2009年10月~12月

【きょうのクロスステッチ Vol.23】 by 岡村恭子

VOL.23 春を迎える下ごしらえ

チューリップ、ヒヤシンス、水仙、クロッカス、エランティス、
それからスノウドロップetc、いずれも秋に球根を埋め込むと
翌春庭を彩ってくれる花々です。
早春、冷たい土の中から緑色の小さな角をツン!と空に向かって
伸ばし始めると、明るい季節の兆しを感じられて本当に嬉しいものです。
球根なので、そのまま放置していても毎年咲いてくれますし、
株分けすると簡単に増えますが、新たに買い足し、庭の様子と
相談しながら埋め込んで行くのも今頃の楽しみの一つです。
今年もチューリップを中心に新しい球根を買いました。
新種も出回っていますが、あまり奇抜なものよりもオーソドックスな
タイプが好ましいような気がします。一雨降った後の湿った土を
掘り起こして、既に土中に埋まっている古い球根を傷つけないよう
気を付けて並べて行きます。きれいな花が咲きますように、と願いながら
優しく土をかけて行きます。
それから先日、私としてはかなり思い切って苺畑を更地にしました。
夏の間にツルを伸ばし、新しい芽が沢山育っていましたが、思い切って
全部抜いてしまいました。
毎年、熟す前に鳥たちに荒らされてしまう上に、天候に寄っては
甘くなってくれません。試しに株分けし鉢植えにした苺だけは、
日当たりの良い所に置いたのが功を奏して、次々と甘い実を付けました。
そんなわけで、苺は鉢植えに限る!苺畑はじゃが芋畑に変更しよう!
と計画中です。

ペットは飼い主に顔付きまで似てくると言われますが、
庭も同じかも知れません。この家に住んで20年、気が付くと大雑把な
私の性格に似て計画性に乏しい分、大らかに草花が咲く庭になりました。
常日頃、気ままに庭の土をいじっているので、知らぬ間に古い球根が
移動し、春になると思わぬ所からチューリップの花が顔を出したりしますが、
そんな時は久しぶりに出会った友達のようで「あら、こんな所にいたの?」
と思わず声をかけてしまいます。来春もきっと思いがけない所から
春の花達がにっこり笑顔で挨拶してくれることでしょう。


まだまだしばらく続く秋の庭仕事。
冬ごもりの準備は“春を迎える下ごしらえ”でもあるのです。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com

球根で”春の下ごしらえ”今から楽しみです。


秋の庭から。赤い実&白い実。

【きょうのクロスステッチ Vol.24】 by 岡村恭子

VOL.24 紅葉、落葉、秋祭り

日増しに秋が深まって来ました。
庭の桜の木も黄色く色付き、レンガ壁の団扇ほどもある大きな
蔦の葉もすっかり赤く紅葉して、風が吹く度にばさりと音を立てながら
落葉しています。芝生は落ち葉で埋まり、歩くとカサコソカサコソ
乾いた音を立てます。日一日と日照時間が短くなって行くのが分ります。
窓の外に付けた寒暖計がマイナス気温の方に傾いて来ています。
北欧の秋はあっという間に過ぎ、その後には長い冬が手ぐすねをひいて
出番を狙っているのです。

そんな秋の一日、私達も恒例のカルチャーナイトに出かけてみました。
毎年たった一晩だけの催しにたくさんの市民が繰り出します。
夜の散歩は日中感じない事を気付かせてくれます。
まず暗いということ。そんな事は当たり前ですが、コペンハーゲン市は
条例でネオンが禁止されています。だから、見上げる夜空には月も星も良く見える。
でも、必要な場所はしっかりと照明されているから足下は存外明るい。
北欧の人々は照明の効果を知り尽している、と、私はいつも感心します。
暗闇に浮かび上がる灯りが人々を自然に誘います。
屋内の明るさが人々の心を一層和ませてくれるのです。

カルチャーナイトで一般公開された政府各省庁はどこも超満員でした。
12月に開催されるCOP15のキャンペーンも兼ね、環境問題をテーマに
したイベントや、ライブコンサートで盛り上がります。
しかし、何と言っても、この国の政治の要とも言える建物の内部を
見るチャンスです。人々がまるで自宅のインテリアのように、
壁の色や家具調度品について語り、飾られた絵画を鑑賞し、誰もが
とても満足そうに頷いている様子を見て、公共財産は国民1人1人の
財産である、というコンセンサスを持つデンマークの人々の精神性に
触れた気がしました。

見学を済ませて外に出ると、運河の上におぼろ月がかかっていました。
そぞろ歩きの人達に紛れて夜の街を散策しながら、カルチャーナイトは
コペンハーゲンの「秋祭り」なんだ、と合点しました。そうしたら、
橋のたもとの焼きアーモンド売りが、一瞬 綿菓子売りのおじさんに
見えました。

岡村 恭子
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落葉するまでの一瞬黄色い葉が美しい庭の桜の木。


カルチャーナイトの夜景から
ハロウィンのカボチャみたいなCO2バルーンと
オイルランプで浮かび上がる広場の様子。

【きょうのクロスステッチ Vol.25】 by 岡村恭子

VOL.25 マフィンの誘惑

自転車のハンドルを持つ手が冷たく感じられ、早くも手袋が
恋しい季節になりました。
外から帰り、暖かい家の中に入った途端にホッと和みます。
そして、いよいよ…、嗚呼、もうすぐ!…今月25日から
冬時間になってしまう。
北欧に暮していると面白いくらい日照時間に左右された
ライフサイクルになります。時計を冬時間にセットした途端、
朝の目覚めが悪くなり、長い夜をやり過ごすのに四苦八苦です。
真夜中まで戸外で過ごしていた夏とは正反対になってしまうのです。
そんな季節があるからこそ、刺繍という素晴らしい伝統工芸が
生まれたのですね。秋から冬の夜長の季節、ゆっくりと流れる時間の
中で、一針ずつ心を込めてプロセスを楽しみながら完成させる…。
刺繍が好きな人は、優しい心持ちの方ばかりだろうなあ、と想像しています。

残念ながら不器用な私には刺繍は向いていないようですが、
その代わり?もっぱら暖かいキッチンでお菓子作りを楽しみます。
小麦粉、バター、卵、砂糖、この基本材料さえ有れば作れる
マフィン(マドレーヌ)は手軽なおやつとして重宝しています。
丁度、作っている時に家族が帰宅したり、ふらりと友達が来ようものなら、
バターの香ばしい匂いに、誰もが明るい笑顔になります。
気取ったケーキはテーブルセットにも気を使ってしまいがちですが、
マフィンは焼き立てを直接頬張っても構わない。楽しい会話が弾みます。
超簡単レシピです。お試し下さい。
_________________________________
【マフィン】
*材料;小麦粉(ベーキングパウダー小匙1)300
      グラニュー糖         300g
   バター 室温に戻したもの      300g
    卵                3コ
    バニラエッセンス         少々
 
 好みでチョコレートチップ、ドライフルーツ各種、リンゴ、
 スライスアーモンド、etc.を種の中に入れたり、トッピングして楽しみましょう。 

*基本マフィンの作り方*
1) ボールにバターとグラニュー糖を入れ、撹拌。
2)  クリーム状になったら卵を一つずつ割入れ、ハンドミキサーで撹拌
3) この時、一度に3コ入れないで、一つずつ順に撹拌して
滑らかなクリーム状にする。バニラエッセンスを加える。
4) 振っておいた小麦粉を加えて全体をヘラで混ぜ合わせる。
5) 型に入れて180℃のオーブンで約15分

上記を基本に、好みでアレンジをする。
*チョコレートマフィンはココア30g+小麦粉270g位で焼いています。
 オレンジの皮のスリ下しと、中にチョコレートのチップを入れました。
* 基本材料は同量、同数と覚えると簡単です。
 200gなら卵2コ(これでカップ約10コ分)

岡村 恭子
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ドライフルーツ(プルーン)入り&
           チョコレートマフィン


【きょうのクロスステッチ Vol.26】 by 岡村恭子

VOL.26 パンプキンスマイル

冬時間になった途端に空が低くなったような気がします。
これから冬至の頃まで日増しに暗くなって行くわけですが、
グリーンランドやアイスランドは既にもう真っ暗だろうなあ、と思えば、
比較するまでもなく、デンマークはまだまだ明るい!文句など言ったら
バチが当たります。特に今頃はほんの束の間ですが、街路樹や家々の庭の
木々が紅葉して街の景観を明るく彩っています。
紅葉が見られるのはとりもなおさず落葉樹が有るお陰です。

フィンランドに住む知人が「デンマークの森は優しく人間を
受け入れてくれる。」と羨ましがっていました。フィンランドの森は
どうなのか?と訊ねると、対決するような緊張感がある、と言うのです。
確かに、厳しい自然環境に負けず、天に向かって真直ぐに伸びる
針葉樹の森に迷い込んだら、軟弱な私などたちまち精神的ノックダウン
をくらってしまいそうです。
そこへ行くと、デンマークは菩提樹、白樺、プラタナス、その他にも
桜、もみじなど、日本で一般的に見かける樹木と同じ種類の落葉樹が
生息可能な、言ってみれば北欧の中の温暖地帯なのです。
おまけにコペンハーゲンは内海バルト海に面しているので
案外気温も高く、もうひとつおまけに言えば、ロンドンよりも晴れの日が
多いのがささやかな自慢です。
話を戻しましょう。
春に見事な花を咲かせた我が家の桜の葉も黄色く色付いて、
只今紅葉のクライマックスを迎えています。葉を落とした枝には
豆のように小さい拳状の固まりが出来て、すでに来春の芽吹き準備の
栄養貯蔵庫完成です。こうして敏感に四季を感じ取り、
成長、衰退を繰り返している木々の姿にはいつも感動させられます。

太陽が遠ざかり始めるのと比例して明度が下がり、
環境を囲む全ての彩度も静かにトーンダウンして行きます。
鮮やかに色彩を放ち、光という光が反射していた夏と対照的に
内側に隠るような印象ですが、そんな季節もいかにも北欧的で私は
好ましく思っています。
10月最後の日はハロウィンです。
買い物の帰り道、町のパン屋

さんの脇道でカボチャの笑顔に出会いました。
ニ−ッと笑ったカボチャが二つ。思わず私も笑い返しました。
黄金色、橙色、カボチャ色、…。元気の出る秋の色です。

岡村 恭子
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庭の桜の黄金色が鮮やかです。

通りがかりに出会った”パンプキンスマイル”。

道端にほおずき発見。とっても元気な橙色。


【きょうのクロスステッチ Vol.27】 by 岡村恭子

VOL.27 小鳥のごちそう

北風が街を吹き抜けて行きます。
道路に落ち葉が舞い積もり、すっかり葉を落とした街路樹が
寒空に裸の枝を揺らしています。
瞬く間に美しい紅葉の季節は過ぎ去り、
本格的な冬がもうすぐそこ迄来ている気配です。
春がやって来る迄のしばらくの間、室内での生活が中心になります。
そんな今頃になると、毎年決まってスーパーマーケットで
幅を効かせ始めるのが少々気の早いクリスマスグッズと、そして
もう一つ、野鳥専用の餌コーナーです。
種類も豊富に取り揃えて、なかなかのバリエーションです。
ペット用品売り場とは別に、季節限定で冬の間だけ特別コーナー展開
されると言う所が、いかにも野鳥用で微笑ましい。
何よりも、激寒の冬を必死にサバイバルする野鳥に心を通わせる、
この国の人々の優しい気持が伝わって来るようで素敵だなあと思います。
夏の間庭のサクランボや苺を啄みに来ていた小鳥達の冬の食事の
心配をする季節到来、というわけで私の買い物リストにも、さっそく
野鳥の餌が加わりました。

餌入れを突くと一回分ずつ出て来るようになった最新式のものから
我が家のように手作り餌箱まで、餌の与え方もいろいろですが、
ボール状に丸めたお団子タイプが手軽で人気のようです。
私もそのお団子をキッチンの窓から見える薮の枝に下げました。
どうやら先方も心得ているようで、毎年同じ場所に設置すると、
誘い合うようにやってきます。いつもつがいで仲睦まじい小鳥もいれば、
雀などは大勢の仲間を引き連れてやって来る。
時には仲間同志で牽制し合ったりしているところを見ると、
彼らなりに勢力争いも有るらしい。
こうして冬の間はキッチンからバードウォッチングというわけです。

散歩の時に注意してみると庭の無いアパートでも、窓枠やベランダなどに
餌を取り付けている所もあります。
公園に行くとわざわざ細かく刻んだパンを袋いっぱいに詰め込んで
鳥たちに配っている人をよく見かけます。
いずれも何気ない日常の1シーンですが、厳しい自然環境の中で人と動物が
肩を寄せ合いながら暮している姿を見るようで心暖まります。

岡村 恭子
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ヒイラギの実も真っ赤に色付きました。

ボールの餌の他にもリンゴやひまわりの種など
小鳥達の好物を置いて…。

【きょうのクロスステッチ Vol.28】 by 岡村恭子

VOL.28 しなやかな精神で暮す

このところぐずつき気味のお天気が続いています。
ただでも日増しに暗くなるというのに、雨降りだと尚更気分が
沈みそうになります。そんな折りにふと娘から聞いた
デンマークの格言を思い出しました。
「相応しい服装でいればイヤな天気など存在しない。」
なるほど! そう言えば…この国の人達は少々の悪天候など気にしません。
雨降りでも完全防水+ヘルメット姿のサイクリストが行き交います。
格言をそのまま実行しているようで「単純ね」と微笑ましくなりますが、
更に考えると、厳しい自然環境をポジティブに受け入れる、
しなやかな精神と懐の深さも感じとれます。
私も気持を切り替えて暗い季節を楽しみたいと思います。

キャンドルの活用もその一つ。
今頃になると毎朝キッチンの窓辺とテーブルにキャンドルを灯すのが
日課です。それだけで冬の朝ならではの暖かい空間になります。
カフェやブティックもキャンドルやオイルランプを灯して人々を誘います。
暗くて寒くて時に“ずぶ濡れ!”の最悪天気でも室内に入った途端に、
揺らめく炎が心までとかしてくれるのです。

早いもので11月もそろそろ中旬になろうとしています。
12月に入った途端に、ものの見事に全てがクリスマスモードに切り
替りますが、それまでのしばしの間、暮らしの中に少しだけ、クリスマス
エッセンスを取り入れてみるのも良いものです。
シナモン、カルダモン、クローブ、オレンジetcどれも北欧のクリスマスの
香りです。毎年今頃になるとクローブを刺し込んだオレンジを飾り、
クリスマスティーを入れて、日本にいる家族や友達に思いを巡らせながら、
プレゼントをあれこれと考えるのが私の楽しみの一つになりました。
庭の枯れ枝やコケを集めてリースやデコレーションを作ったり、
ハーブ入りの焼き菓子を作るのも、今頃ならではの過ごし方です。

厳しい自然をポジティブに受け入れる北欧の人々の知恵としなやかな
精神を見習って、私なりの北欧暮しもどうにかここまでたどり着いた、
と言うところでしょうか。

岡村 恭子
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可愛いクリスマスの焼き菓子用のフォーム


オレンジにクローブを刺し込んで。クリスマスの香りです。


窓辺に友達がデザインしたリースを飾りました。

【きょうのクロスステッチ Vol.29】 by 岡村恭子

VOL.29 カフェオレ、カフェラテ、カプチーノ!

つい先日のこと、たまには懐かしの邦画ビデオでも観ようということに
なりました。最近ではDVDが主流で、我が家のビデオライブラリーは
図書館の書棚のごとく、しんと静まり返ったままでした。
でも、例えば、スタジオジブリの作品も「もののけ姫」当たりまでは
ビデオでしたし、他にも「男はつらいよ」シリーズなど、あらためて眺め
れば、なかなか充実した内容です。
そんな中から一本を選び、暖かい飲み物とお菓子も用意して、準備万端
整ったところで、スイッチを入れたのに、はて?いつまでたっても画面が
真っ黒、ウンともスンとも言いません。どこをどう押してもダメ。リモコンを抱え、
頭も抱え、家人は首を傾げたまま、人間も機械も動かなくなってしまいました。
思い当たる事と言えば、先月、最後までアナログ放送だったテレビ局が
デジタルに切り替わったことくらいです。しかし、既に他はデジタル化して
いる訳で、今更残り一局がデジタル化になったからと言って、急に
ビデオが見えなくなるというのは分るようで分らない。取りあえず
電器店に問い合わせ、言われるままに新しいコードに替えると、
確かに音声はつながった…。しかし、声はすれども姿はいつまでたっても
出て来ません。そんな訳で只今更なる専門家に問い合わせ中です。
勝手なもので、ビデオの事などずっと忘れていたのに、観る事が出来ないと
分った途端に観たくなります。そして、ますますデジタル化が進む世の中で、
アナログ人間の私はこんな些細な事でも、途方に暮れてしまうのです。

そんな折りも折り、ステッチハウスの店長:ノブエさんから
「一緒にブランチしません?」というメールです。
途端にPCはやっぱり便利ね、と気分も晴れ晴れ。
「もちろん、喜んで!」
ストロイエにあるCafe Nordenはゆったりとしたソファに広々とした
空間がちょっと贅沢な雰囲気です。スタッフのトモコさんもご一緒に、
全員一致でほうれん草がたっぷり入った暖かキッシュを頂きましたが、
食後の珈琲は3人とも微妙に異なる3種類にしてみました。
テーブルに運ばれて来た、カフェオレ、カフェラテ、カプチーノ。
楽しいお喋りそのままにホット&スイートな世界が広がります。


デンマーク刺繍の世界を楽し気に語る、明るく元気ハツラツなノブエさんと
名サポート役のトモコさん。それに、「クロスステッチ」の私が仲間入りして
“ザ.ステッチハウス”の心和む昼下がりの一コマでした。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com

Cafe Nordenのイン&アウト風景
少々寒くても膝掛けがあるから大丈夫?!

カフェラテ、カプチーノ、カフェオレ

【きょうのクロスステッチ Vol.30】 by 岡村恭子

VOL.30 もういくつ寝たらクリスマス?

♪今年も もうすぐ 楽しいクリスマス
 クリスマスが過ぎたらすぐにイースターになるよね♪
♪いいえ、まだまだ
その前にFast(断食週間)があるのをお忘れなく♪

毎年今頃になると良く耳にするクリスマスソングです。
“もういくつ寝るとお正月♪”のデンマーク版ですが、クリスマスを
楽しみにしながら、気持は早くも春の訪れを告げるイースターに飛んで
しまっています。ちょっと気が早過ぎるような気もするけれど、
この国に暮してみると確かにそれも無理ないなあ、と思います。
私だって明るい春が待ち遠しい…。
北欧は緯度が高いので、冬の間は太陽が遥か彼方に遠ざかってしまいます。
特に11月から12月にかけては、日光不足で人々のモチベーションが
著しく低下する、ということは統計的にも明らかだそうです。
クリスマスに向けて子供達よりも、むしろ大人の方が夢中になってしまうのも、
沈みがちな気分の解消法、暮らしの知恵のように思えてきます。

丁度今頃からクリスマス迄、街はプレゼントを探す人で賑わい、
レストランやカフェはJulefrokost(クリスマスランチ)を楽しむ人々で
どこもいっぱいになります。ご馳走を囲みプレゼントが行き交います。
私の部屋も日増しにプレゼントやラッピング材料の山になってきました。
通りすがりに部屋を覗いた我が家のメンバーの、もう少し整理整頓
したらどうか?という意見など無視して、もっと沢山のプレゼントの
山の中に埋もれていたくなります。そして、夕食後のひととき、
暖かいお茶を入れて、懐かしい顔を思い浮かべながら、ラッピングをしたり、
カードをしたためるのも、今頃ならではの楽しみの一つです。

クリスマスイブ前までの日曜日計4回、(今年は11月29日、12月6日、
13日、20日)はAdvent(降臨節)という小さな祝日。
キリストのプレバースデーズというようなものですが、
4本のキャンドルを順に灯して、最後に聖夜を迎えるという…
まさに北欧のクリスマスは約一ヶ月間に及ぶ長期イベントなのです。
…というわけで、来週から『きょうのクロスステッチ』もデンマークの
クリスマス特集にしたいと思います。  どうぞおたのしみに!

岡村 恭子
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Taksは常緑樹。濃緑の葉と赤い実が初冬の庭に鮮やかです。

本日の私のデスク風景。サンタクロースになった気分です。


娘用アドベンツプレゼント完成!

【きょうのクロスステッチ Vol. 31】 by 岡村恭子

VOL.31 悩ましきクリスマス☆コンデトリー

12月になりました。
市庁舎広場のツリーも点灯されて、いよいよクリスマスシーズン開幕です。
今年はクリスマス直前に、環境サミット「COP15」が開催されるので
政府は今からテロ対策と省エネアピールに頭を悩ませているようですが、
市民はそんなことにはお構い無し、クリスマス気分を満喫しようと
街に繰り出しています。

私もお友達と一緒にダウンタウンの骨董通りまで出かけてみました。
最近ではガイドブックに紹介され、観光客も訪れるようになりましたが、
シーズンオフの今頃は静かです。屋根裏部屋から引っぱりだして来たような
クリスマスオーナメントやガラクタの山の中から、おお、プレゼントを
一つ掘り出しましたよ。やったー!と、つい教えたくなるけれど、でも
ここはグッと我慢。今の所はまだ“ヒ ミ ツ ”です。

骨董通りから程近い所に、私達の間で勝手に「Little Paris」と呼んでいる通り
があります。周辺は移民も多く、お洒落なブティックと八百屋さんが
仲良く並んでいるコスモポリタンな雰囲気。その一角に、お目当ての
“フローラカフェ”があります。店内に入ると珈琲の香りと暖かい空気が
冷えた身体をたちまち溶かしてくれました。
その日、二人が選んだのはもちろんユールグルックにエーブルスキーバーです。

例えば、お彼岸の「おはぎ」や雛祭りの「甘酒」のように、デンマークの
クリスマスシーズンはエーブルスキーバーとユールグルック無しでは語れません。
作り方はとても簡単なのですが、材料が特殊なので地元デンマークでも
本当に季節限定です。
他にも、アーモンドを練りあげたマジパンで作るコンフェクトが登場します。
中でもブタのお菓子は名物です。
多分キリスト生誕を多産な動物:豚に託し、子孫繁栄を願ったのだろうと
思いますが、リアルな豚を作り出す菓子職人の技は、和菓子の職人さんに
通じるものがあるような気がします。
他にもマジパンをチョコレートで包んだコンフェクトなど、どれも
かなりハイカロリーなので、クリスマス後のダイエットは必至。
でも、ついつい手が出てしまう。太りたく無いけれど食べずにはいられない。
本当に悩ましい季節です。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com

まん丸エーブルスキーバーと赤ワインベースの
ホットドリンク、ユールグルック。ハーブが香ります。


マジパンで出来た豚のお菓子。リアルでどこから食べたら良いの
か困ります。 ニンジンも見えます。どれも太りそう!! 

【きょうのクロスステッチ Vol. 32】 by 岡村恭子

VOL.32 とてもクリスマスな☆ひととき

COP15がスタートしました。過去最大世界150ヶ国が参加してのサミットと
あって、ホスト役のコペンハーゲンは大わらわ。今年はクリスマスシーズン返上で
街中が環境問題一色に塗られているような感じですが…
しかし、いやいや、そんな事はありませんよ…という風な、それはそれは
“クリスマス”的な時を過ごしている人達がいます。

建築家I-さんもそんなひとり。
12月になったばかりのある日、I-さんファミリー恒例の“クリスマスデコレー
ションを作る日”が開かれました。彼女の住いはアンデルセンの時代に建て
られた、という旧市街地の古いアパートのテッペン。もちろんエレベーターなど
有りません。よいしょ、よいしょ、と登って行って、ちょっと息を調えて、
ドアを開けると…私の鼻先をくすぐったのは、もちろん!?ユールグルック&
エーブルスキーバーの美味しい匂いでした。
リビングの大きなテーブルには、実はこれがその夜のメインアイテムである、
森で採集したという苔や木の実が山盛り!それだけで見ごたえのある
ディスプレイです。
ユールグルックで心身共に暖まったところで、さっそく私もデコレーション作り
開始です。まず下敷きの上に粘土を置き、真ん中にキャンドルを立てて、
周辺に苔を敷き詰め、そこに枯れ枝や木の実をバランス良く配置します。
今回は簡単に出来るリースも作ってみました。まず新聞紙を束ね、
ねじ曲げながら好みのサイズのドーナッツ状にします。
その上に苔を張り付けながら糸で縛ってゆきます。“苔 大活躍”なのです。
そこに好みのデコレーションをして完成です。簡単ですが、これって基本的に
苔が無いと出来ませんよね。でも、こうして自然を取り入れて作るクリスマス
デコレーションには、日本の生け花に通じるものが有るように感じますし、
冬の厳しい自然を拒まず、逆に身近に取り入れようとする所にデンマークの
人々の心の豊かさを感じます。

デコレーション作りに夢中で取り組む人、作業はそっちのけでおしゃべりに
花を咲かせる人、絨毯の隅で放し飼いになっているウサギと遊ぶ子供達…。
笑い声が部屋中を包みます。
冬の夜長を楽しく過ごす。そのひとときを共有して幸せな気分を分かち合う。
毎年欠かさず、そんな場所と時間を提供しているI-さん夫婦が、
私にはNisseファミリーに見えました。

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com

森から採集してきた材料がテーブルに山盛り!

見よ!彼らの真剣な眼差しを。
この後キャンドルはジュラシックパークのようになって行くのでした。

私の完成作品です。

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