きょうのクロスステッチ

【きょうのクロスステッチ Vol. 700】 by 岡村恭子

VOL.700 ふたつの “ 奇跡的な巡り合わせ “
     連載700回目 & 二人三脚で50周年

onsdag den. 13 marts 2024

なんと、700回目の更新です。
一体誰がこんなに長く続くと予想したでしょう?
全ては多忙な仕事の合間にアップして下さる延江さんの
おかげです。ありがとう、延江さん。
そして、これからもささやかな日常を読者の皆さまに届けたい。
そんなことを思いながら、一回目のページを開いてみました↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/46.html
…と、書いてあるように、
不器用な私はステッチのように文章を紡いでゆこうと思ったのでした。
四季折々の庭の様子やお料理にお菓子作りなど、
ごく平凡な暮らしの毎日を綴り、内容に沿った写真を添えるという、
そんな些細な課題が次第に私の毎日を張り合いのあるものにし、
日々を見直す機会にもなって来ました。
継続は力なり と友人が言ってくれましたが、いえいえ、私などよりも
その言葉が相応しい御仁が二人、私のすぐそばに居ます。
家人とその相棒のエリックです。

昨年9月、彼らのデザインオフィスが設立50周年を迎えたことは
既に書きましたが、詳細はこちらから↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2538.html
この度は、デンマークの全国紙:POLOITIKENで彼らの半世紀の歩みが
大きく取り上げられました。
北欧家具の本場ということもあって多くの家具デザイナーが活躍する
お国柄ですが、何十年も活動し続けるのは簡単ではありません。
日本人とのデュオなのですから尚更です。
あの時あの学校で意気投合したことは “ 奇跡的な巡り合わせ“ だった。
彼らにとって将来を決定づける出会いだったわけです。
記事では
デンマークの青年と日本からはるばる北欧デザインに憧れて
やってきた青年がデザインスクールで巡り合い、意気投合して
オフィスを立ち上げたことや、言葉の壁や文化の違いを家具デザインという
言葉を超えた共通の世界で、お互いの信頼と理解を深め今日に至った経緯が、
とても好感を持って紹介されています。

今では阿吽の呼吸の彼らですが、
ここに至るまでにはお互いに内面の葛藤もあったはずです。
外国に来て仕事をしてゆくのだから何事も「六分四分」で「五分五分」の
精神と忍耐力。これは家人が若い頃よく口にしていた言葉です。
彼がデンマークで仕事をして行くと決心した時から肝に銘じてきたこと
だそうです。そうして仕事を積み重ねて来て半世紀です。
「継続は力だ」と言っても差し支えなさそうです。
一方、
家人との結婚という全くもって主体性のない理由で始まった
私のデンマーク暮らしも、ステッチハウスの延江さんに巡り合った
ことで ブログを開設、日々を綴って来て連載700回目を迎えることが
できたのです。これを“ 奇跡的な巡りわせ“ と言わずしてなんでしょう?

これからも自分らしくをモットーに連載を続けてゆけたら幸せです。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




新聞記事より。
O&M DESIGN の半世紀の歩み












50周年記念パーティーより



延江さんと一緒に楽しいひと時より


【きょうのクロスステッチ Vol. 699】 by 岡村恭子

VOL.699 デンマークの暮らし 3月最初の日々雑記

onsdag den. 6 marts 2024

三寒四温とはよく言ったものです。
濃い霧に包まれた肌寒い日は気持ちも沈んで何もする気ならない。
晴れて青空が広がれば、春が来た!と喜び勇んで庭に出る。
その翌日にはまた重たい雲が垂れ込めて意気消沈、
そんな日を繰り返しているうちに少しずつ空気も緩んできました。

⚫︎あれから一年。
丁度一年前の今日(3月6日)は3年半ぶりの日本へと出発した日です。
コロナ禍で帰れなくなってしまった数年間は、気が遠くなるほど長く
感じましたが、実際には2020年春、(日本では)横浜港に停泊した客船から
感染者が出たのを皮切りに未知のウィルスとの戦いが始まって以来、
ほぼ終息するまで3年しか経っていなかったのです。
喉元過ぎれば何とやら…。そして、今、日常を取り戻したと同時に
コロナパンデミックという言葉さえも忘却の彼方に消え去りそうです。
人の記憶なんていい加減なものですね。
それでも昨年春の帰国の際には、入国時にVisit JAPANというアプリで
ワクチン接種回数と陰性証明を提示する必要があったし、
戦争でロシア上空を飛べなくなり、北極圏、または中近東付近の
迂回ルートを飛行、以前より長時間のフライトを余儀なくされました。
そんなこんなで出発前からアタフタしましたが、何はともあれ
春爛漫の日本を満喫。今、アルバムを開き、満開の桜の下で満足げに
笑っている自分の姿を見ながら、思い出は時間が経つほど楽しく蘇ると、
しみじみ思ったりしています。

⚫︎歯が疼く
昨日あたりから、右の奥歯が疼く。
幾つになっても歯医者さんは苦手ですが行かねばなるまい。
デンマークの医療費は基本的に国費=税金で賄われていますが、
歯医者さんに限って成人は自己負担です。(18歳までは無料)
私は半年に一度定期検診に通っています。
基本料金は約600kr.(1kr=約22円)ほどですが、治療が加わると
内容に合わせて加算されます。
それにしても、前回の検診の時にも問題なしだったし、固いものを
無理やり噛んだ覚えも無いのに、どうしたことか?
普段その存在すら忘れている右の奥歯が私の中で大クローズアップです。
食べ物をどうやって咀嚼しているか?なんて普段は考えもしないけれど、
今はすごく考えて、問題の歯に当たらないよう左側で噛むようにしたら
何だか食べずらい。それで、はじめて、そうなんだ、私はいつも右側の歯を
使っているのだ…と判明、長年酷使して摩耗してしまったのかもしれません。
歯医者さんに予約を入れました。来週診てもらいます。

朝から垂れ込めていた重たい雲が、とうとう耐えきれなくなって
細かい雨になりました。昨年来の多雨に乾く間もない庭は水分過多で
元気がありません。庭仕事もお預けです。
明日は良いお天気なってくれますように。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




2023年3月 美しい日本の春を満喫しました。
写真は千鳥ヶ淵の桜











小春日和の一日。
お花屋さんの店先も、広場のベンチで憩う人々も、
芽吹きを待つ街路樹も、
柔らかい春の空気に包まれ始めています。



バス通に設置された背高ノッポのベンチ。
遊具ではありません。
地球温暖化を阻止しなければ、ここまで水が来る、
という警告。



雨降りの日は自家製ピザで和む。



【きょうのクロスステッチ Vol. 698】 by 岡村恭子

VOL.698 デンマークの暮らし 路線バスでゆく早春散歩

tirsdag den. 27 februar 2024

瞬く間に2月も過ぎようとしています。
朝、小鳥の囀りで目覚めました。
キッチンの窓から暖かな陽が差し込んできます。
古から北欧の人々は季節の移り変わりを陽光の陰影で感じ取って
いたのでしょう。ちょうど、今の私のように。

今日は久しぶりに晴れて気分も上々です。バスに乗って買い物に出かけよう。
我が家は旧市街地とコペンハーゲン空港を繋ぐ路線バスの丁度中間地点で、
中央駅もチボリも、ストロイエだって乗ってしまえば15分ほど、
反対方向の空港へ行く時にも便利です。
ほぼ5分間隔で次々とやってきて、おまけに利用するバス停始発が頻繁にある。
本当に至れり尽くせりなのです。
目的地(=アジア食材店の有る通り)まで乗り換え無しで行けますが、
せっかくだから途中下車して早春の散策を楽しもうと思います。

始発が来ました。バスはわずか数名を乗せてすぐ発車。
しばらくして、運河沿いにブラックダイアモンド(=王立図書館)を
望みつつ橋を渡ればもう旧市街地です。
今回はコペンハーゲン中央駅とチボリ公園を横目に市庁舎前広場で下車して、
そこからストロイエを通ってJorcks Passage( ヨークス通り)にオープンした
セレクトショップを覗いたり、大学図書館通りの石畳をNørreportまで、
途中あれこれお店を見ながら最終目的地のアジアン食料品店で買い物を
しようと思います。
見慣れた街並みですが、それでも至る所に春の気配が感じられ、
とても良い気晴らしになりました。

帰宅後、買ってきた食料品を広げながら便利な世の中になったと
感慨深い気持ちになりました。私がデンマークに来た当時は
思うように和食材料が整わず不自由していたものです。
実家から届く定期便がどんなに楽しみだったことか。
その中に必ず入っていたのが手作り豆腐の素とコンニャクの素でした。
お豆腐を食べたくなったら専用のステンレス製の四角い抜き型を使って、
粉末から作るのです。コンニャクはお鍋で作るのですがニガリを入れて
固める時のあの独特の匂いを今でも思い出します。
どちらも母がデパートの自然食品コーナーの隅っこに並んでいたのを見つけて
せっせと送ってくれたのですが、やがてコペンハーゲンのお店の冷蔵ケースに
お豆腐が並ぶようになり、今では群馬県産のコンニャクも売られているのですから
こんな時代が来るなんて…当時のことを思ったら夢のようです。

平和で長閑な早春散歩でしたが、街を歩いているとウクライナの国旗を
至る所で目にします。
2月23日でロシアのウクライナ侵攻から丸2年が経ちました。
青空の下、今日も市庁舎広場はもちろん、ビルの屋上やオフィスの窓に
2年間途絶えることなくこれからも平和が訪れるまで…。
青と黄色のウクライナ国旗が掲げられ続けるであろうことに、
デンマーク国民がウクライナに寄り添っているという意思表示を強く感じ、
そんな国民性をとても羨ましく思いました。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




運河の橋からブラックダイアモンドを望む。
運河を渡れば旧市街地です。。






Jorcks Passage 。
古いヨーロッパの趣ある一角、
ストロイエから大学図書館通りへの抜け道です。



ベンチの横の植え込み。
水仙とムスカリが春を呼ぶ。



ウクライナに平和が戻るよう願う。



今回の買い物は計420kr.(約9,000円)でした。



【きょうのクロスステッチ Vol. 697】 by 岡村恭子

VOL.697 デンマークの暮らし お雛様と気候変動対策のお話し

tirsdag den. 20 februar 2024

早春を告げる白い花スノウドロップに続いて黄色いエランティスの
花が蕾を膨らませています。
庭に春の兆しを感じる時ほど嬉しいことはありません。
寒いとか、雨ばかりとか、文句ばかりの私を横目に、
ほら大丈夫ですよ、春は来ますよ、と告げている。
気を取り直して春を迎える準備をしましょう。
そして出してあげましょう。お雛さま。

毎年娘の雛人形を飾ってきました。
その度に、当時赤ん坊だった娘と雛人形のどちらも落とさないよう
日本から我が家まで大事に抱えてきた時の事を、可笑しくも懐かしく
思い出します。詳しくはvol.609にて↓
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2381.html
実は今だけですが、もう一対お雛さまが手元にあります。
娘が頂いたものを彼女達が引っ越しする間だけ安全確保のため
一時的に預かっているのを勝手に箱から出してみました。
手の中にすっぽりと収まるくらい小さな陶製のお雛さま。
稚児のようにふっくらした頬と目を伏せている様子がなんとも愛らしい。
朱や藍など九谷焼ならではの色付けが施されています。
手の平に乗せてみたら…ほんわかとした優しい気持ちになりました。
というわけで、本日は特別に二組並べてひと足早いひな祭り気分です。

それにしても、
大雨でバイキング時代の遺跡の石積みが崩れてきたり、
堆積してあった廃棄物の土砂が崩れてしまったりと、
水による被害のニュースばかり。さすがに今までのんびりと構えていた
地方自治体も対策に乗り出している様子です。
主に堤防や護岸などを中心にした洪水対策ですが、
元々海抜0メートル的な場所も多く抜本的解決策までは程遠い様子です。
首都コペンハーゲンは2011年に旧市街地のほとんどが冠水してしまうという
洪水を経験した後、気候変動対策の専門部門を設置、今後100年を見越した
水に強い街づくりを推進実行し現在も継続中です。
新しいところでは、コペンハーゲンの西地区Vesterbroの公園を気候変動に
対応できる公園として整備完成し話題になっています。
20000㎥〜の地下貯水地を構築、貯めた雨水を循環させて使用する。
歩道には雨水を吸収する特殊タイル石を使用し、地下のパイプに連結、
貯水してリサイクルするなど、とにかくすべての雨水をリサイクルするのだ!と宣言。
一見突飛なアイデアも最新技術で現実に結びつけてしまう開発など夢があるし、
将来的には国際ビジネスに結びつけてゆこうとする辺り、
いかにもデンマークらしいなあ、と感心します。
年がら年中、道路を掘り起こして工事ばかりしているコペンハーゲンですが、
気候変動に対処すべく最新プロジェクトが進行しているのかも知れないと
思うと急に頼もしく感じられます。
気候変動公園の詳細はこちら↓
https://www.tredjenatur.dk/portfolio/enghaveparken-klimapark/
日本語での参考記事はこちら↓
https://adaptation-platform.nies.go.jp/db/measures/report_179.html

そうこうしているうちに、もやっていた空が晴れてきました。
窓の外の寒暖計は7℃、暖かそうです。
午後は今年最初の庭掃除しようかな?

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




手の平に乗るほどの小さな九谷焼のお雛様。
今回の地震でもどうぞ無事でありますようにと願う。



我が家のお雛さま。
相変わらずのおすまし顔です。






今日の庭から。
スノードロップとエランティスが咲き始め、
殺風景だった庭が春めいてきました。



大根と冷凍の材料を見かけた時の贅沢「おでん」



【きょうのクロスステッチ Vol. 696】 by 岡村恭子

VOL.695 デンマークの暮らし 2月・如月・日々雑記

tirsdag den. 13 februar 2024

毎日鬱陶しい雨雲が垂れ込めています。
昨年来の長雨でコペンハーゲン郊外の原っぱが湿地帯になり、
いつもは見られない水鳥たちが飛来しているとか、
それほど雨が多いと言うことです。

⚫︎樽を割って冬を追い出そう!
そんな毎日ですが学校は冬休み、そしてこの週末は
子供達の冬のイベントFastelavn=ファストゥラウンでした。
(ファストゥラウンについて詳しくはこちら↓)
https://stptrans.com/fastelavn-the-nordic-tradition-youve-probably-never-heard-of/
♪僕の名前はファストゥラウン♪
♪欲しいのはお砂糖たっぷりのボールパン♪
♪もしもくれなきゃ大暴れしちゃうよ♪
寒空の下、仮装した子供達の可愛い歌声が響きます。
北欧では古くから猫は魔女の化身だという言い伝えがあり、
一種の魔除けとして、実際に猫を樽に閉じ込めてみんなで叩き割り、
その年の魔女祓いとしたのだそうです。
そういえば、夏至祭には魔女の人形を焚き火で燃やしてしまうし、
北欧の魔女伝説を深掘りしたら、なかなか怖そうな気がしてきました。
話を戻して、時代は変わり今では猫はみんなのお友達です。
黒猫の絵が描かれた樽にお菓子をたくさん入れて、子供たちが順番に叩き、
温かいカカオとケーキで賑やかなひと時を楽しみます。
私には樽を割って冬を追い出すようにも見える冬休みのイベントです。

⚫︎身近な人に感謝する日。
そういえば、14日はバレンタインデーだとうことを
混雑するチョコレート売り場が映し出されたインターネットニュースを
見て気づきました。東京のデパートのの盛況ぶりとは打って変わって、
デンマークは静かなものです。
以前にも書きましたが、どうやらバレンタインデーに女性から男性に
チョコレートを贈ると言うのは日本だけのようです。
でも、それをきっかけに恋が芽生えることだってあるかも知れない。
そう思うと夢のあるイベントで大いに結構なことだと思います。
因みに、デンマークでは年齢性別関係なく身近な愛する人に感謝する日
ということで、彼から彼女へ花束を贈るというのが一般的です。

⚫︎郷愁を呼ぶ味覚
そぼふる雨模様の日曜日です。
昼下がりのお茶を淹れて、徐に干し柿を一つ手に取りました。
柔らかい果肉からジンワリと甘みが広がります。
先日遊びに来たお友達の自家製です。
熟した柿を一つずつ丁寧に皮を剥いて、
秋の陽の下に吊るしてゆっくりと余分の水分を抜き取った。
その後に残った果実の凝縮した滋味なんだなあ…。
何事も時間の経過分だけ美味しくなる。
大切なことを干し柿に教えてもらった日曜日となりました。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/













Fastelavnの日には町内のあちこちで
可愛らしく仮装した子供たちが樽を割って楽しく過ごします。






郷愁を呼ぶ味覚。
干し柿と朴葉焼き。



【きょうのクロスステッチ Vol. 695】 by 岡村恭子

VOL.695 デンマークの暮らし 茶色いシッポのモヤシと
     不揃いな林檎たち

tirsdag den. 5 februar 2024

2月になりました。今年は閏年。
24時間余計に使えると考えたら得した気分になれるかな?
上手に過ごす方法を考えましょう。

⚫︎茶色いシッポのモヤシ
モヤシ大好きです。
学生時代、朝食のトーストにモヤシのバター炒めという
オリジナルモーニングセット?にハマった事が有りました。
周囲から笑われましたが、お醤油をひと垂れしトーストに乗せ、
その上にハムでも有れば上等で人にも勧めていたほどです。
シャキシャキしたモヤシ炒めは今でも大好きだけど、
残念ながらデンマークではいつでも手に入るとは限りません。
たまたま新鮮なのを見かけたら迷わず買い物カゴへ入れますが、
似て非なるとはこのことか?というほど、全体的に細身だし、
おまけにヒョロリと長いシッポ?部分が茶色いのです。
新鮮なのを選んでも茶色い。気に入りません。
キッチンの椅子に陣取り、一本一本茶色い部分を千切りながら、
つくづく日本のモヤシは美しいなあ、と思う。
炒めて良し、湯がいて良しの素晴らしい野菜にもかかわらず
年々値下げしている珍しい食材だということを小耳に挟みました。
不思議な現象ですね。
(因みにデンマークのスーパーで売っているモヤシは150gで12kr.=約250円。)
今、何を食べたい?と聞かれたらモヤシのバター炒めと即答します。

⚫︎不揃いな林檎たち
デンマークのりんごは美味しい。
晩夏から秋の収穫シーズンには2キロ入りのどっしりと重たい林檎が
20kr.(約400円)ほどで出回るのを皮切りに、冬の間も日常使いの
フルーツとして大活躍します。
最近はサイズが一律に揃ったEU規格品種が多くなり、“ FUJI ” という
ブランドもありますが、本家の “ふじ“ には到底敵いません。
見た目は大きく立派でも味は似ても似つかない。林檎に限らず
海外観光客が日本の果物に感動するのも道理です。
そんなわけで、私は安価な地元産の林檎を買い求めることにしています。
甘酸っぱくてお菓子作りにぴったりだし、デンマークでは豚肉と合わせて
お料理にもよく使います。
…と書きながら、以前、来訪した友人が我が家の庭にたわわに実った林檎を
見て感動していたのを思い出しました。
私たちが暮らし始める前から植っていた老木で、今はもう枯れてなくなって
しまったけれど、代わりに苗木を一本植えて成長を楽しみしています。
大きく育ってくれますように。そしてたくさんリンゴが実りますように…。

外は雨です。
少しずつ庭が気になり始めました。
雨が上がったら長靴を履いて今年一番の庭仕事を始めよう。
冬の間に堆積した松葉掃きをしてスッキリさせたい。
冬枯れの羊歯や紫陽花をキレイに整えたい。
隣家の主人が我が家との境界の垣根を全部取り払ってしまったみたいで
その辺のメンテナンスもしなければなりません。
あれこれ考えながら明るい季節を待ち侘びる今日この頃です。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/










茶色い部分を取り除いてきれいさっぱり!
炒めて添えて今夜の一品完成です。






林檎を使ったお料理の一例。
甘酸っぱい林檎と豚肉は相性抜群です。









林檎のケーキの一例。
他にもクランブルケーキやアップルパイなど
林檎を使ったお菓子作りを楽しみます。



【きょうのクロスステッチ Vol. 694】 by 岡村恭子

VOL.694 デンマークの暮らし コペンハーゲン的住まい情報
     分譲、賃貸、それともコーポラティブ?

mandag den. 29 januar 2024

急に陽差しが明るくなってきました。
ついこの間まで一日中灯りをつけっ放しにしていたのが
嘘のようです。それだけでとても嬉しい。

お日様に誘われて庭に出てみます。
ひいやりとした朝の空気の中で見つけました!
裏庭の陽だまりに早春を呼ぶスノードロップの小さな芽。
そうねここが一番暖かいものね…。心の中で話しかけます。
どんなに寒く凍りつくような氷点下の日が続いても
ひと度、太陽が顔を出してくれさえすれば、土の中で眠っていた
草花達が目を覚ます。
メリハリのある四季の変化が植物の発育を促してくれるのです。

⚫︎コペンハーゲンの住まい情報。
日本でも都市部の住まい探しは苦労するという話を耳にしますが、
デンマーク、特にコペンハーゲンの住宅事情もなかなか厳しく、
条件に合った物件を探すのは至難の技です。
インターネットの不動産情報サイトを開くと一見素晴らしい住まいの
オンパレードのように見えますが、実際には良い物件ほどページに
掲載される前に交渉成立してしまう…ということは…?そうです。
サイト上のものは何かしらネックになるポイントがある場合が
多いということです。
住まい探しには常に親しい人同士で情報交換することが重要かつ
最も有効な方法の一つなのです。

コペンハーゲン市内の集合住宅の場合だと70〜90㎡前後が最も多く、
分譲、賃貸、の他にコーポラティブ住宅というのが有ります。
とてもデンマーク的なシステムだと私は感心しているのですが、
いわゆる住民参加型共同集合住宅と考えたら良いと思います。
一般的な分譲とは異なり住民たちの自主的な意見が反映されます。
事務局との連携で上手に運営されている物件は管理が行き届き、
住民共有の広場を有意義に活用、子供が安心して遊べる遊具の設置や
共同のDIY作業室を設けるなど充実した環境が整っています。
逆に言えば住民たちの意識の違いで良し悪しが決まってしまう。
他人に関わりたく無いという人には不向きです。
自分のライフスタイルに合わせた住まい探しには、
やはり事前の情報収集が鍵となります。

ようやく理想の住まいに巡り会えたら、引っ越す前に
自分たちの住まいにするためのDIYがスタートです。
親しい友人家族が集い、楽しくおしゃべりしながら壁紙を剥がしたり、
床を新しいフローリングに変えたり、ペンキを塗ったり…。
そのための材料調達などで大忙しとなりますが、
お次は自分の番かも知れないのです。協力しながら手順を習得して
いざという時に備えておくことも忘れません。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/







市街地の一般的な集合住宅例。外観は素っ気なくても
中庭には必ず住民共有の緑のスペースがあり、
様々な工夫をして活用。






入居が決まったら引っ越しをする前にDIYリフォーム。
大変だけど楽しい作業です。




44回目の記念日に…。今回は深いピンク色でした。






スノードロップが顔を出すと春間近です。
空にはヒコーキ雲、嗚呼、良い気分。



【きょうのクロスステッチ Vol. 693】 by 岡村恭子

VOL.693 デンマークの暮らし リサイクル先進国?の巻

mandag den. 22 januar 2024

冬至から1ヶ月が過ぎました。
先週からの寒波も峠を越え、今日は+3℃まで気温が上昇、
とても暖かく感じられます。
ステッチハウスのイースターのモチーフに
春の足音が聞こえてくるような気もしてきますが、
外を見れば冷たい風が吹いています。
もう少し辛抱我慢の北欧暮らしです。

⚫︎バス通りが “ リサイクルショップ通り“ になっている!
先日、旧市街地の方まで出かけた時のことです。
バスの車窓から何気なく商店街の風景を眺めていて気がつきました。
ずっと贔屓にしていたペンキ屋さんも、大きなプリンター屋さんだった場所も、
それから…以前何のお店だったか?忘れてしまったような場所も
リサイクショップになっているではありませんか!
教会や赤十字社が運営するショップは不要なものを持ってゆくと
引き取ってくれるので、たまに寄付がてら利用してきましたが、
最近はビンテージ物を扱う専門店や、まるでハイファッションの
ブティックのような感じのショップが流行りのようです。
売りたい服などを持ち込み自ら希望価格を設定、バーコード決済という
シェアオフィスならぬシェアショップも出現し、
売り上げると経費を引いた金額を自動振り込みという便利な方法で
特に若い人を中心に人気だそうです。
環境問題に意識の高い人たちが支持しているのも特徴的で、
何でもかんでも新品を定価で購入する時代では無くなったという印象です。

こうした背景には地球温暖化の大きな原因とされるCO2排出規制があります。
昨年ドバイで開催されたCOP28を機に、EU議会は衣料品の過剰生産禁止条例と
共に余剰製品の破棄を禁止すると発表したこともあって、
ヨーロッパでは若い人を中心にリサイクル、リユースの意識が
急速に高まってきているのです。
デンマーク政府が官民一体となって食料品の無駄を無くす取り組みを
していることは以前お伝えしましたが、(詳しくは↓VOL.460 にて)
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/2039.html
その他にも、
各地域にリサイクル集積所を設置、家具、衣類、雑貨などのほか、
建材なども山積みで、処分しに来た人と探し物をする人で賑わっています。
集合住宅の敷地内には住民専用のリサイクルコーナーが設けられていたり、
大掃除や引っ越しなどの際に出た不要品に「無料」と書いて
家の前に置いてあるのを見かけるのも日常的風景です。
町内のfacebookの掲示板にも不要になった衣類や家具などの
引き取り手募集中!の張り紙も度々見かけます。
こうして改めて周囲を見回すとリサイクル&リユースが
日常化しているのを実感します。

モノを大切に過ごすことで地球温暖化に歯止めがかかったら一石二鳥!
というのは、少々考えが甘いかもしれませんが、
まずは最初の一歩。身の回りから始めよう!
2024年はモノを大切にする年にしたいと思います。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/







赤十字社が運営するリサイクルショップ。
衣類はじめ食器、書籍、家具、スキー用品まで豊富な品揃え。



食料品の無駄をなくすことが目的のWe Food ショップ。
賞味期限間近のものなどを格安で提供、売り上げの一部が
生活困窮者救済に使われる。



最も身近なリサイクル。住民たちが主催するフリーマーケット。






長く続いた雪もようやく止んで…。
晴れた空が一層明るく感じます。



【きょうのクロスステッチ Vol. 692】 by 岡村恭子

VOL.692 祝・デンマーク王室の新たな一歩。

mandag den. 15 januar 2024

2024年1月14日。
デンマークに新しい王様が誕生する記念すべき日曜日の朝。
まるで神様から祝福を受けるかのような青空が広がりました。
日中心配された雨にも降られず、夕方のパレードが終了する頃には
西の空がほのかに茜色に染まり、人々の頬を照らしました。

昨年大晦日、
マーガレテ女王が王位をフレデリック皇太子に託す決意を
述べた際には誰もが突然の事でビックリ!したものの
(詳しくはVOL.691 をお読みください↓)
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/categories/64386.html
それからわずか2週間後の本日、国民の祝福に包まれて、
如何にもこの国らしい心温まる王位継承式が滞りなく
執り行われました。

バルコニーに立った新国王フレデリック10世は埋め尽くした群衆を前に
感動の涙さえ浮かべ、何度も手を振って祝福に応えていました。
そんな初々しい王様の姿に、ある人は我が子の成長した姿を見るようだと言い、
またある人は国民と共にある王室の象徴的存在と誇らしげに語る。
こうして52年間に渡る女王マーガレテ2世の時代に幕が降りました。
このような一大事がわずか2週間という短期間で滞りなく執り行われたのは
マーガレテ前女王が何年にも渡り、熟慮し準備してきたからこそだと
いうことは想像に難くありません。
ヨーロッパで最も長い歴史を誇るデンマーク王室の今回の決断と
実行は他の王国にも大いに参考になったのではないかな?と思います。

白馬を先頭に進む華やかな衛兵の行進。
沿道や王宮前は祝福する人々で埋め尽くされ、
赤に白十字のデンマークの国旗が打ち振られる。
バルコニーに現れる新国王を今か今かと待ちわびる。
人々の高揚した気持ちが寒空を跳ね返す。
夜空に祝福の花火が打ち上げられて記念すべき日が暮れました。
明日からまたいつもの日常が始まります。
デンマーク王室は心機一転、
新しい体制で国民に寄り添うこととなります。
心機一転。この言葉がみんなに元気をくれそうです。

そんなおとぎ話のような日曜日が過ぎて、一夜明けると一面の雪景色です。
現実に戻されてため息混じり、雪掻きから1日が始まりました。
春が来るまでしばらくはこんな毎日が続きます。
昨年来の長雨の影響がどう出るか?
花壇の球根や数年前に植えた桜の木の根腐れを
心配しながら春が来るのを待ちわびる今日この頃です。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




王位継承の署名する前女王陛下とフレデリック10世。
皇太子になった孫のプリンスクリスチャンも同席。






華やかな馬車のパレードと祝福の人々で埋め尽くされた沿道。






祝福に答えるフレデリック10世とクィーンマリー。
夜空には花火が。
(以上、全てDR.dk より)。






水栽培のヒヤシンスと雪化粧の裏庭。



【きょうのクロスステッチ Vol. 691】 by 岡村恭子

VOL.691 今年もどうぞよろしく。
     2024年 デンマークの初春ニュース

søndag den. 7 januar 2024

この度の地震で甚大な被害を受けた被災地の皆様に
心よりお見舞い申し上げます。
厳しい寒さの中、不便を強いられている多くの方々に一刻も早く
救援の手が届きますように、一日も早い復興を願っています。

デンマークも荒れ模様のお天気で新年を迎えました。
年末から雨が続き、大晦日の花火も勢い無いまま元旦を迎え、
その後も強風を伴う横殴りの強い雨で場所によっては洪水も発生、
昨日今日とようやく晴れたと思ったら、シベリアの寒気団に
すっぽりと包まれてしまい氷点下10℃。長雨で水分飽和状態の
庭もカチンカチンに凍りついてしまっています。
気候変動がますます顕著になる予感を感じつつ
気を引き締めて2024年をスタートしたいと思います。

⚫︎2024年デンマーク初春ニュース。
1月14日日曜日、
デンマーク王室の王位継承式が執り行われることになりました。
現在のマーガレテ女王からフレデリック皇太子に受け継がれます。

マーガレテ女王は1940年にフレデリック9世の長女として誕生、
1972年、父君の死に伴い女王に就任して以来52年間
デンマーク王室を支えてきました。
国民の人気も高く、毎年夏にはロイヤルシップで全国の地方を訪れ、
その土地の人々と交流、またデンマーク領のグリーンランド訪問の際には
同島の伝統的民族衣装を纏い、現地の人々の熱烈な歓迎を受けるなど、
長年に渡り国民に愛される王室を築くべく努力をしてきました。
アーティストとしての才能も豊かで絵画やデコパージュは趣味を範疇を
超えています。ロイヤルバレー団の衣装をデザイン監修、舞台美術にも
オリジナリティー溢れるアイデアを提供するなど、公私共に豊かな
人生を歩まれてきました。
また、一昨年末にはデンマーク王室の将来的展望を明確にして、
王位継承者以外の成人メンバー(18歳以降)は一般国民と
同じように自由に職業を選択し自立してゆくように明言しましたが、
それは日常の拘束から解き放される代わりに、国からの優遇措置から
外されることを意味しています。まるで、逞しく生きてゆけ!と、
崖から突き落とす親鳥のようではありませんか。
王位継承することとなったフレデリック皇太子夫妻、
とりわけオーストラリア出身のプリンセスマリーに対する女王の信頼は厚く、
皇太子が結婚後は精神的にも安定し立派に公務をこなしてきたことに
大きな安堵を得たのだろうと思います。

14日は新しい王様誕生を祝福するたくさんの人々で王宮広場を中心に
コペンハーゲン中がお祝いムードに包まれることでしょう。
既にDSB(国営鉄道)のチケットは完売、ホテルも満杯ということです。

長引く紛争、巨大化する自然災害、私たちを取り巻く環境は深刻化を増す中、
北欧の小さな王国の新たなスタートは明るい光のように感じられます。

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/




2023年大晦日。
恒例の国民への言葉の中で王位継承を述べる女王。






フレデリック皇太子夫妻とファミリー






2024年新年挨拶の儀に際して、
女王として最後の馬車によるパレードと
賓客の挨拶に答える女王と皇太子夫妻。

(写真は全てDR.DK より)


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