2010年7月~9月

【きょうのクロスステッチ Vol. 56】 by 岡村恭子

VOL.56 じゃがいも物語り

torsdag den. 29. juli 2010


春、ガーデンセンターで“種芋”を購入した時からずっと楽しみにしていた
じゃが芋の収穫。
日向で発芽中の種芋を横目で見ながら、大きなシャベルで丹念に土を
掘り起こし、畝を作り、今年の夏は我が家特産のポテト三昧ね。と、
文字どおりホクホク顔になって“取らぬタヌキの皮算用”をしていました。
5月、我が家の桜が花開いた頃にはじゃが芋畑にも小さな葉っぱが
顔を出し始め、いよいよ期待感を募らせて6月…。
ひと月家を留守にしていた間に…??!!あらあら大変!
畑はすっかり雑草に被われてしまい、おまけに日照りが続いたのか?
茎は倒れ、葉はしおれ、早くも黄ばんでしまっているではありませんか。
留守番をしてくれた家人にじゃが芋畑の世話まではさすがに
頼む方が贅沢なわがままです。今年は仕方が無い、と諦め半分で掘り返して
みたところ、土の中からコロリン、コロコロ…“新じゃが”が顔を
出してくれました。大小合わせて全部でわずか1kgほどですが、
例え1個でも嬉しい“我が家特産”です。
さっそく茹でて、今年のじゃが芋の収穫祭をしました。
庭で育ったお芋の味は格別でした。

デンマークの夏の定番メニュー。ポテトサラダをご紹介します。
マヨネーズではなく、サワークリームを使用するのがポイントです。

*デニッシュポテトサラダ*****************

【材料】
じゃがいも     500g
サワークリーム   200g
にんにく 一片

胡椒
チャイブ、トマト

【作り方】
1)じゃがいもを茹でる。
2)その間にドレッシングをつくる。
  ボールに*サワークリームを入れニンニクの摺り下ろしを混ぜ、
  塩胡椒で味を整える。
3)茹で冷ましたじゃがいもの皮を剥き、適当な大きさに切りながら
  2)に入れ、ドレッシングと混ぜ合わせる。
4)チャイブ(好みでトマト)を飾り付けて完成。
冷蔵庫で冷やして頂きます。

* サワークリーム:デンマークではCreme Fraiche の名称でお料理に幅広く
活用されている。

*****************************

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

畑から掘り起こした所。

茹でて、庭で摘んだハーブを散らし、粗塩を振るだけで美味しい。

じゃが芋畑の脇に伸び放題のチャイブをトッピングして、
デニッシュポテトサラダの出来上がり。

【きょうのクロスステッチ Vol. 57】 by 岡村恭子

VOL.57 夏休み明け

torsdag den. 5. august 2010


8月になりました。
長い休暇が終わり人々の生活も日常のリズムにリセットされます。

北欧に暮し始めて感心した事のひとつに、季節によってメリハリのある
社会的システムが確立していることでした。簡単に言えば、日照時間の
長い夏は仕事や勉強よりも日光浴!と、と法律的に決められていると
いうことです。誰に遠慮をする必要も無く正々堂々と3週間
(学校は約1ヶ月半)の夏休みです。ニュースのインタビューに答える
政治家の後ろにも青い海が広がっていたりします。少しくらいのんびり
したって世の中は変わらない。心配無用!と、言うわけです。
そして8月、思う存分太陽を浴びて充電完了。心も身体もリフレッシュした
ところで、さあ!新しい季節のスタートです。

学校も夏休みをひと区切りにしてプログラムが組まれていますから、
夏休み前の6月が卒業シーズン、そして休み明けに新学期が始まります。
ピカピカの一年生が真新しいランドセル(といってもナイロン製リュック
的なものですが…)を背に、嬉しそうにしている姿を目にするのも
今頃のこと。スーパーマーケットに並んだ新学期グッズを手にとって、
ふと幼い娘の自転車通学に付き添っていた頃のことを思い出しました。
ひんやりした朝の空気の匂いや、新学期の今頃は紫陽花がきれいだったなあ、
などと通学路に咲いていた草花までも懐かしく思い出されます。
そう言えば、只今我が家も紫陽花が満開!日本では梅雨を代表する花が
北欧で晩夏の花というのも面白いですね。
リンゴも青い実を付けました。
庭のあちこちに蜘蛛が巣をかけ、蟻やみつ蜂たちも何やら忙し気です。
どうやら夏休み明けで働き出したのは人間だけでは無さそうです。
季節は着実に移行しています。

さて、本日の写真は夏休み大詰めを迎えたストロイエから。
街角パフォーマ-たちです。
コインを入れると一瞬動くパフォーマンスがなかなか面白いのですが、
それ以外の時はまるで人形のようにジッとしています。
人間ジッとしているくらい苦痛は無いと思うのですが、そういう意味で
ちょっと苦行僧のようだなあ、と見かける度に思います。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

街角のストリートパフォーマ-。
コインを入れた時以外は人形のようにジッとしている。忍耐力が勝負?!

カラフルな風船屋さん

【きょうのクロスステッチ Vol. 58】 by 岡村恭子

VOL.58 知恵の果実:リンゴのお話

torsdag den. 12. august 2010


朝晩涼しくなって来ました。秋がそこまで来ている気配です。
夏の間次々と白い花を付けていたマーガレットは色あせ、その代わりに
シュウメイ菊が紫陽花の植え込みの間から薄桃色の花びらを覗かせています。
お友達にもらった朝顔の種、良い日を選んで…などと一日延ばし。
七夕の日に撒いたのですが、遅すぎたかしら?ようやく20cmくらいに
なりました。果たして花を付けてくれるのでしょうか?

某日、一冊の本を頂きました。
*「奇跡のリンゴ」
カラリと晴れた昼下がりに、桜の木陰でのんびりと読みました。
より甘く、より大きく、より美しく…と品質改良を重ね、行き着く所まで
来てしまった感のあるリンゴを本来の姿に戻すまでの物語です。
いわば苦労と感動の記録ですが、主人公の木村さんが本当にリンゴを
愛しているということが伝わって来て、読み進むほどに応援したくなって
行きます。長年の彼の苦労と熱意に応えるように自然が蘇生して行く
あたりでは、良かったね!木村さん。とすっかり一心同体化し、
そうよ!自然栽培が一番!と大きく頷いたのでした。
彼は虫たちにも優しい眼差しを向けています。
『リンゴに住みつく害虫をよ~く観察したらとっても可愛い顔をしている。
反対に害虫を食べてくれる益虫は獰猛な顔つきをしている。
リンゴを食べる虫はベジタリアンで、益虫は肉食。虫たちにとっては
益も害もない。みんな必至で生きています。』
読者の私は目からウロコが取れる思いです。
何事も一方的な角度から捕えて判断してはいけない、と言われたようで
常日頃の我が身を振り返りハッとします。
木村さんのリンゴ園には雑草が生い茂っている、と著者は驚嘆しているけれど
私は驚かない。逆に“ウチもです!”と言いたくなる。我が家のリンゴの
老木も下草が茫々とした中で、今年も沢山の実を付け始めています。
おまけに正真正銘無農薬自然栽培。ほとんど野生化しているとも思える
くらいの放ったらかし!歪で虫食いだけれど、かじるとシュワッ!…
甘酸っぱい香りと一緒に果汁が弾けます。
娘は買い求めたリンゴとの味の違いを「ウチの味」と言って、幼い頃から
賞賛して来ました。私は若い頃にロシアの上空で飲んだリンゴジュースの味に
そっくり…と思って来たのですが、実は木村さんもロシアの飛行機で出された
ジュースに感動したとか…。
そんなわけで、もしかしたら彼の農園のリンゴは我が家のリンゴと同じ味が
するのかも知れないな…なんて、ちょっと自惚れてみました。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

*「奇跡のリンゴ」  石川 拓治(著) 幻冬社刊

我が家の『知恵の果実』赤くなるのが楽しみです。


青い朝顔の花が咲くはずなのですが。。。

蜘蛛の巣を払いながら、幾何学模様に感心する毎日です。

【きょうのクロスステッチ Vol. 59】 by 岡村恭子

VOL.59 雨のち晴れ

torsdag den. 19. august 2010


つい先日まで庭にキャンドルを灯して夕涼みをしていたというのに、
気がつくと早くも長袖が恋しい頃になってきました。
北欧の夏はあっという間に終わろうとしています。
おまけにお天気続きでご機嫌だった7月に引き換え、今月は雨降りの多いこと!

先週の土曜日のことでした。
昼間から降り続いていた雨足が次第に強くなり、夕方頃には
バケツをひっくり返したような大雨に。屋根伝いに滝のように流れる様を
見ていると、家ごと沈んでゆきそうな危うい心持ちになってきて、
おまけに遠くで雷鳴…。どうもただ事ではない感じです。
結局その日の雨は1時間に15ー30㎜という気象庁も予報出来なかった
(そんな天気予報はいらない!と言う声が聞こえる)ゲリラ的集中豪雨
だったそうです。突然の荒れ模様に人も車も立ち往生。
翌日のニュースで冠水した道路に頭まで浸かってしまった車や、
床上浸水の住宅が映し出され、大雨にめっぽう弱いコペンハーゲンが浮き彫りに
なったのでした。

コペンハーゲンは海抜が5メートル前後ととても低い。
ここ数年、気象変化に対応したインフラ整備が急務だ!と言いながらも、
予算が無いと一日延ばしにしている内にザーッと降っては浸水騒ぎ。
そんな事が続いています。
ここはひとつ市当局に頑張ってもらい、どんな大雨もガブガブと
飲み込んでくれる太く頼りがいのある下水管にして欲しいところです。

さて、雨騒動の週明け、久しぶりに晴れた朝です。
窓を開けるとひんやり涼しい風が入ってきました。
キッチンに差し込む朝日も柔らかいニュアンスに変わり、日没も日増しに
早まってきています。 秋近し…。
夏枯れしていた芝生は数日来の雨で緑が蘇り、植え込みもシャワーを浴びた後の
ようにシャキッとしました。。十分に水分補給した草花たちが「 お腹いっぱい!」
と喜んでいるみたいです。ベランダの花入れに溜まった雨水を飲みに来る小鳥たち。
小さなくちばしで水を飛ばしている姿が愛らしくて、写真に撮ろうと少し近づくと
さっと飛び去ってしまった。入れ替わりにノラ猫カナちゃんが散歩がてらやってきて、
日陰ではなくて 日だまりで身繕い。猫の体感気温もかなり低くなってきたようです。
家事の合間に庭の様子を観察しているだけでも、自然を素直に享受し健気に
生きる生き物たちの姿が見え隠れしています。

人間が知恵の限りを尽くして構築してきた文明社会に静かに警鐘を
鳴らしているようにも思えて、謙虚な気持ちにさせられました。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


大雨の中、自転車で何処に行くのでしょう。

雨をたっぷり水分すって元気な紫陽花とシュウメイ菊。

【きょうのクロスステッチ Vol. 60】 by 岡村恭子

VOL.60 秋のメンテナンス その1

torsdag den. 26. august 2010


早いものでこのページをスタートして60回目になりました。
毎週一回文章をしたため写真を添える…。
何気ない日々を振り返るきっかけにもなってとても楽しい作業ですが、
たまに「 何を書こう?」と考えあぐねるばかりで、なかなか文章が
浮んでこない事があります。そんな時には決まってステッチハウスの
ページを覗き、刺繍の世界で癒されことにしています。
絵画と見まがうような草花や風景はもちろんですが、例えば紹介ページの
「デンマークの四季」などは、楽しげに描かれたモチーフが
クロスステッチの素朴な味わいと相まって見ているだけで
ほのぼのと和みます。ステッチハウスのページは憩いのオアシスです。

さて、夏の名残が少しずつ消えて行く今日この頃、我が家では寒い季節を
迎える準備が始まりました。まあ、気の早い!と思われるでしょうが、
ここは北欧です。九月も中旬を過ぎれば暖房の心配をしなければ
ならないのです。今の内に出来ることから片付けて行かないと
「後悔先に立たず」という事になりかねないのです。

今朝は煙突掃除屋さんが来ました。
毎年一回、夏の終わりにやってきて点検をしてくれます。かれこれ20年
同じ人です。黒づくめで身を包み掃除道具を肩にかけたお馴染みの
出で立ちでやってきて、「 やー、こんにちは。このところ雨が多いねえ」
と、まるでいつも会っているような挨拶です。当初は親方に連れられた
見習い少年だった彼も今ではすっかり貫禄です。煙突掃除一筋人生の
ようですが、地域暖房の行き届いた世の中で、どうしたら煙突掃除一筋で
やってゆけるのか?ちょっと不思議。毎年、聞いてみよう、と思いつつ
今年も聞きそびれてしまった。お次はまた一年後です。来年こそ聞いてみます!

先週から窓ガラス屋さんが出入りしています。
デンマークはどの町の商店街にも必ずペンキ屋さんとガラス屋さんがあります。
ペンキ屋さんの需要が多いのはよくわかりますが、ガラス屋さんは
どうしてだろう?とちょっと不思議でした。”煙突掃除屋さんの謎”に続く
“ガラス屋さんの謎”でしたが、こちらの方は解けました!
特に夏の終わりの今頃は商売繁盛ということもよーく分かりました。

寒さが厳しい北欧はどの家も2重窓になっています。ガラスとガラスの間が真空に
なって寒さを遮断しています。ところが、耐久年月が過ぎるとその空間に
空気が入ってしまい防寒の効果が薄れてしまうのです。
二重ガラスの間に空気が入ってしまうことを通称「パンク」と言いますが、
悲しいかな、とうとう我が家のリビングルームの窓もパンクしてしはじめたのです。
パンクしたガラスには水蒸気が溜まるのですぐ分かります。
思い切ってリビングルームの窓ガラスを全取り替えです。

本格的な寒さがやってくる前のメンテナンス。
秋のワードローブよりもパンクした窓ガラス。
古い家に住むという事はこういう事なのだ、と一人納得したのでした。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


初秋の庭にカプリフォリの赤い実とダリアの赤い花が鮮やかです。

のら猫カナちゃんも雨宿り

【きょうのクロスステッチ Vol. 61】 by 岡村恭子

VOL.61 秋のメンテナンス その2

torsdag den. 2 september2010


カレンダーをめくるたびに一喜一憂する北欧暮らし。
9月になった途端に気持ちもすっかり秋めいて来ました。
庭に出していた椅子やテーブルを地下に運び込むたびに、
夏の名残がひとつ、また ひとつ、と消えて行きます。
にわか雨が降ったり、突然の風が木の葉を大きく揺らしたり…
気まぐれお天気の合間を縫って、秋のメンテナンスは続きます。

先日は庭木の枝を剪定しました。まずは桜とプラムの木からです。
いずれもこの家が建った時に植えられて以来、毎年春に花を咲かせ、
夏には青葉のレースを描き、秋に落葉して長い冬を越す。
そうして静かに 年輪を刻んで74年。特に桜の木は我が家のシンボルツリーです。
樹齢何百年という銘桜に比べたらまだまだ若輩者とはいえ、改めて思えば
私よりもずっと長生きの先輩です。大事にしなくては、と思います。

今から20年前。それまでとはちょいと毛色の変わった人種がこの家に
住み始め、ほころび始めた桜の木の下で「ハナミダ!ハナミダ!」と
浮かれる姿に、一番驚いたのは多分他ならぬ桜の木だった事でしょう。
最初は面くらったかもしれないけれど植物だって生き物です。 注目されて
嬉しくないはずはない。花を咲かせる甲斐がある、と思ったかどうかは
分かりませんが、毎年きれいな花を咲かせてきました。
それが、今年は何となく木全体に元気が無いような気がしてなりません。
サクランボも不作でした。天候不順のせいかも知れないし、単なる気のせい
かも知れない。そうなら良いのだけれど…。
いつだったか、桜はむやみに剪定しないほうが良いと小耳に挟んで以来、
意識的にそっとしてきたのですが、たまには手入れが必要なのかも知れないね、と
いうことになり、今年は家人が梯子を持ち出して数年ぶりの枝払いです。
剪定したあとは見た目にも風通しが良くなりました。身軽になって元気を
とり戻してくれますように。そして、来春もお花見の様子をお知らせで
きますように、と願っています。
プラムの木も高齢化が進み、2本の太い幹が絡み合った所から樹液がにじみ出ています。大丈夫かしら?と思いますが、そのすぐそばから元気な枝が伸びている所を見ると
案外平気そうです。、あれこれと枝振りを見ながら剪定して、こじんまりと
させました。調子づいた家人はライラックも、松も、裏庭の植え込みも、と次々に
はさみを入れて行きます。
私もリンゴに日光が良く当たるよう邪魔な葉を落としたり、
切り落とされた枝を紐でくくり *「庭のゴミの日」用にまとめたり…。

気温20℃。湿度30%、初秋の日差しの中で気持ちよく汗をかきました。

家の外壁に絡まる蔦が色づくまであと少し。
秋本番がもうすぐそこまで来ています。

*庭のゴミの日 :デンマークでは庭から出る植物を回収、専用地に集積、寝かせて肥沃土にした後、
       再利用している。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/


剪定中のプラムの木

一見もったいないようですが、虫食いはサヨウナラ、です。

お日様をたくさん浴びて色づいてきました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 62】 by 岡村恭子

VOL.62 生活をデザインするということ

torsdag den. 9 september2010


コペンハーゲンデザインウィーク [  CODE 10 ]
昨年から始まったデザインウィークです。さすがに北欧デザインのお膝元
とあって、家具を中心に各会場で様々なエグジビションが開催されました。
こういう機会に、普段何気なく使っている「デザイン」という言葉に
改めてスポットライトを当ててみるのも一興かな?と思います。
まずは会場から、エコロジーをテーマにしたコーナーで見かけた面白いものを
ご紹介しましょう。
{写真1}素敵な椅子と思ったら、これは庭仕事の時に使っている
     「ネコグルマ」(←正式名称は不明)ではありませんか!
     たしかに座ろうと思えば座れますね。
     丁度これからの季節、落ち葉掃きの時に我が家でも大活躍の
     ネコグルマが、可動式の椅子に変身です。
{写真2}それからこれは?!…洗濯バサミのUSBスティック
{写真3}そして、こちらは大きな紙袋を使用したソファです。
     作品の横に小さく「座らないでください」という注意書き
     がご愛嬌です。

写真の作品はどれも現実味に欠けるアイデアですが、日常何気なく
使っているモノからの発想という所が、主婦である私の興味をそそりました。
地球の資源を大切に、と言われても漠然としてピンと来ないけれど、
展示されていたネコグルマ達の「 こんな考え方もありだよね!」という
メッセージの発信は、等身大で環境を考えるヒントにもなりそうです。
すっかりエコロジーな気分になって会場を後にした私は
もしかしたら、エコロジカルな暮らしを目指すということは、
無駄の無いシンプルな生活空間をデザインするということに繋がりそうな
気もしてきたのでした。

少し前になりますが、夏の休暇でやって来た友人が帰国間際のお土産探しを
するというので一日お付き合いです。ここがロイヤルコペンハーゲン、
裏通りを通ってここがかの有名なお茶屋さん、少し行った所に
チョコレート屋さん…と、一通り回って、気がついたら両手いっぱいの
お土産になっています。大満足したところでカフェで一休み。
通りを行く人を眺めながら、彼が言いました。
「こんな感じがいいよね。ゆったりしているというか。この国の人たちは
どうして、週末でもないのに昼間から何もせずにのんびりできるんだろう?」
東京と中国を拠点に一年中忙しくしているだけに、のんびりとした北欧の
暮らしぶりが印象深いのだろうと思います。
ゆとりある生活=時間的ゆとり=お金では買えない=自分次第!
というのが彼の結論でした。

限られた生活空間と自分に与えられた時間の中で、
さて、本日の一日をどのようにデザインしましょうか?

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

{写真1}ネコグルマの椅子

{写真2}洗濯バサミの活用法

{写真3}再生紙製の"座ること厳禁"ソファ

会場にはこんなゆったりしたソファも有りました。
ここは座っても大丈夫!

【きょうのクロスステッチ Vol. 63】 by 岡村恭子

VOL.63 チューリップを咲かそう!

torsdag den. 16 september2010


日増しに気温が低くなり、この様子では明日当たり暖房のスイッチをオンに
するかもしれません。室内で過ごす時間が長くなってきました。
まさに刺繍を楽しむ季節到来です。
屋外アミューズメントも冬の間はシーズンオフになります。
世界中からたくさんの人々が訪れたチボリも、賑やかだった夏の名残を
残しつつそろそろ店じまい。毎年シーズン最後の週末にファミリーデイという
イベントが開催されます。今年は19日の日曜日です。
この日、一般公募で招待された家族2000組が園内の花壇に合計
100,000個のチューリップの球根を埋め込みます。
作業を手伝ったご褒美はもちろんチューリップの球根。この球根、
毎年チボリブランドの新種が加わるのだそうです。来年の春一番にチボリを
彩るチューリップを楽しみにする。長い冬を越えて次の春を心待ちにする
気持ちが、こんな所にも反映されているようで微笑ましいですね。

我が家の庭の草花にもチボリのように季節限定のものがあります。
例えばゼラニウム。毎年秋には室内に取り込まなければなりません。
花壇から植木鉢に植え替えるついでに元気な茎の部分を剪定して、
小さめの植木鉢に差してあげます。こうすると簡単に根付いて株を増やせるのです。
今年も良さそうな茎を選んで大小10株ほど小さな植木鉢に植えました。
みんな元気に育ってくれますように…。
それから、この夏我が家にやって来たオリーブの木も余分な枝を30センチほど
切って全体的にこじんまりさせ、暖かいキッチンのコーナーにお引っ越しです。
いつかオリーブが実ったら素敵だなあと思っていますが、そのためにも
とにかく初めての北欧の冬を無事に越してほしい!
真っ赤な花を次々と咲かせたダリアも根を掘り起こして地下室で冬眠させます。
いずれも来春また庭に移してあげるのを楽しみに…他にもこまごまと
室内越冬準備が続きます。
そうそう、Nobue 店長さんのお家のベランダも何やらとても楽しそうですね。
ブルーベリーはジャムにしたら美味しそうだし、苺は新芽を摘んで新しい土に
差しておけば簡単にどんどん増えて行きますよ。

シャベル片手に土いじりをしている自分のシルエットが午後の日差しに
長くのびています。嗚呼、お日様の位置が低くなって来た…。
背中をのばしながら空を仰いだら、カモメが気持ち良さそうに飛んでいました。
以前にも書きましたが「 北欧の秋は春の下ごしらえの季節」だと実感
こもごもそう思います。
…来春もチューリップを沢山咲かせましょう!

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

来年も沢山チューリップが咲きますように。

今年の春のチューリップから

ゼラニウムも越冬準備完了です。

  • 2011.03.24
  • 04:36

【きょうのクロスステッチ Vol. 64】 by 岡村恭子

VOL.64 林檎と無花果

torsdag den. 23 september2010


このところ、変わりやすいお天気が続いています。

台風のような強い風が吹き抜けた翌朝、庭のリンゴが
沢山落ちていました。そのままではまだちょっと酸っぱいのですが、
ジャムには丁度良い感じです。カゴに拾い集めて早速ジャム作り。
種を取り櫛形に切ったリンゴを小鍋に入れてグラニュー糖を
振り入れ、レモン汁を加えて火にかけます。ぐつぐつして来たら灰汁を
掬い取り、弱火で好みの柔らかさまで煮込みます。 私はあまり煮込まず
果実の舌触りが残っているくらいで火を止めます。
煮上がった所にバニラエッセンスとバターを少々。好みでシナモンを
振りかけて出来上がりです。もっと、簡単に…という時には
バターを敷いたフライパンで薄切りリンゴを焼き、グラニュー糖を
ふりかけただけ、というのもお薦めです。
熱々をこんがり焦がしたトーストに乗せて頂きましょう。
バターとリンゴの香りが朝のテーブルに笑顔を誘うこと受け合います。
いずれも酸味のある昔ながらのリンゴの方が美味しいのですが、
甘くて豪華なリンゴが主流の時代、案外入手が難しいかもしれませんね。
そういう時にはレモン汁を多めに入れると良いようです。
たくさんジャムが出来た時には冷凍のパイ生地を使った*簡単アップルパイを
作っておくと何かと重宝です。

さてさて、ここで突然ですが漢字クイズです。
「林檎」と書いて?…そうです。先ほどジャムにしたばかりのリンゴ。
では、漢字で「リンゴ」と書きなさい、と言われたらいかがですか?
「檎」の字がとっさに浮かんで来ないのではないでしょうか?
私は未だに書けません。どうやら林檎は読めるけれど書けない果物名の
代表のひとつと言えそうです。
それでは、「無花果」と書いて何でしょう?ご存知とは思いますが、一応…
答えはイチジクです。「ムカカ」と書いてどうして「イチジク」と読めるのか?
とっても不可解ですが、一度覚えたら忘れられない字面なので、
こちらは書き取りテストに出ても大丈夫! しかし、いくら花が地味だからと
いって「花無し果実」とは、ちょぴりイチジクが可哀想な気もします。
そのイチジクの木がお隣りの庭にあって、毎年今頃になるとイチジクの実の
お裾分けが届きます。今年も20個ほどの完熟を頂きました。
季節のご挨拶が届いたようで嬉しいものです。
こちらもさっそくジャムにしました。
林檎と無花果、どちらも甲乙付けがたいほんのり甘い秋の味覚です。

*簡単アップルパイの作り方
http://www.copenhagensmile.com/
ブログ コペンハーゲンスマイル「クッキング」
2009年10月24日「アップルパイ大好き」
2009年8月18日 「無花果のタルト」

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

ほらっ!こんなにたくさんのリンゴが…。

さっそくジャムにしました。皮のまま煮ると見た目もきれいです。

お隣の庭の無花果。

こちらもさっそくジャムに。。ほんのりした甘みが広がります。

【きょうのクロスステッチ Vol. 65】 by 岡村恭子

VOL.65 小さな港町 Dragoer

torsdag den. 30 september2010


コペンハーゲンの語源は「商人の港町」です。
普段は港町に住んでいるという事を忘れているけれど、
頭上をカモメが飛んでいるのを見かけた時などに、ああ、そういえば
海が近いんだ、とあらためて気づいたりしています。

「 久しぶりに海にでも行こうか。」
家人がめずらしくドライブに誘ってくれました。
我が家から南の方角に市街地を抜け、広々とした庭に大きな家が並ぶ
郊外型の住宅地域の並木道を抜けて、更にしばらく行くと
車の往来も少なくなり、やがて小さなロータリーに出ます。
そのロータリーをクルリ!と抜けた途端、回転ステージが裏表になったように、
周囲の景色が一変。まったく唐突に「町」から「田舎」に変身です。
道路の左右に野原が広がり、馬が草を食み、ヤギが寝そべる突然の田園風景に、
初めて来た人は皆ビックリしてしまいます。
我が家からまだ数十分しか走っていないのにどこか遠くに来たみたいです。
更に森を抜け林を抜け、地平線まで続く畑の中を縫うように走っているうちに、
住宅がちらほらして来ます。町らしくなって来たなあ、と思う間もなく
緩いカーブを右に曲がると…どうでしょう!今度は急に眼前が開け、
前方に海が広がって、またまた初めての人はビックリ!です。
海岸線の葦の原にススキの穂が揺れています。
対岸にかすんで見えるのは南スウェーデンです。

小さな港町*Dragoer(ドラゥヨ)は1600年代にオランダからの
移住者たちが開拓した町です。保存地区に指定されているので当時の面影が
今もそのままに残されています。黄色の壁に赤い屋根、庭には季節の花が咲き、
どの家も手入れが行き 届いています。
窓辺に陶器の狛犬が2匹向かい合うように飾られているのが目につきますが、
それは、かつて漁に出た者が無事に帰ってくるように、というお守りだった
そうです。冷たい荒海に漕ぎだしていった男達の無事を祈りながら、
留守を守る女達は静かに刺繍の針を進めていたのかもしれません。
そんな昔を想像しながら、歩いているだけでも充分楽しめます。
曲がりくねった石畳の小道を散策していたら、黄緑色のカサカサっとした
可愛らしい実を発見!これはもしかして…誰かさんの大好きな飲み物の
原料の一つではないかしら?
帰宅してからWikipediaで調べたら、まさしくホップの実でした。
まさか何百年も前からそこに植わっていたはずはありませんが、
ビール好きなオランダ人の村だったのですから、当時もホップを育てて
自家製ビールで乾杯していたような気がします。

羽を休めている海鳥に混ざって私たちも一休み。
のんびりとした秋の昼下がり。小さな港町での心和むひと時でした。
* http://www.dragoer.dk/

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/

家々の外回りも花や小物で演出、通行人の目を楽しませてくれます。


これがホップ!蔦の絡まる葉陰で小さな穂のような実が可愛らしい。

曲がりくねった石畳。400年前の昔に迷い込んだみたいです。

カモメも日向ぼっこ。

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