ、延江さん?!



岡村 恭子
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青空の下、運河を行く観光ボート。絵ハガキのような景色です。



美味しいランチ。おしゃべりに花が咲き楽しいひと時でした。











運河の街Christianshavnから。景色を眺める人、泳ぐ人、食事する人、
みんなの~んびり。







今朝の庭から。 薔薇が咲き始めました。芍薬も見頃となりました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 342】 by 岡村恭子

VOL.342 サクランボの実る頃
      鳥たちとの戦いが始まる!

torsdag den. 17 juni 2016

延江さんと一緒に楽しんだクリスチャンスハウン散策から2週間。
…ほらね、やっぱり、という感じで日増しに変わり易い天気になり、
雨が降ったり、風が吹いたり、気温も下がってセーターが恋しい日々に
なってしまいました。
それでももうすぐ夏至だし…カーディガンを羽織り防寒スタイルで
庭先のテーブルを囲んでいたのですが、吹き抜ける冷たい風に思わず身震い、
どうして我慢しなければならないの?という意見にイソイソと食べかけの
食器ごと室内に移動です。
そんな風ですから、夏でもブランケットは必需品です。
膝にかけたり、肩から羽織ってみたり…スヌーピーに登場するライナス君の
毛布のように身近において活用します。
例えば、夕食後サクランボを目当てに集まる鳥達を追い払う時も
ブランケットに包まって椅子に陣取りジッと見張り番です。

そうなのです。只今サクランボをつつきに来る鳥達との戦いの日々なのです。
一体何処で聞きつけて来るのか?沢山の鳥が我が家のサクランボ目がけて
襲来します。数年前に太い幹の半分が枯れてしまい、残り半分の枝に
それでも一生懸命花を咲かせ赤いを実らせる我が家の老桜の木。
そこに、カラスやハトといった大きな鳥がやって来て枝を揺すり
実を突つき芝生に種を落として散らかし放題です。お行儀悪い事この上ない!
もう少しで食べ頃を迎えるというのに、この調子では私達の口に入る前に
全部食べられてしまいそうです。追い払おうとするとサッと飛び立つ。
しばらく見張った後ようやく静かになってヤレヤレ…と腰を上げた途端に
何処からかまた飛んできてサクランボを突き始める。
遠くから人間の様子をうかがっているに違いない。 おまけに彼等が食べ散ら
かした種を掃くのは私なのです。こんな不公平って有るでしょうか?
鳥達にからかわれているようで本当に憎らしくなります。

雨上がりの午後、鳥を追い払いながら残り少ないサクランボを収穫します。
自宅の庭でサクランボ摘みを楽しめるだけでも幸せだと思えば、
鳥達に目くじらを立てる事もない、彼等も好きなだけ食べればイイ。
…そう自分に言い聞かせてテーブルにサクランボを置きました。
TVからはサッカーの試合の歓声が流れて来ます。
2年に一度開催されるサッカー : ヨーロッパカップの開幕です。
  
 赤い実を 追う鳥のごと 舞う球児

私も俄サッカーファンになって(出場出来なかったデンマークの代わりに)
お隣のスウェーデンを応援しようかな?



岡村 恭子
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6月12日(日曜日)にはこんなたわわだったサクランボ。



4日後の木曜日にはこんな状態になってしまいました。



本日の収穫です。











今日の庭から。 カプリフォリ、つりがね草、カンパニュラにはカタツムリが…。
草花には恵みの雨です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 343】 by 岡村恭子

VOL.343 私の右手は ” 雑草取り職人の手 ”

torsdag den. 23 juni 2016

晴れたと思ったそばから真っ黒な雲がムクムク湧き出て
瞬く間に陽射しを遮り、大粒の雨が地面を叩きつけて、
そしてまたケロリと晴れる。変わり易いお天気が続いています。

その日、少し朝寝坊して階下に行くとキッチンからパン屋さんのような
いい〜匂いです。おはよー!と言う私に「おめでとー!」と言う返事が
返って来ました。一年に一度の私の日 : バースデーです。
だからと言って喜んでばかりもいられない歳ですが、
朝から “ おめでとう “ なんて言われたら悪い気はしません。
お誕生日は一日24時間自由時間という “ ご褒美デー “ です。
家事から解放されて、やれ嬉しい、とのんびり過ごしていたら
瞬く間に終了してしまいました。

さてさて、ひとつ歳を重ねた所で日常に目を戻しましょう。
デンマークでは夏至の前後で垣根の刈り込みをするというのが
一つの目安になっていて、週末ともなるとあちこちから電動刈り込み機の
音が聞こえて来ます。我が家も例外ではありません。垣根に始まり、芝刈り、
植木の刈り込み、薮の枝払い…と結構な仕事量です。
電動の道具を使っての肉体労働なのでその辺は男手に任せて、
私は花壇を中心に細々とした作業です。雑草を摘んだり引き抜いたり
…そんな事を繰り返していたら右の人差し指の第一関節付近が
すっかり太くなってしまいました。特に小さくて根の張った雑草が強者で、
エイッ!と力いっぱい引き抜こうとすると、どうしたって人差し指に
力が入ってしまう。雑草取りの道具もアレコレと買い込んでいるけれど
結局素手が一番手っ取り早い。いつだって気がつくと土まみれの指先に
なってしまいます。両手をパッと開いてみると右の人差し指だけ真っすぐに
ならず猫背っぽく変形しています。どうみても美しい指とは言えませんが、
職人さんの手は仕事に合わせて変形するし、その度合いが著しい程
優れた職人の証だと聞きました。その伝で言えば、さしずめ私の
右手は『雑草取り職人の手』なのだと一人で合点しています。

家人の刈り込み作業が一段落し、私も泥んこの手を水で流して一休み。
清々とした庭をグルリと眺めれば適度な雨で芝生も蘇り、
刈り込みの済んだ垣根は床屋さんをしてもらったばかりの子供の様に
さっぱりとして気持ち良さそうに夏の風にそよいでいます。
この夏の刈り込みは、これでひとまず終了です。

右肩上がりの明るい季節もいよいよ大詰めを迎えました。
23日は夏至祭です。
焚き火を焚いて魔女を追い払います。もしもお天気が良かったら
私達も夏至祭に出かけようと思います。
その時の様子は次回のお楽しみに!



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/









今年の誕生日より。
自家製焼きたてパンに♡とデンマークの旗、食卓にはもちろん!日の丸の旗!!







今日の庭から。
 次々と咲くバラの中から黄色いバラと後ろにはヒップの白い花。サルビアも満開です。







野いちごが至る所から顔を出しています。摘んではヨーグルトに入れて食べています。
鉢植えの苺は赤くなるまでもう少しの辛抱です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 344】 by 岡村恭子

VOL.344 荒れ模様のヨーロッパ”

torsdag den. 30 juni 2016

6月23日、夏至祭当日。
朝から青空が広がって陽射しが眩しいくらいに晴れ渡り、
最高の焚き火日和になりそう…だったのですが、例によって
“ 変わり易いのは女心よりもデンマークの夏の空 “ です。
夕方から少しずつ雲が広がり始めて「大丈夫かなあ?」という
不安を打ち消すかのように運河沿いは沢山の人々で早くも
盛り上がっています。岸辺で集う人、ボートで憩う人…
見知らぬ同士が笑顔を交わす。丁度日本のお花見のようです。
しかし、そうしている間も遠くで雷がゴロゴロ…やがてオデコに
雨粒がポッツン!水辺の人達が少しずつ軒下などに移動し始めました。
歩道の石畳がしっとり雨で濡れて良い感じ、などと言う間も無く
雨足が早くなって、バッグに入れて来た傘だけでは二人入りきれず
途中で大きな雨傘を購入するというおまけ付き。さあ、これで安心!と、
雨でも元気に遊ぶ子供達を微笑ましく眺めていた正にその時です。
ピカっ!と閃光が走ったかと思うと同時に地面を叩き付けるような大粒の雨!
その後はピカピカ☆ゴロゴロ!!の連続で、もう魔女を追い払うどころでは
有りません。雷さまに追い払われるようにして急ぎ帰宅しました。

翌日の新聞のトップは折しも国民投票でEU離脱が決まったイギリスの
ニュースと並んで “ 落雷一晩に12,000回 “ という見出しで、
コペンハーゲン上空に何筋にも走る稲光の写真でした。
一瞬笑ってしまいましたが、同時にこの辺がデンマークにおける報道の絶妙な
バランスセンスだと感心もします。世界中が一斉に “ ショック!経済パニック! “
と報じる中で、同じくらい大きく身近なニュースを並べておく。
むやみに不安感を煽らず、人々に「ちょっと落ち着きましょう。」と
言っているように受け取れます。
それにしてもイギリスのEU離脱と落雷の写真はタイミングがピッタリ過ぎました。

それから3日後。
サッカー欧州大会で優勝候補でもあるイギリスが北極圏の人口僅か33万人の
小国アイスランドにまさかの敗戦を喫した時には遠慮なく皮肉たっぷりに
“ サッカー帝国の終わり! “ と報じていました。
小さいと言ってもデンマークの人口は530万人です。
アイスランドはその15分の1でしかありません。そんな小さな国の
サッカー選手達が大きなスタジアムでサッカー界のスーパースターを相手に
堂々の勝利です。アイスランド人じゃなくても嬉しくなります。
日曜日(7月3日)には開催国フランスと対戦しますが、
是非気持ち良い試合をして欲しいと願っています。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





まさかひどい天気なるとは思わず夏至際を楽しみに集まった人達。
ボートの人達はどうしたのでしょう?ね。



pm 9:00 焚き火まで後30分。
雨の中元気に遊ぶ子供達。私達は屋内で一休み。



晴れていればこんな感じだったはずなのです。(写真=2014年の夏至祭)







今日の庭から。 ラズベリー、レッドカラントが色づいて来ました。

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アンティーク&ヴィンテージ

スウェーデンより北欧ヴィンテージ雑貨を扱うショップのご紹介。ジュエリー、テキスタイル、手芸中古書もあり。センスの良さは抜群です。秋田市に実店舗もあります。
http://www.antique-vintage.net

<姉妹店 マリリア>

ジョージ・ジェンセン、トロールビーズ、ロイヤルコペンハーゲンをはじめシンプルで感性の高い北欧デザインをご紹介しています。www.mariliadk.com

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